第14話
メイド長が死んだ。その知らせを聞いた時、どれほど嘘であってほしいと思ったか。
なぜ、こうも私の周りから、大切な人々が砂のようにこの世から零れ落ちて行ってしまうのだろう…
ラキナはいつも通り執務をこなす。ほぼ、すべてがいつも通りだった。しかし、メイド長がいなくなってからラキナの机の上に積まれる書類は多くなった。ざっと、2倍ほど。
はぁ…
どんなに陰鬱でも顔にも態度にも出さないところはさすがはプロだとほめるべきであろうか。それとも、感情をもっと出せと注意すべきだろうか。
お嬢様も戸惑っておられた。急に変わったのだから、仕方のないことなのであろう。しかし…
ゆーのは最近、笑わなくなってきた。感情が少しづつそぎ落とされていっていた。
気づいたのはきっと私だけだろうな。
「執事長、当主様がお呼びです。」
「わかりました。すぐ向かうとお伝えください。」
「はい。」
当主は補充された。そういっても過言はない。北雪方は由緒正しき家だ。ゆーのの特別な力も加味されたとすれば親のような人を入れ、感情の安定をはかる必要もある。
はっ。まともに公務もできず、お嬢様の父親もできないとは。とんだ無能を押し付けてくれたものだ。
早歩きで歩くラキナ。現・当主に時間を取られることほど無駄で意味のないことはない。そう本気で思っているのがきっと今は亡きメイド長にはわかっただろう。他のものは絶対気づけない、そんなかすかな感情の変化は確かにそこにあったのだから。
あんな奴に当主の座を渡すのなら、西葉方や東花方の当主に臨時自治権を与えたほうがよかった。何をしてるんだ、中央タワーの役人ども
ついに当主の部屋まで来たラキナ
はぁ…
当主の部屋にラキナが入る
「お呼びでしょうか?当主」
尊大な態度で椅子に座り込んでいる当主がいた
「やっと来たか。遅いぞぉ?」
「すみません」
「はっ、素直でいいことだ。おい、執事。あの、ゆーのとかいう小娘を処分したいん」
は?
「それは…」
「いいだろう?公爵亭は俺のものだぁッはッはッ」
殺してやるっ
人を殺せそうなほどに強い殺気が放たれた。
「ッひ…ひぃ、」
かろうじて気絶せず、ガタガタと震え指をさす。
「お、お前ぇ、上が知ったら」
「フッ、お前の命とお嬢様の命。上から見てもどこから見てもそれが悪事の見方であっても、お嬢様の命の方がずーと大切で価値が高いのですよ?何をいまさら当然のことを言わせるのですか?」
ラキナは胸倉を思いっきりつかんだ
「がぁっ、」
豚のように醜く吠える現・当主
あぁ、なんて愚かで醜いんだろうか。
「巨万の富が得られるのだぞっ!?」
「それが。どうした?」
それ以上醜く吠えないでくれ。殺してしまいそうだ
「ぐぬ、ぐがぁっ…人生をかえ」
「ダッ」
当主が壁にたたきつけられたのだ。5メートルは優に空中を浮いて
「か…は…………」
当主の意識は消えた。気絶。更に蹴りを入れようとするラキナ。しかしそこで
「お待ちください、ラキナ様」
ストップがかかった。ラキナと無能の間に一人の女性がたった。
入り口はここから10メートルはある。一瞬でドアを開け、さらにここまで飛ばなくてはならない。この女…手練れだな。
「なぜだ?」
「こいつはこちらで十分に罪を味合わせ、処理いたしますのでお引き取り願えますか?」
「こいつはお嬢様を侮辱した」
「そちらについてはすべて証拠がそろっております。ミファイア様でなくとも、北雪方の血筋の跡取りを殺す計画を立てたのですから、処理と罪の味合わせは当然です。考え、口に出すだけでも処理の対象です他にもいろいろと罪の味については計画をしておりますので」
「・・・いいだろう。」
「ご賢明な判断、心より感謝いたします。ジュウライ様の愛子様」
カツカツとヒールの音を響かせ、その場を離れようとする女
「まってくれっ」
「はい、なんでしょうか?」
「今、ジュウライさまといったか?」
「はい、そうですが」
「俺を拾ったのは、まさか…」
「えぇ、北雪が一人。きちんとした血筋でゆーの様が生まれる前に亡くなった前当主、ジュウライ様です」
「そうだった、のか」
あぁ、師匠。あなたは何を俺に求めていたのか、今ならわかる。
「ありがとう。止めてすまない。」
「それでは、また会う機会があれば」
その女は一瞬で目の前から消えた
私より強いものなどたくさん存在することは理解していたが、まさかここまで離れているとは、な。
顔が思わず天井を向く
あぁ、お嬢様。我らがお姫様。あなたを守り抜けるようにこれからも精進していきたい所存です。
元気に、生きていってくださいませ。
読んでくれてありがとうございました。連載していく予定なので心待ちにしてくれると嬉しいです。高評価、感想、誤字脱字などたくさん送ってくれると嬉しいです。
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