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 夏は嫌いだ。

 蝉の間延びした鳴き声を聞きながら、少女はぐったりとした様子でたたみに寝そべる。現在、室温三十八度。とても起きて活動しようという気にはなれない。うちわを片手に開け放したドアの先に見える内庭をにらみつけ、クーラーや扇風機のことを必死に思い出すまいとした。せめて、風鈴でもあれば気を紛らわすこともできるのに。だが風がちっとも吹かないこの状況では、風鈴があってもなくても大差ないだろう。室内から見えるうっそうとした木々はびくともせず、幹にとまった蝉が単調な音を響かせているだけだ。


「かき氷作ったよー! 食べる?」


 蝉の合唱にまじって、かすかな声が聞こえた。かき氷。その魅惑的な単語に呼ばれた少女は跳ね起きると、勇んで駆けだした。ブルーハワイ味のかき氷を味わいながら、それでも彼女は考えるのだ。

 夏は嫌いだ、と。


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