第12話
何分がたっただろうか、二人共泣き止んだ
「ゆーの、お前の力は無限の可能性を秘めている。自分の思いのとおりに世界全部を変えることすら、可能だ。発動条件は、お前が自覚したときだ。」
「そうなんですね。」
「この世界にはリメイアルと呼ばれる超能力を使う者たちがいるそれは全体の98%を締めている。残りの2%は無為と言って、その能力を打ち消すことができる。私は、その無異だ。
そして、お前はリメイアルでも、無異でもない、たった1人の存在だ。約100年に1度生まれてくる、一世帯にひとりの存在だ。その存在は昔は崇め称えられ、聖女や巫女、神官として神に仕えるものだとされてきた。しかし、3度、その力を扱うその存在は誘拐され悪用もされた。殺人も侵したし、戦争も起こった。だから、この世界はそれを恐れ、お前にそれに関する知識を一切与えなかったんだ。」
ふーん。さすがに世界に一人までとは思わなかったし、そんなにすごい力を持ってるとも思わなかったけど、やっぱり『特別』だったんだ。だからって、こんな仕打ちは嫌だ。世界、なんて…
「お前は、これで自由だ。これまで話せなくてすまなかったっ…。」
「いいの」
ゆーのは笑った。
「おとうさん、心配しないで?私、平気だよ。」
まくしたてるように、
「大丈夫。ありがとう。」
自分の悲しみを悟られないように
「おとうさんは、私が知らないことをたくさん教えてくれた。そして、最後にはとても知りたかったことを教えてくれた。」
涙をこらえて
「だから、大丈夫、平気だよ。」
最後は自分に言い聞かせるように。
「ありがとう。」
そう言って、ゆーのは当主に抱きついて、でも、それは一瞬のことで。
すぐに離れて、出ていった。
次の日、どこにいっても、お父さんの姿はなかった。家からすでに消えたのだ。これまでの奴らと、同様に。
ゆーのは頭の何かがはち切れるような、そんななにかを感じた。
ゆーの自身はさして問題もなかったように感じていた、がメイドたちは違った。強大な、神を前にしたかのような、畏怖する感覚に襲われていた。じぃだけは何も問題がないような涼しい顔をしていつも通り、仕事をしていた。
中央タワー
中央タワーはゆっくりと、崩壊していた。
卑劣であったり、悪劣な人間や、偉い人間がいるところは一瞬で崩壊し、その人間たちは崩落に巻き込まれ、見るも無惨な亡き人へと姿を変えていた。
しかし、善良であったり、誠実であったりする人間達は無傷でいられていた。しかし、その胸に残ったその恐怖を消し去ってはくれなかった。
「なんで…こんなことになってるわけ?」
「最近は暴走が多いな。」
「そーいや、今日死刑囚が地下に来るらしいぜ。」
「それはとてもきな臭い。」
「その死刑囚、罪人じゃなくてなんかやらされてて孤独の存在のお気に入りになってたんじゃないの?」
「見に行ってみるかー」
「そうだな…」
そういうと3人は地下へ向かった。運が良いのか悪いのか、地下は全く崩落していなく普通に階段を降りることができた。
「えーと、ここだ!」
そういうと女の子ではなく口調が他二人に比べると丁寧な方の男の子がその男に声をかける
「こんにちは」
「やぁ……!?君は…ゆうき君かい?」
「なんで僕の名を…?」
「ねえ、この人、ゆーののお父さんのカルアさんだよ!」
「え、」
「あの北雪方の当主!?」
「あぁ、いかにも…と言いたいところなんだが、ついに昨日、ゆーのの父親じゃなくなってしまったんだ。君たちに会えてよかったよ。ゆーののことをよろしく頼むね。」
は?
3人の心の中はそれだけだった。なぜなら、この男…ゆーのの父親であるカルア(仮)を信じるならゆーのは生きている、ということだから。
「ね、ねえ、カルアさん、ゆーのって、生きてるの?」
「?…死んでるわけないじゃないか。」
「う、そ…」
「まさか、こういうことだったなんて…」
「ちっ、あいつら俺らに嘘つきやがったな…。」
「こんな簡単な嘘に騙されてたのかっ」
「あ…、カルアさん、まさか、リメイアル重要機密保管庫を襲撃していたのは」
「ゆーのだよ…」
「そんなぁっ!」
三人は一度ゆーのを殺そうとしてしまったのだから
「とにかく、ゆーののところへ行こう」
三人が後ろを振り向き向かおうとすると
「そんな簡単に行かせるわけないじゃない」
「っ、お前はっ」
三人を騙して連れてきたこの悲劇の元凶、
「私のこと、忘れちゃったの?」
ゆーのの母だった
北雪方 ゆーの視点
「はぁ…はぁ…はぁ………、何、が起きて…るの?」
この前のあのときの何十倍もの疲労感がゆーのを襲っていた。体が全く動かないどころか、声を一言発するのにも体力を奪われる。
メイドを呼ばなきゃ…
「じぃ…」
そう思っていたのに出てきた名前はじぃだった
なんで…?
すると数分後、ドアをノックする音が聞こえた。
「お嬢様、入りますね…お嬢様っ!」
焦る声
「大丈夫ですか、お嬢様、意識はありますか?」
「え、えぇ」
「良かったです。…非常に言いにくいのですが、中央タワーが崩壊しました。」
「お父さんっ…」
さっきの声とは段違いによく響く声が放たれた。しかし…
くる…しい
「ゲボッ…ガッ………はぁ、はぁ」
「お嬢様っ…御当主様、カルア様はご無事です。」
「よかっ…た」
それは声としてカウントしていいのかすら判らなく、空気と言われても過言ではない…それほど微量な声だったが、長年仕えてきたじぃにははっきりと言っていいほどきちんと聞こえていた。ゆーのはその言葉を最後に気絶した。
「お嬢様、私がやってきます。」
鬼は出るときそう一言呟いて静かに出ていった
鬼は殺気を振りまいていた。殺気で人を殺せそうなほどに。およそ人ではないスピードで中央タワーへ走る。彼の前に立ちはだかる数々のセキュリティは意味をなさない。壊れてるわけでもないのに反応しないのだ。鬼は微笑む
リメイアルでも、無異でもなくてよかったと
そう、鬼は鬼なのだ。なんの才能もなかった…いや、現代人が当たり前に使える能力が欠如していた。才能なんて大それたものじゃないのに。
そんなじぃを拾ったのは当時、少し偉い地位にいたとある男だった。
読んでくれてありがとうございました。連載していく予定なので心待ちにしてくれると嬉しいです。高評価、感想、誤字脱字などたくさん送ってくれると嬉しいです。
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