出会い(1)
遡ると‥紘介との出逢いもそうだった。
大学の寮生の中間たちと合コンの話題で盛り上がった。
潤ちゃんが その時
「先週ね、合コンしたんだ」
櫻子は『合コン』という初めての響きに興味津々に耳を傾けた。
「終電が無くなるまで飲んじゃって」
「うん、うん、それで どうしたの?」
妙子が聞き返す。
「その中の一人のアパートに泊まっちゃった!」
「うっそ!それで」
多美子が潤ちゃんに食い下がって訊ねた。
「それでって何もなかったよ」
「そ〜んな訳ないじゃん!二人っきりでしょう?」
「うん、タイプじゃなかったし。それでさ、今度は違うメンバーで合コンしないかって誘われてるの」
「誰に?」
櫻子が訊ねると潤ちゃんが
「アパートに泊めてくれた人に! それで別のメンバーとなれば、多美子と櫻子と‥」
「えっ!私?」
櫻子は、急に自分の名前を呼ばれて驚いた。
合コンなんて他人の話だと思っていて自分には無関係の出来事だと考えていたからだ。
「なんだかさぁ〜!その人が櫻子みたいな女の子が好みそうなんだよね」
「でも‥私‥合コンって初めてだから」
すると、多美子が
「行こう、行こう」
それから2、3日が過ぎた。
合コンの日程を決めるため潤ちゃんが、その彼に連絡をしたらしいんだ。
すると、どうだろう!
合コンなんてする必要ないと言われたらしい。
どうやら、貴方の好みの子がいるからって潤ちゃんが言うと、その子に連絡をしてきて欲しいって!!
いきなり、潤ちゃんから小さなメモ用紙を渡された櫻子は、戸惑いを隠せなかった。
人一倍、奥手な櫻子が、そう言われて
はい!分かりましたって電話を出来るわけがない。
そうは思っても、ちょっぴり どんな男か興味もあった。
櫻子は、メモ用紙を見た。
『布施ビル3階 プラザ 土屋紘介 06 **** ****』
「潤ちゃん、これ何処の電話番号なん?」
「それね、土屋さんのバイト先なの。そこに電話して欲しいって」
「でも‥仕事中にいいの?」
「いいんじゃない。私も、そこに電話したら合コンする必要ないじゃんって言われたんだから!
櫻子、会っておいでよ。なかなかいい人そうだよ」
「でも‥少し、強引そうな人ね!遊び人じゃないの?」
「そ〜見えなかったけど」
なんだかんだ不安な一面もあったが櫻子も彼氏募集中と公表しているわりには、自分自身が前進しょうとしない日々に焦りもあった。
でも、直ぐに電話をするのは止そう。
それから一週間が過ぎた。