暗闇
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暗い部屋に1人。
暗闇から浮き出たように佇んでいる。
彼方を見ながら失くしたモノを考えていた。
見えない何かを探る様に。
愛した少女。
いつも笑顔で笑っていた。
その存在自体が眩しかった。
幸せだった。
ずっと、ずっと
一生続くと思っていた幸せ。
しかし、時は無情だった。
人間に訪れる平等な死。
少女も例外なく老いて生涯を終える。
男1人を残して……
男は人間ではなかったから。
訪れる死というものがあるハズもなく、少女が居なくなった後の途方もない時間を1人で過ごす。
元々、男には力があった。
少女が望めば永遠の命さえも手に入れる事の出来る程の力。
でも少女は人間である事を願った。
人間として歳を取って死ぬという事を。
男は反対すること無く、彼女の願いを叶えた。
少女は大人になり、老人となり生涯を全うする。
安らかな、綺麗な死に顔だった。
もちろん後悔はない。
彼女の願いだったから。
後悔はない。
ハズだった。
しかし
もう、彼女に会えない。
男を呼ぶ声。
男を見る目。
困った時の仕草。
甘えたい時に少し照れた様に笑う顔。
でも、もう彼女はいない。
笑顔を見れない。
声も聞けない。
彼女を頭の中で、何度も何度も想い出す。
想い出を抱え、長い時を1人過ごした。
どの位1人だったのか覚えてない位。
『セシリア』
彼女の名前。
長い長い刻。
気が遠くなる程の長い刻。
途方もない時間を1人で過ごす内、彼女の名前だけしか思い出せなくなっていた。
会いたい。
でも会えない。
笑顔が見たい。
顔が霞んで思い出せない。
愛しいのに。
気持ちだけは鮮明なのに。
会いたい
あいたい
アイタイ
その想いばかり募る。
想いが積み重なり、男の心に塵の様に積もる。
そして、それは男の心を蝕み始める。
男の心は、徐々に、少しづつ狂い始めた。
そんな時
1人の少女が目に映る。
ハッとした。
見た瞬間に感じたモノ。
ニヤリと笑う男。
目の前に『セシリア』の魂を持つ少女。
『いないならば、代わりを手に入れればいいんだ。』
どうしたら手に入るか思案した。
少女を見つけてから気付いた事。
直ぐに名案が浮かぶ。
名案に笑いが止まらない。
不吉な笑い声は闇に呑まれて消える。
男のギラギラした目だけ、闇の中で輝いていた。




