今と過去のはざまに
輪郭が定義される前の時間に僕は瞑想にふける。
右手に小さい手をにぎりながら、
先ほどキスをした興奮を冷ませぬまま、
左に広がる星のカーテンを当てもなく見ながら、
この瞬間の終わりについて考える。
自分はクズだと思う。中途半端なやさしさと、偽善と意図的な優しさがさらにそれを助長する。
でも仕方ないとも思う。顔が大事なこの世の中において、自分のタイプでない女は切り捨て、また、さらにタイプな女を求めて男は浮気をする。
世はまさに顔面がこの世のすべてである、大海賊時代なのである。
この瞬間は二人だけのもの、でも終わらせるのは二人とは限らない。
過去に思いをはせる
上京して間もないころ、インスタグラムを使って、自分の寄生先を見つけるために色々な女の子にアプローチをした。そこでひっかかった女の子と遊ぶことになり、一度目は、立教大学を見に行き、オムライスを食べ、渋谷スカイに上った。二度目に自分の誕生日の日に、会ってもらいその日一緒に泊まった。
その夜
キスをする前に問われる。
「ねえ、ゆって」
「なにを?」
「わかるでしょ?」
「なまえ?」
首を横に振る
「かわいい」
「それもだけど」
「す、すき」
「うん、わたしも」
ムチムチした小さい体に包まれながら感情が死んだ。
それ以降、何回遊んだかはもう記憶にないが、最後は覚えている。
浅草に彼氏と行くのが夢と言ってる彼女に対して、僕は死んだ感情で答える、「いいね行こうよ。」その日僕はこれ以降合わないということを示そうと決意していた。その日には皮肉にも恋の南京錠の前を通り、さらにおみくじでは100ある中の1のさらに大吉が出た。神様のいたずらのまにまにはいかず、
冷めきった顔に、笑顔はともさず別れ際に僕はゆう
「ありがとう、お元気でね」
「うん、本当だね。こうすけこそおげんきで」
この瞬間鳥肌が止まらなかった。そっけない態度を感じ取ったのか、相手もわかっていたのだ二人の関係のおわりの時を。