徳島上陸(3)
大阪にいた頃とは どこか違う紘介の素顔がそこにあった。
真っ黒に日焼けした顔がそれを物語っていた。
「へぇ〜、ユニフォーム姿を初めて見たけど様になってるね」
「だろう!今日は、三振五打者連続だぞ。櫻子にも見せたかったな」
「ほんまやぁ〜見てみたいわ!!」
「明日も早朝野球あるって言っていたから明日来る?」
「えっ!私‥今日の最終で帰るつもりだよ」
すると、和美ちゃんが
「え〜ぇ、本当ですかぁ〜もっと、ゆっくり居てくださいよ。それに明日は日曜だし。私も兄ちゃんの野球見たいから一緒に行きましょうよ」
「明日は会社の運動会があるの‥泊まる用意もしてきてないの」
櫻子がそう言うと、紘介は拗ねたように
「折角、来たのに もう帰る話しか!!帰りたきゃ帰るといいさ」
「篤ちゃんからも櫻子さんにお願いしてよ」
和美ちゃんは紘介の顔色を窺いながら篤也に念願した。
「まぁ、まあ、今から櫻子さんを観光スポットに案内して夕食してと、色々と考えてたんよ」
篤也が優しい口調で そう言ってくれた。
「じゃあ、今夜は、こちらに泊まることにするね」
と言ったものの、ホテルも予約していないし
不安ではあったが紘介の機嫌が治ったので 此処は一先ず 弟たちがいてくれて助かった。
とにかく 紘介は自分が大将ですから気に入らないことがあれば横車だって押し兼ねない。