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出会い

声に驚き、勢いよく振り返る。と、そこには銀髪赤目の色気のある美丈夫が立ってこちらを見ていた。


その姿には見覚えがある。


4人全てのendを見た後、攻略可能になる隠しキャラ

精霊王の……「ユグ様。」


「何だ俺様を知ってるのか。聖なる姫。」


知ってた事が嬉しいのか上機嫌に言った。


「あんな簡単に忘れる人間のオスなど止めて俺様にすればいい。俺様なら忘れる事はないぞ。」


今までの事を見ていたかの様に言う。


何故、知っているのか?

疑問が湧いた……

が、そういえばゲーム内で言っていた事を思い出す。


『ティアをずっと見守っていた。』


その言葉に

ストーカー?って思ったのは内緒の話し。



何も言わないティアにユグが続ける。


「パーティに出たいのか?」


出たかった。アレクと。

でももうそれは叶わない。

ティアの目に、また涙が滲む。


何も答えられないでいるティアに対し、ユグが聞く。


「それともここから離れるか?」

ここが嫌なら精霊界に来ればいいと、とんでもない事を言い出した。


人間が行ってもいい所なの?


ゲームの中でも神聖で特別扱いされていた精霊界。

来て、はい、で簡単に人間が入っても良い場所なのか?


でも、今この場から消えてしまいたい気持ちもある。


「ユグ様、私は……」

「ユグでいい。」


被せる様にユグが言う。


「……精霊王様に対して、恐れ多いです。」


精霊を束ねる1番偉い存在の精霊王。

呼び捨てになんて呼び辛い事この上ない。


「ティアはその内、俺様の()になるんだから大丈夫だ。」


「嫁っ……!!??」


飛躍した話しにビックリしているとユグはくくっと笑う。


「からかわないで下さいっ!」

本気にした自分が恥ずかしくてカッと顔が赤くなる。


「本気だよ。」



次の瞬間、距離のあったユグの顔が間近に迫っていた。美しい真剣な顔は妙な迫力がある。


「っ!!?」


急に迫った距離。体もくっついてしまいそうだ。アレクとも無かった距離感。

突然の近さに恥ずかしくなり慌ててしまう。


「解りました!ですから離れて下さい!!」


紳士なアレクは親密になっても婚約者でもない女性に対して適度な距離を保った。それはティアを守る為。


楓の時から正式に男性と付き合った事のないティアにとって、初めての顔の近さにドギマギする。


その様が面白かったのか、くくっとまた笑った。


「やっぱりティアは可愛いなぁ。俺様の物にする!」

そう言うとギュっと抱き締めた。


!!!!?


内心パニックだ。


アワアワしているティアを横目に

「ティア見て。」優雅な仕草で周りを指差す。

余裕がないティアだが、言われるまま顔を向ける。


!!!!!!!


「わぁ!」


今度は状況を忘れて歓喜の声を上げてしまう。


『『ティア~!!いらっしゃい!!!』』


人間界では無いだろう場所。

たくさんの妖精や精霊達がティアを歓迎してる様。

ゆらゆらと浮かび、それぞれが力を使いキラキラ光る。その様子はため息が出る程、幻想的で美しい。


「落ち込むティアを見たくないし、一人じゃない。ここがティアの居場所だ。気の済むまで居ればいい。」


ユグの言葉に今日あった悲しい出来事を思い出す。


枯れたハズの涙が零こぼれる。

悲しいのに嬉しい、嬉しいのに悲しい。

意図しない涙がポロポロ溢あふれる。


ポロポロ止まらない。


周りの精霊達は突然泣き出したティアを心配して、ティアとユグの周りをクルクル回る。


「少し眠るといい。」

言いながらユグが指を鳴らす。


途端に瞼が重くなる。



「おやすみ」


優しい笑顔のユグ。


ティアは暖かい腕の中で意識を手放した。





どの位寝ていたのか……

目が覚めて周りが暗くなってる事に驚いた。


「卒業パーティー!!」


言って、ハッとする。

行く必要がない事を思い出したから。


そうだった、と悲しい気持ちがまた溢れしょんぼりしてしまう。



「起きたのか?」


声の方を向くと傍にはユグがいた。何かを手に持っていて手渡してくれる。

「妖精達の集めた蜜を使ったハチミツティーだ。」


コクリと飲むとホッとする味だった。

「美味しい。」

「んっ。」嬉しそうにユグが微笑む。


(少し落ち着いたかも……)



『一人じゃない。』


嬉しかった。

急に一人ぼっちになったティア。


人ではないけれど、居場所が失くなってしまった自分にいてもいいと言ってくれる存在。

悲しい事が大きかった分だけ、嬉しくて心に染みた。


「少し……いても、いい……?」


その言葉に

「ずっといればいい。ここはティアの家だ。」

とユグ。


きっと精霊も妖精も皆そう言う、とニヤリと笑った。

その色気を含んだ顔に免疫の無いティアは卒倒しそうになる。


(凶器だっ!!)

なるべく近くで見ない様に心に決めた。



ここで

ふと、気が付く。



「ユグ……いつから、いたの?」


「!!」


ビックリ顔のユグ。


「ユグって呼んでくれたな!!!」

え?そっち??


嬉しそうに、もう一回もう一回と要望するユグを尻目にもう一度聞く。


いつからいたの(・・・・・・・)?」

「そんなの、ずっといたに決まってるだろ!」

何が決まっているのか。


……ずっと(・・・)


ずっとって事は……寝顔を見られてた……?

「寝顔も可愛かったぞ!」


いやいやいやいや爆死案件です!


「何を堂々と!!」


エチケットとしてプライベートは確保したい。

忘れてましたストーカー体質。

少し居るにしてもお互いに決め事を作らないと。


まず

「寝顔は見ないで下さい。」


『将来の嫁なのに何でダメなんだよ。』

と主張するユグ。


プライベートと云う物を解って貰えるまでが苦労した。


まず見守らない(・・・・・)とティアに何かあった時に助けられないだろう、と主張するユグ。

普通に生活してたら何も無い(・・・・)と言うティアとで、意見が対立。


平行線のまま行くと思われた所

「あまり無理強いすると嫌われますよ。」

と助言してくれる金の髪と瞳の美形。


金髪はアレクで見慣れていたハズなのに、それよりも輝く程金が強い。


「光の精霊王、レムだ。」


ユグに紹介され優雅にお辞儀をするレム。

「また、改めてご挨拶に伺います。」と助言と言葉を残し、忙しそうに去って行く。


レムの助言のおかげか、とりあえずティアの自室にいる間(・・・・・・)はストーカーしない所で折り合いが着く。


そもそもストーカーは犯罪です!!

ここは強く言いたい!!!

『面白かった』『続きが気になる』『何か感じる物がある』

と思ったら下にある☆から作品への応援お願いします

o(_ _)o ペコリ


面白ければ☆5つつまらなかったら☆1つ

正直に感じた気持ちで大丈夫です!


ブックマークもして貰えたら本当に嬉しいです。

よろしくお願いします!!


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