『きみ』と『あなた』で紡いだ思い
あなたは、とても眩しい人だ。
あなたは、とても優しい人だ。
「きみは何時も、笑っているね」
あなたは、ふんわりと笑みを零した。
凍て風が吹きはじめた日でも、暖かな陽だまりの笑み。
「きみは何をしてきたの」
あなたは、指先を泥に汚して涙を零した。
汗ばむほどの日に、降る雪を見上げるように顔を上げた。
あなたは、とても静かな人だ。
あなたは、とても狡い人だ。
「きみなら、大丈夫」
あなたは、視線を真っ直ぐに向ける。
命が芽吹く季節に、枯れた葉が落ちるのを見届けるようだった。
「きみは、綺麗だ――」
あなたの、深々と横たえる言葉に。
返した言葉に、耳まで真っ赤になっている。
あなたの思いがけない言葉に、きみの悲しみが遠くに押しやられた。
きみが言った言葉に、あなたが恥ずかしそうに俯いた。
あなたが、きみの汚れた手をとる。
きみが腕の中に納まった。
普段、そっけない事しか言わないきみが。
あなたがきみを思っていたのは、知っていた。
けれど、きみが思っていたなんて、知らなかった。
あなたは知っていたの。きみを見ていたって。
『私』や『僕』を使わず一人称に寄りすぎず、三人称に寄らない。
『失恋』物語。
二人称の話しをしていて、挑戦してみましたが難しいとしか言えない。
って、恋愛ジャンルに入れて、良かったのかすら……