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会議再開①

会議は予想よりも少し日を置いて再開される事になる。




エウレカが保護されていたことが判明したのだ。


生きていた。

そして闇に呑まれていなかった。


救われて嬉しいと思う反面、ティアの心には不安も募る。


またあんな事が起こったら……

またユグが狙われて危険に晒されたら……

失う恐怖。今度はそれが現実となったら……


やっと好きだと気付いた大切な人。

失う訳にはいかない。



『イクレイ公爵令嬢がヴェイン男爵令嬢にお会いしたいと申しています。』


ふ、と過ぎる卒業パーティでのエウレカの狂気に満ちた顔。

向けられる悪意。


何か思惑がある?

何も無いわけは無いだろうと思う。

しかし何故、ティアを名指しで?


精霊界側はもちろん、人間界側も何か企んでいるだろうと警戒している様だった。


それもそうだろう。

卒業パーティでの事を思えば何もないと思う方がおかしい。


先ずは会うのかどうか。

そして会うならばそれ相応の対策を。

という事で、バタバタと慌ただしい中の会議開催である。


レムとプルートーも何かを掴んだみたいだった。




会議室に前回のメンバーに加え、今回はジンが始めから席に着いている。


参加する気があるのか無いのか、鼻歌を歌いながらお菓子を美味しそうに頬張っている。


アレク、フレデリック、ルカ、ロバートは気にしつつも、見ない振りを決めた様だ。


「さて、始めましょうか。」


レムの言葉で人間界側の報告から始まる。



「イクレイ公爵令嬢は卒業パーティの翌日には保護されていた様です。」


ウィルソンの報告によれば、保護当時はエウレカが誰か判明していなかった様だ。


それもそうだろう。


王都より馬車で2日かかる距離の街中で倒れていて、意識が戻ったのも3日後だった。

その為、豪華なドレスと装飾に身分の高い貴族だろう事は判別できても、誰とまでは分からなかったのだ。


始めは盗賊や山賊に襲われた可能性を疑われたが、衣服に汚れも無く装飾品も身につけてた事からその線は消える。

逃げてればドレスの裾は汚れるし、襲われた時点で装飾品等は奪われてしまうからだ。


次に家出者や行方不明者やに該当者がいないか。

が、まさか王都からとは思わずそちらまで調べてはいなかったのだそうだ。


「目を覚ましたイクレイ公爵令嬢本人の証言とイクレイ公爵家への確認により、本人であると判明致しました。」


「……でも、なぜ近くもないシルプエアの街で倒れてたのか……」

アレクの言葉にロバートが

「何か繋がりがあるんですかね?」


それを否定したのはレムだった。


「単純にティア様の聖なる力により闇に呑まれず弾かれただけの事だと思います。」

「強力な力に弾かれては、力のない者は気力も意識も保ってはいられまい。場所も選べた訳ではなく、近かっただけ幸運よな。」


同調したプルートーが言う。


「近かった……?もしかして……遠くも、有り得たって事ですか?」

ルカがプルートーに問う。


「国外かはたまた空間の狭間か、有り得た未来だな。」


人間界側はゾッとした。


エウレカは本当に幸運だったのだ。

本人の幸運のみなのか、何かの力が加わったかは今の所分からないが。


話す機会はできた。


謎のフードの男を探すしか解決しないと、蜘蛛の糸より細い糸。その糸を手繰るしか手が無いと思われたのに、目の前に現れたのだ。



会わない選択肢はない。

満場一致で会う事は決定する。


だが、ここで問題なのはエウレカの力の事。


『1人では行かせられない。』

ユグとアレクが危ないからと譲らない。


持ち物や身に付けている物に魔力増加や護身となる様な物は無い事は検査で判明していた。

なので忘却魔法の様な大規模な魔法は1人では使えないと思われる。が、警戒するのはエウレカに加担してると思われるフードの男。


何もしないとは思えない。


何が目的なのか、何がしたいのか判明していない以上、念には念を入れないと会う事さえ許可出来ないとユグもアレクも首を縦に振らなかった。


「もしかしたら対策出来るかもしれません……」


ポツリと呟いたのはアテナだった。


皆の目がアテナに向く。


「レム。アレは確認されてどうでした?」

「きっとあなたの思ってる通りだと思いますよ。」


2人のやり取りに疑問符の皆を置いてけぼりに

「では結界を張って対策致しましょう。イフリートとプルートーを連れて行きますわ。」


「へ?」

蚊帳の外だと思っていた自身の名を呼ばれてビックリしてるイフリート。

あんぐり空いた口から、ジンからお裾分けされたお菓子がポロリとこぼれ落ちた。


「汚い!!」

隣で怒るポセイドン。


そんな様子も気にせずニッコリ笑って

「あなたとあなた。お借りしますわね。」

ルカとロバートを指差すと有無も言わさず


『さぁ!行きますわよ!!』


女王様よろしくイフリート、プルートー、ルカとロバートを引き連れ颯爽と会議室を後にした。



呆気に取られた一同。


ちょうど良いので休憩を挟む事に。


それまで大人しくお菓子を食べていたジンだったが、座ってる事に飽きたらしく

『遊んで来る〜』と窓から飛び出して行った。

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