話し合い②
補助として使われた物……
それは
精霊や妖精達。
パーティーの時にあった檻の中の精霊や妖精達の力を使ったのだと思われる。
察しの良い人ならば、すぐに行き着く結論。
フレデリックとルカの渋い表情は、思い至ったからだろう。
ティナも苦しそうな精霊や妖精達が思い浮かび胸が苦しくなる。
「……精霊や妖精達は、どうやって捕まえたのでしょうか?」
「オズボーン侯爵家の禁忌魔法については聞かない。が、捕縛系ではない、と言う事か……」
「そうです。僕の知る限り捕縛系ではないです。」
アレクはオズボーン侯爵家の禁忌魔法が強制捕縛魔法系だと思っていたのだろう。
親族のエウレカならば何とかして入手する方法もある。アレクがそう考えたのも自然と思えた。
しかし、ここで新たな疑問が残る。
精霊や妖精達はどうやって捕まえたのか。
ウィルソンが難しい顔で言う。
「今の魔法研究所にいる高位魔法師達でも、召喚できるのは限りがあります。」
「あんなに多くは召喚できないと言う事か?」
アレクの言葉に『そうです。』とウィルソンが頷く。
しかし
と続けたウィルソンの言葉に室内が静まる。
「贄を捧げれば可能です。」
そうですよね、と目を向けられたフレデリック。
フレデリックの家系は魔法研究所の職員を多く輩出している。
父は所長を務め、フレデリックの進路も魔法研究所に決まっていた。
最近、研究されてるのは
『魔力の増大方法と管理』
贄での増大は多くの贄が必要な上、失敗すれば大規模な損害も起こり得る。
その為、研究所内でも最高機密だったハズだ。
何故知ってるのか、そしてこの場で言っても良かったのか……
驚きを隠せない表情でウィルソンを見る。
その顔を見てティアは思う。
(フレデリックは知っていたから、あの表情だったのね……)
皆の視線が向く中、ウィルソンはフレデリックの背中を押す様に言った。
「大丈夫。国王の許可は得ています。」
その言葉に納得する。
フレデリックが家を出る時に父親から渡された書類。
読んだら燃やせと言われていたので、すでに手元にはない。
が、その内容が
『召喚』についてだった。
難しい図式と計算と共に書かれていた推測。
2つ予想されていた。
「一つ目は自力で召喚する方法です。まず一匹召喚。その一匹の力を使い、次を召喚。元のと増やしたのとを使って、次を……そしてまた合わせ次を……と増やしていく。簡単に云うと、ねずみ講式です。」
説明するフレデリックにアレクが聞く。
「それならばエウレカの魔力でも可能そうだな。」
「魔力は問題ありません。でも残念ながら、今回の数を揃えようとすると、最低でも一年半から二年かかると予想されます。」
「準備してたにしてもそれだけの期間、誰にも見付からないってのは……難しい……ですよね。」
ルカの言葉にウィルソンが肯定する。
「そうですね。あれだけの数の精霊や妖精がいれば、魔力を感知しない訳がないんです。」
「あの布を使いながら、秘密で召喚できないものですか?」
あの布とは会場で檻にかけられていた布の事だろう。
「取るまで我らも気付かなかった。」
プルートーが言う。
皆は確かにと納得したが、その問いにフレデリックが『それは不可能』だと否定する。
「まだ鑑定分析が完全に済んでないですが、あの布は魔力を抑える力があると思われます。隠す事が出来ても、魔力を抑えられたら召喚する事ができません。」
「それでは本末転倒か……」
アレクのため息と室内に沈黙が訪れる。
「そう言えば……さっき一つ目と言ったよね……?」
沈黙を打ち破る様にティアがフレデリックに聞く。
「そうです。召喚には二つ目の方法があります。」
精霊の王達を前にフレデリックも緊張しているのかもしれない。
普通に会えて、個々を知ってるティアは忘れているが……会うのも希有な存在なのだ。
緊張しない訳がない。
フレデリックに『頑張って』と小さくガッツポーズを送る。とティアにニコッと小さくガッツポーズで返してくれた。
それを見ていたユグとアレクに『サインを送り合っていた!』と後で焼きもちを妬かれ、大変だったのは別の話し。
「二つ目が、ウィルソン侯爵の言われた贄を使った物です。こちらは人や動物、モンスターでも、召喚に必要な数を揃えればいくらでも召喚可能です。」
「あの数だとどのくらい必要になりますか?」
ウィルソンがフレデリックに聞く。
「個体の魔力の量によりますが、人であればかなりの数が必要だと思われます。」
「正確な数は解りませんか?」
ウィルソンの問いに『また調べて提出致します。』と答える。
父親に確認するのだろう。
「モンスターでの数や動物の数でも提出お願いします。」
解りましたとフレデリックが頷いた。
「今、可能が高いのは後者の二つ目の方だな。」
「時間的にも、そうでしょうね。」
アレクが言った言葉をレムが肯定する。
ここで新な疑問が。
召喚技術を誰がエウレカに教えたのか。
そもそも召喚は高位魔法。
若い、ましてや学生が扱える代物ではない。
再び沈黙の訪れる室内。
ビュオっっ!!!
突然
と突風が
「お待たせ~!!」の声と共にジン登場。
アレク、フレデリック、ルカ、ロバートの顔がそれぞれ赤くなったり青くなったりしている。
「待ってませんが。」
冷ややかな目のアレクが冷たく言い放つ。
フレデリックは「やっと会えましたね!」と目の笑ってない笑顔で何やら魔法を発動させようと唱えている。
その横で青い顔で固まるロバートと、あからさまに警戒し距離を置くルカ。
何かあったのだろうと察する精霊陣。
騒然とする室内。
謝りつつジンを回収。
事態を落ち着かせる事に務める。
話し合いは後日再開する事に。
調べたい事があるとレム、プルートー。
何やら確信があり気だか渋い表情だ。
『ハッキリと分かりましたら会議にて報告致します。』
『憶測だけでは場を混乱させるだけだからな。』
そう言い残しジンを連れて颯爽と消えた。
人間側も事実確認とそちらでも立てられる憶測の立証。だけど、数日はかかると思われると言う事で、目処が立ったら連絡をくれる話に。
賑やかにその場を閉め解散した。
その裏で闇の増殖が進んでいる事に
まだ誰も気付いていなかった。
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