2*2人の出会いは突然に
「『銀の魔女』!」
怪物が叫ぶ。風歌は、銀髪の少女から目が離せない。
「アルン、なの…?」
少女は「また後で」と口パクをして怪物に向き直る。
「だから、私の“鵺”にその醜い姿を見せないでくれるかしら」
「醜い!?」
少女は鼻で笑う。
「ええ。とっても醜いわ」
怪物は怒りに震えて、少女に噛み付こうとするが、無駄な動き1つせず躱す。少女は、怪物の視界に入らないように後ろへと回り込む。
「どこへ行ったぁ!?」
「トロいわね。その程度じゃ私に勝てない」
少女は太刀を左から右に、水平にふるった。その太刀捌きが早すぎて、風歌には見えなかった。
(すごい……強い!)
「ぎゃああぁぁぁ!!!!」
半分に斬られた怪物は、悲鳴をあげながら消えた。最後に残ったのは、白に輝く小さな丸い石。少女はそれを拾い、自分の目の高さに持っていく。
「白…しかも小さい。一番最低ランクね」
「あ……」
風歌はゆっくりと少女に近づいていく。
「ありがと…アルン、だよね?」
「正確にはアルジェントよ。けど君はそう呼んでたわね」
(やっぱり…夢に出てくる子だったんだ)
風歌は、手に力を入れる。
「この怪物…なに?意味分からないことばっか言ってた」
フィールド、鵺、銀の魔女。それからこの赤に染まる住宅街も謎だった。
「そうね…風歌には話さなきゃいけないことがある……」
アルンは、「解除」と小さく呟き、元の住宅街へ戻した。
「今のは、フィールドという名の結界を解除したの。風歌と話しをたくさんしたいけど…もう夜」
明日はちょうど土曜日。弓道部も土曜日と水曜日は休みだ。
「じゃあ…明日会おう!明日、朝10時にあの電波塔……三吉タワーの下で」
風歌は、緑に光っている三吉タワーを指さしながら言う。
「わかったわ。明日、朝10時に……」
そう言ってアルンは家の屋根に跳んで、跳んで、消えていった。
その後、無事家に着いた風歌はベッドに直行するなり、カバンを放り投げダイビングした。
(なんか…凄かったな)
さっきの出来事を思い出す。
赤い住宅街(赤いとフィールドが展開されている状態らしい)、怪物に、アルン。
(うちが見てた夢…やっぱり意味があったんだ)
ゴロン、と寝返りをうつ。夢には、必ず風歌とアルン。それから名前は忘れたが、仲間も何人かいた。そして、敵と戦っていた。
(そういえば…夢の中の時代っていつなんだろ?)
毎回、見るたびに違うのは、場所だった。昨日は、白い教会っぽい場所。一昨日は、何もない原っぱ。
(たしか、空に浮かんでいる城みたいなところに襲撃した夢も見たような……見たっけ?)
「………」
夢を思い出そうとして1分。限界を超えた風歌の頭は爆発。
「うがああぁぁぁ!」
「うるせー姉貴!マ〇オ死んじまったじゃねーか」
「黙れ風歌!今ドラマ超いいとこだから」
中学二年の弟と、高校二年の姉に怒られた。
(空のやろー…マ〇オの弟も桃とかいう名の姫も死んじまえや。それから葉結姉、見てるのがチャン〇ムの誓いってどこの主婦ですかあ!?)
気が付いたら、風歌は寝ていた。
気が付くと、風歌は空に浮かんでいた。
(夢の、中…?)
下を見ると、風歌とアルンの2人しかいない。場所は…建物の屋上らしい。
――アルン、この戦いはいつまで続くと思う?
(いつまで?そんなに長い戦いがあるの……?)
――いつまでかしらね…それは、誰もがわからない。 私たちの来世まで666年後か、1332年後か、1998年後か……
――666年は長いね。私たちが死んでからまたアルンに会うまでこんなに年月がかかる。
――長いわね。その間に、時代はどんどん変わっていく。
――でも、私たちは変わらない。
「ふーうーかー!!! 早く…起きろおおおおぉぉおぉ!!!!!」
「ぎゃあ!?」
葉結のバカでかい声で目を覚ます。葉結に文句を言おうとすると、遮られた。
「風歌に友達。アルジェントっていう外人の子」
「いいい今何時!?」
風歌がベッドから降りて時計を見るのと、葉結が時間を言うのは同時だった。
「アルン!ごめん、寝坊した☆」
急いで支度をすませ、階段を掛け降りてアルンに謝る。
「ん。風歌だから許すわ」
腕を組んで言った。風歌はよかった、と言って笑う。すると風歌の母、千草がやってきた。
「風歌ちゃんのお友達? そろそろお昼になるし、うちで食べていきなさいな」
栗色の髪を1つに結んだ、優しそうな人だ。
「え…そんな、悪いわ」
「悪くないよ!お母さんが言ってるんだよ?食べていきなよ」
風歌はにっこり笑い、
「風歌ちゃんの言う通りよ。食べていきなさい」
千草は黒く笑う。2人に負けたアルンは是、と言うしかなかった。
(昔から風歌の笑顔には、どうも弱いわね…)
1人アルンは思った。
「お、珍しく皆揃ってる!」
居間に入ると、大野家全員集まっているらしく、風歌が言った。
「アルジェント・ディア・スモルツァンドよ。よろしく」
アルンは威厳とした態度を崩さず言った。
風歌も画像を1人1人紹介する。
座椅子にあぐらをかいて座り、競馬を見てるのが父の晴大。 道場を受け継ぎ、今は70人もの人に教えている。
素敵な笑顔でご飯の支度をするのが千草。結婚前は晴大に剣道を習っていたらしい。怒ると一番恐い。
チャン〇ムの誓いについて語っているのが、姉の葉結。葉結は晴大から空手を習っている。 頑張って弟に話し掛けているが、シカトされるオチ。
壁に寄り掛かり、葉結の話しをシカトしているのが弟の(そら)。
晴大から薙刀を習っている。 ゲームと陸上が命。
千草が作ったお好み焼き(アルンは初めてらしい)を食べ、2人は風歌の部屋に行く。
「お好み焼き…だっけ?」
「そだよ。アルン、気に入った?」
ベッドに座りながら言う。風歌は、アルンに椅子に座るようジェスチャーし、アルンはそこに座った。
「ん。美味しかったわ」
「そっか!」
風歌は嬉しそうに笑う。
「ところで、昨日の話しだけど」
アルンが持ち出した話に、部屋に緊張感が張り詰める。風歌は姿勢を正し、アルンの次の言葉を待つ。
風歌は思ってもみなかった。
毎日、学校行って、笑って、部活をして、平和な日常を送るだろう思っていた。
まさか、永き戦いに巻き込まれるだなんて―――
ぐはっ!
風歌とアルンの絡みを多くしたいとか言ってできてない!
チャン〇ムは、友加の母さんがよく見てます←
マ〇オは、友加がはまってたやつです。
次回こそ、2人の絡みを…!




