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中庭にて

出たかった(・・・・・)』ではなく

でたい(・・・)』か。


過去系ではないのだ。


(終わってる、ハズなのに……?)



顔に出ていたのだろう、ユグが答える。


「精霊界ここと人間界とでは流れる時間の早さが違う。」


なので、まだ人間界の時間は卒業パーティー前。行こうと思えば間に合うらしい。


こちらの1日が向こうの1時間と同等。

しかし、こちら側の老いと云う時間の流れは失くなるのだそうだ。


「いつまでも、ずっとずっと一緒にいられるぞ。」

と無地気に嬉しそうな笑顔で言うユグ。


容姿は色気ある美丈夫でイケメンこの上ない。


若干ストーカー気質があるが故、ヤンデレ発言にも聞こえなくはないが……中身は無邪気で素直だ。


きっと他意はない……


しかし、ゲーム内ではもう少し大人っぽい振る舞いをしていた気がする。


ゲームとのギャップ。


ゲームと現実の違い?とも思ったが、他の攻略対象達はほぼゲーム通りだった。


ならば何故?


攻略対象達の記憶喪失と関係あるのか?


ストーリーと関係なくティアが精霊界に来てしまった事も問題?

何がどこまで原作とズレてしまってるのか見当もつかない。



一人で考えを巡らすティアに

改めて『行きたいか』と、ユグが聞く。


「起きた時に言ってただろう。」


本当は行かせたくないけど。

そう言いながら、最後はティアの意志を聞いてくれる優しさが嬉しかった。



正直、彼らに会うのが怖い。


まるで知らない人を見る冷たい目。

興味無さ気な回答。


皆の笑顔を覚えてるだけに受け止められる自信がティアにはなかった。

皆と笑い合った時間の分だけ胸が締め付けられる。



幸い『愛姫』の、こちらの世界に心配する家族はいない。


『愛姫』のティアは親を無くし、拾われた男爵家で頭の良さと聖なる力の発覚で養子になる。

国に聖女と認められ学園への入学を認められるのだ。


男爵家の家の者は保護者であるがティアにとっては家族ではない。


今、ティアとのぬくもりをくれる繋がりがあるのはユグを含めた精霊達だけ。人間界に戻った所で一人ぼっち確定だ。


だから精霊界にいさせて貰おうと思った。


現実逃避と解っていても、向き合える勇気はまだ無い。



パーティに行きたいのか答えられずにいると

「まだ6日ある。ゆっくり考えるといい。」

そう言いながら頭を撫でてくれた。


手付きが柔らかく優しい。


いつの間にか涙が溢れていた。


慰めてくれるのだろう。

優しい暖かい手が心地良く、涙が止まるまで撫でてくれた。




涙も止まり程よく落ち着いた時

「夜は星を一緒に見るぞ!!」

満面の笑みのユグが言う。


「ティアは星が好きだろう。だから夜を作った・・・んだ。」


ん?


「俺様は凄いだろう!」


ドヤ顔ユグ。


作った?とは??



そもそも精霊界に季節と云う概念がなく、一年に光季こうき、闇季あんきの二つの季節みたいな物しかないと言う。

光季はずっと明るく、闇季はずっと暗い。

昼も夜もない。


だからティアが馴染める様に一日を作ってくれた様だ。特に夜に力を入れて。


「いつかティアと流星を一緒に見ようと思ってた。」


ニッコニコのユグ。



ここで思い出される『愛姫』のメインイベント。


ゲーム後半、好感度が高いキャラと唯一夜に発生する人気の高かったイベントだ。


なんせ、いつもと違う衣装の攻略キャラ達に会える。


そしてスチルの綺麗さ。圧巻の一言。

神絵師様ありがとう!!


そのイベント前のセーブデータを残し、クリアした後も何回もそこだけプレイ。


もちろん、アレクルートを。



それほどまでやり込んだ流星イベント。

現実で体験しても夢見心地とはこの事かと思う位、大満足だった。


その流星イベント。


それを見られていた?

ですよね。


知ってるという事は、いつかのアレクとの流星群イベントを覗き見していたのだろう。


夜まで作る、壮大なロマンティストで豪快なストーカーだ。


ここまで来ると清々しい。


遠くを見ながら答える。


「せっかく作ってくれたなら見ないとね。」

「ティアっ!!」


喜んだユグがティアに抱き付く。

突然はビックリするけど抱き着かれる事には慣れてきていた。


それ所か、楓だった頃の実家で昔に飼っていた大型犬を思い出して懐かしい気持ちになる。



生前の家族は元気だろうか?


祖父母と両親と弟。

転生したばかりの頃は良く思い出していたが…

久しぶりに家族が恋しくなった。




その日の夜、6大精霊の王に会う事になる。



数日とはいえ居候させて貰う身。

しっかり挨拶だけはしておかないと!


意気込むティアだが

その召集理由に驚愕する事になるのを、まだ知らない。


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