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駘蕩たる春光の中

作者: 鳴海


 無造作に横方向へと吹っ飛ぶ。何を考える暇も無く、青い空だけが視界の端に映って、反転する世界。窓ガラスを突き破ってあの狭苦しい教室からの劇的脱却、これは一体全体どういうことなのだろうか?

 勝手に脚が動いたのか、そんなわけあるか。とにかく現状を否定してみるも、墜落は止められない。虚空をなす術も無く、糸の切れた人形のように重力に抗えず、落ちてゆく、ただそれだけだ。両手が空を掴もうと必死にもがいていたけれど、こうなったら全部無駄だ。教室から私を見下ろすクラスメイトたちの顔だって、今はもうあんなに遠くにある。

 肺に急激に流れ込んでくる空気が清清しい。私だけがここにいる。あー、これが日常の崩壊か。

 本当に突然訪れるものだ、心構えも何も無しに。はっと思ってふっと笑えば、平々凡々に続いていた私の人生は大袈裟に加速を始める。目まぐるしさが愛しくて、そうです、こんなばかばかしい出来事を待っていたのです。

 まぁあの教室、私ひとりが転落したところで被害ゼロの異常ナシだろうし!! なんだか責められているような昨日までの自分の卑屈すらも嘲笑える、なんて晴れやかな気分だろう、麗らかな春の日和、久々に心からの笑みを微かに浮かべた口元、飛び出した両脚はステップを踏むように、そのまま。


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