会議再開②
会議再開早々、ウィルソンが新たな報告があった事を皆に伝える。それが良くない事だと、青くなった顔色を見れば推測できた。
休憩中に慌ただしく入って来たウィルソンの部下らしき人物と話してから、ずっと渋い顔をしている。
「卒業パーティの前に大規模な討伐、又は失踪者、行方不明者など、贄になっただろう情報を探していました所……1件……報告が……ありました。」
言い辛そうなウィルソン。
「王都より西に馬車で4日程の、森の中に500~600人の村が、あったそうです……」
皆が、まさか、と思った。
「……突然……消滅した、と……報告が、ありました。」
嫌な予感が的中した。
命は久しく尊いが、せめて動物であってくれたら。
せめて、魔物であってくれたら……
「……エウレカ嬢……ここまでするのか……」
アレクが呟く。
嫌われているとは言え、ティアでさえショックを受けてたのだ。まさか己の欲の為にそこまでするとは。
昔から知ってるアレクとフレデリック。
幼馴染であるが故、今のエウレカと昔のエウレカを思い比べているかもしれない。
2人を見ると顔色が良くない。
ここにルカが居なくて良かった。
親戚として責任を感じて居た堪れない気持ちになっていただろうと思う。
「また少し休憩を入れますか?」
心配して聞いたティアに首を横に振る2人。
「早く解決した方がいいと思うので……」
フレデリックの言葉にアレクも頷く。
2人の何かしらの決意を見た気がした。
「もしかしたら、フードの男の単独かもしれません。イクレイ様は知らない可能性もあります!」
2人を見てたら言わずにはいられなかった。
だから、と言いかけてアレクに止められる。
「かと言って、無実になる訳では無い。その力を使ったのはエウレカ本人だ。知らなかったでは、済まされない。」
「……そう……ですよね……」
被害を見れば、アレクの言う通り知らぬ存ぜぬで済まされない。
そのまま無罪にしたとして民衆にその事が知られれば、貴族主義だと市民から暴動が起こりかねない。
会議室に重い沈黙が続く。
それを打破したのはジンだった。
「ねぇねぇ〜見て〜!!」
何やら、手に持っている。
嫌な予感が一同を襲う。
「犬のう〇ち〜!!」
子供か!!
嬉しそうに笑いながら見せようとしてくる。
「うわっ」
「やめろ!!」
狙いはアレクとフレデリックらしく追うジン。
逃げる2人。
会議室で追いかけっこが始まった。
捕まったフレデリックにう〇ちを投げる。
咄嗟に避けるフレデリック。
2人攻防戦の横でティアが転がる物を拾う。
ギョッとする一同。
「汚いから捨てなさい!」
「消毒しないと!」
慌てるユグとアレク。
「懐かしい〜!これかりんとうだよ。」
????
皆の顔に?が浮かぶ。
落ちていないジンの手にあるかりんとうを貰い、皆に1つずつ食べる様に進める。
う〇ちに見える得体の知れない物。
食べるのも勇気だ。
意を決したユグ。
パクリ。
「……甘い」
ティアが進めるので渋々食べたユグがビックリした顔で呟く。
それを見ていたアレクも食べる。
「本当だ……」
それに続いて皆が口に入れ、見た目のキャップに驚く。
「これはどこに売ってるのですか?」
ウィルソンがジンに聞く。
何でもウィルソンの奥様が無類の甘い物好きで、珍しい物を求めているとの事。
素直に教えるとは思えないとアレクが止めるが、何か交渉したらしくジンに場所を教えて貰いホクホク顔だ。
交渉中のウィルソンとジンの怪しい笑みは見なかった事にした……
愛妻家で有名なウィルソン公爵。
きっと奥様の為、帰りにでも寄る事だろう。
「さて、本題に戻ろうか。」
場も和んだ所でアレクが話を戻した。
そこへイフリートが入ってくる。
「結界の方は万全だ。その、何とかって令嬢の所へ行く時が決まったら教えくれってアテナが。」
レムが頷く。
まだ途中らしく烈火の如く勢いでイフリートは戻って行った。
その後はエウレカと会う事での注意点と質問等の確認事項。フードの男の事を聞けるだけ聞く様にと、優先事項を決め紙に書き出していく。
エウレカに聞かなければイケない事。
聞きたい事もティアにはあった。
聞く事も決まり、大まかな当日の流れを決めお開きとなる。
細かい部分は専門の部門が取り決める為、各責任者が話を詰める事に。
急を要する物だ。
会議後、蜘蛛の子を散らす様に各々が持ち場へ急ぐ。
大役を任され、緊張してるティアにレムが話しかける。
「ティア様。少しよろしいですか?」
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