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卒業パーティ③

ユグが抗おうとしている。

精霊王達も何かしようとしてるのかもしれない。


囚われた精霊、妖精達の呻きと悲鳴がより一層増していた。



ティアも何か出来ないかと試みる。


が、聖なる力の発動の予兆すらない。




焦れば焦る程、考えが頭の中で分散していく。


エウレカがユグの前に立つ。


片膝を突き忌々しそうに見上げるユグを

「まるで誓いをする騎士様の様ですわ!素敵!!」

うっとり顔でエウレカが見返している。


温度差が有り過ぎて滑稽だ。


しかし、エウレカにはそれが見えていない。

自身の欲しか認識出来ていないのだろう。



ユグにエウレカが触れる。


すると黒い靄がエウレカから溢れ出した。

それに触れているユグは凄く苦しそうにしている。


離れた場所にいるのにアレク、フレデリック、ロバート、ルカの四人も息苦しそうだ。ティアは近くに居る分、余計に辛い。


人間の方が脆い。影響は精霊よりあるのだろう。


早く何とかしないと!


焦るが動けなければどうする事も出来ない。

焦りばかり募る。



「……っ闇に……呑まれるぞ!」


声の主はプルートー。


闇の精霊王なので耐性が人一倍あったからだろうか。

但し、話すだけで精一杯に見える。


喋れる事に驚いたエウレカ。しかし

「さすが闇属性王ですわ。」

のんびりとした返しだった。


闇に呑まれる(・・・・・・)とは……


「取り巻く闇の力が強過ぎる。闇に呑まれたら二度と人間界には戻れないぞ。」


その言葉を聞いても微動だにしない。


「知ってるわ。闇の中で誰にも邪魔をされずにユグ様と過ごすの。」


恐ろしい事を言った。

その瞳は瞳孔が開き、視点もあっていない様に見える。


「精霊王を連れて行かせる訳にはいかないのだ。」


何かをしたいプルートーなのだろうが同じ属性同士は相性が悪い。魔法を放っても相殺か吸収されるか。


対抗のレムも動けていれば……


それが解っているのかエウレカは余裕な顔をしている。



二人の愛の国(・・・・・)とは闇に呑まれた世界(・・・・・・・・)


エウレカは混沌とした世界へユグを連れて行くつもりなのだろう。


本当の目的が?ユグを独占したいだけ?

こんな大掛かりな事までして?質の悪い男達との繋がりも、それだけの為だと云うのか。

精霊や妖精を苦しめてまで。


ただ、それだけだとしたらタチが悪い。


ティアは悲しみと怒りを覚える。

何とか出来ないかと祈りを込めるが、何も起こらず泣きたい気持ちになった。


エウレカから放出される闇が深くなる。それに反応する檻の中の精霊や妖精達。


ユグにも闇が纏わり付き始めた。脂汗が額に滲み苦しさに耐えている。

人間達はもちろん、精霊王達へも闇の力の影響が出始めていた。


唯一、プルートーだけは同属性だけあって他の精霊王達より若干余裕はありそうだ。だが話す事は出来なくなってしまった様。


徐々に空間が闇に侵食される。




不気味な笑顔のエウレカ。



ユグも闇に侵食されていく。


ティアはより一層焦りが増す。



ユグが連れて行かれちゃう!!



苦しそうなユグ。


どんどん飲み込まれ闇に包まれてしまって顔だけ出ている状態だ。


このままでは本当にユグが居なくなってしまう。


ティアは自身に祈る。


お願い!

私の体に眠る聖なる力!!

ユグを助けて!!!


暖かい物を体の中で感じた。


お願い!!!


何かを感じたエウレカが闇を一層深く濃くする。

ユグも抵抗してるのか、思う様に闇で飲み込み切れない様だ。


攻防している今が最後のチャンス。



体の中の暖かい物へ気持ちを集中させる。


お願い!!!

力を貸して!!!!


力をっ!!!!!!!!


闇がユグを飲み込む。


ピカッ!!!!

それと同時に一面を光が包む。



本当に一瞬。



強い光に皆が目を瞑った。

次に目を開けた時、闇もエウレカも姿が見えない。



そして


ユグの姿も。



間に合わなかった……?


「浄化は…出来た様だ……」プルートーが言う。

しかし他の誰も口を開けずにいた。


ユグが…

いない……


ユグ……


助けられなかったと涙が零れるティア。





『辛気臭いぞ。』


どこからか声がする。

空間に亀裂が入り、そこから顔を出す。


「ユグ!!」


出て来たユグに嬉しさのあまりティアが抱き付く。

それを愛おしそうに抱き止めた。


「ありがとう、ティア。」


意味が解らずキョトン顔のティアに嬉し顔のユグ。


「ティアが使った光魔法でギリギリエウレカの闇から逃れる事が出来た。そして涙が道標となって戻って来られたのだ。」



さすが恋愛ゲームの世界。


セリフも事柄も素敵要素満載です。



「戻って来られて本当に良かった!」


今度は嬉し涙を流したティア。





精霊や妖精の解放をし、生徒の心のケアと後始末を学園にお願いする。


エウレカ失踪と事件の一部始終を報告した。


言わなかった事もある。


フードの男だ。


エウレカに加担していたフードの男はいつの間にか姿を消して居なくなっていた。

プルートーとレムは思う所があった様だ。



さて、エウレカはどこへ行ったのか?

闇に飲まれたのか……?


それを踏まえて当日の関係者で話し合いが持たれる事となる。

もちろんアレク、フレデリック、ロバート、ルカも含む。


場所は王宮の一室を解放してくれるとの事。



衝撃的な事柄だった事もあり後日。

日を追って連絡する、と言伝てを貰った。

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