第11話
その後、無意味だと分かっていたが西葉方も襲った…紅亜にばれる可能性も考慮してこれは得策ではないということはゆーのも十分承知していた。
ゆーのはいつもの服…ではなく自作の服を着ていた。ゆーのの家である北雪方の使用人に作らせたわけではない。本当に自分で作った物だ。窓から飛び出す。
西葉方リメイアル重要機密保管庫に向かう。
「ひゅ…」
風の音が切れて伝わる。耳に伝わる音は全て途切れ途切れだった。それほどのスピードを出してなお体は原型を留めている。
「トン」
わずかに靴音を鳴らして屋根の上から降りた。着地とは言えない。それほど自然すぎていた。
ガランとしていて無防備な場。
嘘だ…罠だねぇ、これは。別にぃ、いーんだけどね〜おもしろそーだし。
ゆーのは資料に手をかけコピーしようとする。
ゆーのがいた場所を弾丸が飛ぶ
「っ!?」
「あれ〜?このてーど(程度)なんだ。つまんないの。」
おもちゃで遊ぶのに飽きた子供のような反応。ゆーのに向けて銃を撃った女は焦っていた。それと同時に油断のない顔になった。
「ねえ、泥」
「泥棒じゃない。知りたいことを知るためにぃ、探す、たんきゅーしゃ(探求者)だよ?」
「あら、そう。でも容赦はしないっ!!」
女が声を荒げた。ゆーのの後ろから拳が飛び出るがゆーのは顔をヨコにずらして避ける。
「ん?まぁまぁ面白そーなやついるねー」
男が苛立つ
「余裕ぶるなよ?お前には地獄が待ってるんだからなあ!」
「ん?私は地獄には行かないよ?」
当然のようにはなった言葉
「はぁっ?比喩もわかんねーのか?」
「ププッアハハッ」
狂ったように噴き出し笑う
「ばかじゃん」
ゆーのの輪郭が少し揺らいだ
紅の雨が降った
「っ!」
「やっぱり、気づきはするんだぁ〜。」
男の胸板から血が吹き出した。しかし、浅い。適切な治療をすればすぐにあともなく治る程度。
「んんん?」
どうしてなのかな〜?
「いっ」
「こうすけっ!?」
「コウスケ?」
聞いたこと、あるよーな気もするけど〜
「お前ぇっ」
横目でチラリと男を見、
「まぁ、いっか」
その言葉が発された瞬間ゆーのは白い煙となっていなくなっていた…
同時に黒い車が到着した。
男が急いで出てくる
「あいりっこうすけっ、あいつは!?」
「もう…帰ったよ」
ぶっきらぼうに言った。あいりと呼ばれた女が不機嫌なのは一目瞭然だった。
「そう…か」
後から来た男も不満そうだった
その2日後
「お嬢様〜、当主様がお呼びでーす。」
今…?あれ、それに接触禁止みたいなのになってなかったっけ?
「急用ですか?」
「はい。急ぎのようだそうです。」
「わかりました。今行きます。」
はぁー。何でこうなるの?
だだっ広い廊下を歩いていく。
学校の廊下こそこれくらい広くするべきでしょ。
でも、これが現実逃避だってことくらい、分かってる。
「コンコン」
「ゆーのです。お父様。」
「入れ」
「失礼いたします。」
「ガタン」
ふぅー
「ガタン」
はぁー
「お父様、なんのようでしょうか?」
「ゆーの、私はほN…」
あぁ、ついに、この時が、か
「わかっています。だから、だから、い、言わないで…、くだ…さい。」
本当に、なんで、今更、こんな時に。
一息の間
「なんだ、わかっていたのか。ならいい………私は、お前の親じゃなくなる。」
うん…。でも、
「そ、それは、どういうことなの?お…」
私は、理由がないなら抗議できる
「ですか?お父様。」
「私は、お前のことを知りすぎた。私とそなたの生活が始まるとき、私は疑問に、思ってしまった。なぜ、そなたの親をしなくてはならないのか…と。だが、私の子供は病でいなくなった。それもあり、悪い気はしなかったのも事実だ。そなたの異能を調べた。外見が変わるどころか、何も力を発さない。それを調べた結果がこうだ。………まぁ、別にそなたは、何も思わないのだろう。だが……」
「そんなこと、そんなこと、言わないで、お父様…うっぅ。ここまでず、ずっとにいて…いてくれたのに…な、何も、思わないわけっ…ないじゃないですか…」
この今のお父様は、『偽リ』であると同時に本物のお父様なのだ、私にとっては…そう。6歳ぐらいの、頃から今のお父様になったのだ。それまでは、つめた〜いお父さんだったり、かまってくれないお父さんだったりした。でも…でも…、お父様は違った。はしゃぐ姿もおねだりする姿も真剣に見たり考えたりしてくれて、私のことを受け止めてくれた。そんな、そんな、お父様のことが、ことが…どうでもい、いいわけがない。自分でそんな、価値がない、みたいなこと……言わないでほしい。
「ゆーの、」
「は、はい…お、お父様。」
「お前は私の自慢の…娘、だ。」
「うっ。」
「お前は、胸を張って生きろ。私は、お前を信じてる。これから、困難な事があるかもしれない。それに苦しい事もあるかもしれない。でも、お前は、切り抜けると信じている。がんばって生きていけ。」
「…」
「がんばれ、ゆーの」
背中に暖かくて大きくて私をやさしく包み込んできてくれた手が置かれた
アあぁぁぁっ…、おとうさま、おとうさまっ
「はい」
お父様が、そういうのであれば。
その目は意思で満ち溢れていた。
外で見ているじいの目から涙が出ていた。
「お嬢様…」
なんて私は無力なのだろうか、お嬢様の唯一の願いさえ、叶えて差し上げることができなかった…
「お嬢、様…」
申し訳、ありません…
読んでくれてありがとうございました。連載していく予定なので心待ちにしてくれると嬉しいです。高評価、感想、誤字脱字などたくさん送ってくれると嬉しいです。
ブックマークもよろしくお願いします。




