表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/29

*** 28 100万人収監計画 ***

 


 大使閣下が終身刑を受けた各国の王城は大騒ぎになった。

 なにしろ駐魔導学園国大使という重職者が為した学園国農村への武装強盗未遂事件である。

 しかも村人の殺害命令まで出していたのだ!


 この時代のこの星の常識ならば、これは完全に侵略、戦争行為である。

 そのせいで、怒れる魔導学園国が今にも我が国の王族と貴族全員を遠隔転移魔導で収納してしまうかもしれないのだ!


 各国は直ちに魔導通信にて学園国に謝罪し、併せて謝罪特使の受入れを懇請したのである。


 魔導学園国がこの特使受入れを承諾したため、各国は急遽謝罪特使団を結成した。

 特使団では国王が若い国は国王自身が、国王が高齢の国では王太子が団長になっている。


 各国の謝罪特使団は次々と魔導学園国を訪れ、外務大臣や学園理事などの前で深々と頭を下げて謝罪した。

 もちろん莫大な賠償金も持参している。



「貴国の謝罪を受け入れさせて頂きます。

 また、幸いにも犯行は未遂で終わっておりますので賠償金も不要です。

 ただ、その代わりと申し上げるのもなんなのですが、せっかく国を代表される方々がお見えになられたのですから、我が国の見学ツアーに参加されたら如何でしょうか」


 もちろん特使団がこの提案を拒否出来るわけは無かった。


 こうして、80の国の国王や王太子が見学ツアーに参加したのである。


 彼らは空を飛ぶという肉体的衝撃に加えて、魔導国の実力を知ったという精神的衝撃で全員が顔面蒼白になっていた。

『我らは危うくこれほどまでの超大国との戦争に至るところだったのか!』

 その恐怖は彼らの心の奥底に沁みついたようだ。


 その一方で、ここまでの豊かさを齎した魔導と学問にも大いに惹かれ、彼らは帰国後に王立学校予算を増やし、大量の受験生を送り込んで来ることになる。


 まあ多少の思考力を持った者は、自国で国内見学ツアーを外国要人に開放するとしたら、一体何を見せればいいのだろうかと項垂れてもいただろうが。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 レオニーダスくんはまたスピッツベルゲン副理事長の執務室にいた。

 最近では脳内魔導通信で在室を確認してから転移で勝手に訪れるようになっている。


「いやーそれにしてもあの魔導学園国見学ツアーは大成功だったね♪

 極悪大使たちを300人近くも刑務所に送り込むことが出来たし。

 末端小悪党貴族なんか1000人以上も」


「はぁ」


「だからこのツアーはずっと続けて行こうか。

 そしたらこの惑星も少しずつマトモになっていくかも!」


「大海の一滴かもしれませんよ」


「だったら『100万人収監計画』にしよう!」


 副理事長閣下はレオニーダスくんをジト目で見た。


(人生5000年の叡智がまたとんでもないことを言い出したものだ。

 だがこの国の歴史を見ても、このお方さまはほとんど失敗らしい失敗をしていないからな……)


 ↑実はレオニーダスくんがどんな無茶なことを言い出しても、それを陰から支えて必ず実現させてしまう最強の大天使が50人もついてくれていたからである。

 彼らにとってレオニーダスくんは、女神さまの使徒という謂わば同僚であり、女神さまにも協力をお願いされていたのだ。

 尚、過去最大の無茶は『こんなに広い土地が海が遠いせいで極度内陸性気候になって人が住めないなら、海を作っちゃおうか♪』だった。

 あのときばかりはさすがの大天使さんたちも天を仰いでいる。

(天=女神さまのお住まい)



「あの大使が刑務所に入れられちゃった300か国は、すぐ次の大使を派遣して来るよね。

 もし送って来ないようだったら『国交の無い国とは魔導具リース契約の更新は出来かねます』って言えばいいし。

 その新任大使連中を魔導学園国見学ツアーに招待したら、また半分ぐらいは犯罪を犯してくれて刑務所に入ってくれるかもしれないよ♪」


「…………」


「そうだ!

 今回来なかった718か国の王城にも招待状を出そうか!

 王族や貴族の方々何人でも何度でも見学ツアーにご参加くださいって。

 あ、5兆石ある小麦や1000億トンある肉や野菜・果物と10億トンの砂糖と50億樽ある金貨を収納してある異次元倉庫の内部も見学させてあげよう!

 ウイスキーの樽も1億樽ぐらい置いて!

 異次元じゃあなくって国の奥地にある倉庫だって言いながら。


 そしたら300か国ぐらいはまたこの国に攻め込もうとしてくれるかもしれないね♪

 なにしろあのひとたち『下賤なる平民』が自分たちより遥かに豊かなのは絶対に我慢出来ないみたいだから。

 それなら5000人ぐらいは刑務所に入ってもらえるかもだし、それだけこの惑星の民の暮らしが良くなっていくかもしれないよ」


「ならばわたくしの次の副理事長にもよく言っておきます。

『あのツアーの真の目的は極悪貴族王族の排除である』と……

『たとえ千年かかろうとも『目標100万人収監』を達成するように』とも言っておきますので……」


「うん、よろしくね♪

 それに彼らもこの国の牢に入った方が幸せじゃないかな。

 最初は慢性アルコール中毒の禁断症状で苦しむかもしれないけど、それでも少しずつ治療魔導をかけて治してあげてるから寿命は延びてるだろうし。

 それに食べ物なんかも王城や貴族邸のものよりよっぽど美味しいだろうしね。

 なにより独房で暮らしてるからもう誰にも威信とか示さなくてもよくなって、3年もすると別人のように穏やかな顔になってるでしょ。


 やっぱり彼らも自分には血筋しか取り柄が無いことが深層心理では不安だったんだよ。

 商売では絶対に商人に勝てないし、農業では農民に勝てないし、鍛冶でも職人に勝てないし、工場経営なんか絶対に不可能だし。

 だから異常なほど平民を蔑んだり部下に怒鳴り散らしたり酒に溺れたりして不安を紛らわしていたんだろう。

 彼らが唯一平民に優越出来るのは家臣団や領兵っていう武力だけど、それだってよく考えれば先祖から代々引き継いだものだしね。

 

 だからもう魔導学園国のおかげで侵略軍も防衛軍も必要なくなっているのに、絶対に軍備縮小なんかしたがらないんだろう。

 国内治安維持兵力なんかせいぜい人口の0.5%で十分なのにさ。

 そんな無駄な兵力さえ削減すれば彼らももっともっと裕福な暮らしが出来るだろうに」

 

「はい……」


「魔導学園国の次の政策目標として、そういう無知頑迷な王族貴族勢力には学園国の牢に入ってもらって退場願おうか。

 我々は備蓄していた麦を特定の国に大量放出して麦価格を暴落させ、王族貴族家の支配する国の財政を破綻させて滅ぼすっていう最終手段も持っているし。


 でも、ムラサキ王国や農業研究所を作り始めるような国も出て来たから、そういう国も大事にしてやろう。

 だから、もし魔導学園初等部の卒業生で中等部を受験する生徒が増えたとしたら、その分中等部の『阿呆枠』も増やしてあげて欲しいんだ。

 例えば初等部卒業生100万人が中等部を受けるようになったら中等部の定員を110万人にするとか。

 そうしないと他国の王族貴族が誰も中等部に入れなくなっちゃうから。

 そのために校舎や寮や教員も増やしておいてね」


「畏まりました。

 それらの工事は既に始めておりますし、教員の養成も十分ですのでご安心ください」


「さすがだね!」



 砂漠しか無かったこの地に5000年もかけてこれだけの超大国を作り上げたという実績を有し、創世女神さまの加護により実質無限の寿命を持ち、また個人としても史上最強の魔導能力と智慧と(21世紀地球の)知識を持つ国のトップが、これを補佐する国のナンバー2に示した長期方針。

 この方針は22有る各省庁の大臣や事務次官、局長などを経て5000万人いる官僚機構に直ちに降りて行くことだろう。

 その方針を実行していくための予算も食料も資源も、この極大賢者によって既に1000年かけても消費しきれぬ超絶的な量が確保されており、実質的に無限と言っていい。

 今後は忠誠心溢れる官僚や国民たちによって、天の声にも等しいその長期方針は確実に実行されて行くことになる。




「そうそう、もうひとつお願いがあったんだ」


「なんなりとお申し付けくださいませ」


「ようやく中等部に入学出来たから、これからはもっと頻繁に女神さまのところに行こうと思うんだよ。

 女神さまや天使さんはもうボクの家族みたいなもんだから。

 もちろん長期休暇には下界の家族のところに帰るけど。

 それで中等部の寮住まいだと同室の生徒に夜いないのがバレちゃうから、前世みたいにボクを魔導研究員にして、研究所の個室居住区を貰えないかな。

 もちろん時々新作魔導や魔導具を発表するから」


「畏まりましてございます。

 既に多くの魔導や魔導具を発表されておられますので誰も不審には思いますまい」




 そう……

 レオニーくんにとって、もはや女神さまたちは家族同然だったのである……



「やあ女神さま、お久しぶり♪」


「いやん、めーちゃんって呼んでくださいませレオさま♡

 もしくは俺の女とか♡」


「「「 お帰りなさいお父さま♪ 」」」


「「「 お帰りなさいパパ♪ 」」」


「ぱぱーっ♡」「ぱぱーっ♡」「ぱぱーっ♡」




 ということで、女神さまとレオニーくんは夫婦と言う名の家族なのであった……

 女神さまはレオニーくんが神域に来るたびに、レオニーくんと同じぐらいの年齢の体に変化して出迎えてくれるのである。

(ただし20歳以上の体にはならない)


 あれはレオニーダスくんが地球から転生して来てから225年ほど経って3回目の転生を終え、25歳ほどになったころ、女神さまが両手の人差し指の先端をくっつけて、もじもじしながら言って来たのである。


「あの…… レオさま……

 次に転生される受精卵は、わたくしとレオさまの子孫のうちの誰かにしませんか……

 わ、わたくし、自分の体をヒト族の体に作り変えますので……」


「えっ……」


「で、ですからその……」


 凄まじいまでの美女である女神さまが真っ赤になって上目遣いで言って来た。

 もちろん女神さまを憎からず思っていた健康な若者であるレオニーくん25歳も、思わず女神さまを押し倒してしまっていたのである……


 ただ、最初に生まれた子は背中に天使の翼があった。


(まだ羽も生えそろっていないので手羽先みたいに見えて、笑ってしまいそうになったのはナイショである。

 いずれ成長して大人になれば、今の女神さまのように広げると差し渡し2メートルもある立派な翼になるだろう)



 まあ女神さまの子なので翼があるのは当然であるが、これでは子孫を次の転生先にするのは難しいだろう。

 それにレオニーくんは、いずれ建国する国は元首を世襲制にしないようにしたかったのだ。

 それで女神さま(愛称:めーちゃん)と相談の上、子孫を転生先にするのではなく、それまでと同じように女神さまや大天使さんたちに頼んで次の転生先を選んでもらっているのである。


 この時点でレオニーダスくんのステータスボードには、【創世女神さまのダーリン♡】という称号が生えていた。

 さらに現在では【創世女神さまの23人の子全員のパパ♡】という称号や【絶倫者】という称号まで生えてしまっていたのである!


 これによりレオニーダスくんのステータスボード称号欄の一部は『厳重秘匿事項』となっていたのだった。







次回最終回……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ