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卒業パーティ②

やっと(・・・)、ユグ様を手に入れられる。」



その言葉に嫌な感じを覚えた。


エウレカが言うやっと(・・・)……

それは前から知っていたかの様。


確かにこの会場に入ってエウレカに会ってから感じていた違和感。



もしかしてと頭を過った文字がある。



ティアと同じ『転生者(・・・)』。


ゲームをしていた人なら、会った事がないハズのユグが解るのも当然だ。


「……あなた転生者なの?」


動かせないと思っていた口が動く。

もしかしてと思ったが、他はまったく動かない。唇だけが動かせる様だった。


他の人は微動だにせず、ピクリとも動かせないままの様なのに。主人公だからか?それとも聖なる力が自然と作動したのか……?


その答えはすぐにわかった。


ティアの言葉にエウレカがニヤリと笑う。


「そうよ。あなたもだったみたいで驚いたけど。あなたとはちゃんと話しておこうと思って喋れる様にしといてあげた(・・・)わ。」


そしてエウレカは高圧的にティアを見る。


「ユグ様と結婚?するのは私よ。図々しい。あんたはユグ様を呼ぶ為の駒でしかないのよ。」


呼ぶ為の駒(・・・・・)とはどういう意味だろう?

企んでいる事と関係がある?


エウレカを刺激しない様に探れないものか……


「あなたの目的はユグなの?ユグだけ欲しいなら、何で他の対象達の記憶を消したの?」


「……ユグ(・・)?馴れ馴れしく呼ばないで!!ユグ様は私の物よ!それに何故消したか?そんなのあんたが嫌いだからに決まってるでしょ!?」


そんな下らない子供みたいな理由だったのかとティアは愕然とした。


「チヤホヤされて当たり前だと思ってるあんたを!卒業パーティーで孤立させて笑ってやろうと思ってたのに!!ユグ様と出会ってたなんて!!!」


ティアを睨み付ける目に、狂気を滲ませるエウレカ。


「ユグ様から離れなさいよぉ!!」



チラリと横目でユグを見ると口の中で何かを呟いている様子。時間を稼いだ方がいいと判断する。

他の精霊王達も戻って来るかもしれない。


ユグの行動を悟られない様に自身へと注意を向ける。


「私が何かした?ここまで周りを巻き込む程の悪い事なんて、あなたにしてないじゃない……」


その言葉に

「あんたの存在自体が邪魔でしかないのよ!攻略対象達は皆でバカみたいにあんたを追いかけてるし!あんたを捕まえてユグ様を召還しようとしたらエスコートされて現れるし!!」


八つ当たりにしか聞こえなかった。


「せっかく知識があって転生したのだから別の生き方だってあったじゃない。」


今ならまだやり直せると希望を乗せて、興奮状態のエウレカに悲痛な思いを投げ掛ける。


「説教でもする気?何であんたの為に生き方を変えないといけないの!?知識があるなら活用して、欲しい物があったら力ずくで手に入れればいいのよ!!」


「手段なんて選んでらんないわ!」

そう言いながらユグを見る。


ドーパミンが出てるのか目が爛々と輝いていた。さながら獲物を見据える肉食獣の様。


「さぁ、愛しのユグ様。我が手をお取りになって。」


誘う様に手を伸ばす。




ニヤリとユグが笑う。



それを見たティアが叫ぶ。


「アテナせんせーーーーーーい!!!!」


パリーーン!!


音と共に皆の時間が、再び動き出す。

皆の動きが戻った事に驚愕するエウレカ。


ユグの詠唱していた魔法はアテナ召還。

なかなか戻らないアテナをタイミング良く出現させる為。


もちろん、そのままでは力を使えないのでティアを媒介にアテナの力を使ったのだ。


女子会の時に聞いといて良かった。


直接は使えない。けれど人を介してなら使える。ならばティアが媒介となったら精霊達も自由に力を使えるのではないかと。


普通の人間ならば強過ぎる力に耐えられないけど、聖なる力を宿してるティアならば『可能性だと思うわ』アテナはそう答えた。


ならば試してみる価値はある。


ぶっつけ本番になってしまうが……防御に長けた土属性。何かあった時にはお願いします。とアテナに頼んでおいた。


そして、それは他の精霊王達にも。


その時にユグから提案されていた合図。

何かしら有った時に逸速いちはやく力を貸せる様に、ユグとティアと精霊王達の各々の合図を決めていた。


最低限の苦肉の策だ。


他の人には分からない様に、詠唱の中に合図を織り交ぜた。


合図に気付いた精霊王達は各々できる事をしてアテナ召喚に助力してくれた事だろう。




会場に時間が戻った事により召還されなかった他の精霊王達が現れる。


一旦外に出たはいいが、何かに阻まれ会場に戻る事が出来なかった様だ。



人々が逃げ広漠とした会場に、戻った精霊王達がエウレカを逃がさない配置で睨んでいる。


一部始終を見ていたアレク、フレデリック、ロバート、ルカもエウレカに対峙。味方のいない孤立無援状態だ。


終わったハズなのに、エウレカの目がまだギラギラと活きている。

諦めてないのか……それとも状況が理解できない程、興奮状態にあるのか……。


「今なら重い罪に問わないと誓おう。」


アレクがそう投げ掛ける。




その言葉にニヤリと笑うエウレカ。


「問われる罪なんてないわ。」



そう言い切り、再びユグに向けて忘却の魔法を放つ。


「効かぬ。もう諦めろ。」と言うユグの言葉に

「言いたくもない言葉を言わされて……可哀想なユグ様。今すぐにでもティアの呪縛から解いて差し上げますわ。」

待っていらして、とユグに微笑みかける。


その瞳にはユグが映って居る様で虚無しか映っていない。


急に凄い形相でティアに向き直る。


何かの魔法を放とうと動くエウレカ。

と同時に、その場にいる全ての者の魔法がエウレカに向けられる。


放たれてはいないが、いつでも発動可能な状態だ。



その状況にエウレカが発狂する。


「何故!皆で私の邪魔をするの!?」

許せない!!!と叫ぶと同時にエウレカが手を上げる。


それまで誰も居なかったハズの空間にフードを被った男が立っていた。


そしてエウレカの合図と共に会場の一介にあった大きな置物の布が取り払われ、覆われていた物が姿を表す。



そこには鳥籠の様な檻。


中には沢山の精霊や妖精達が入れられていた。

魔法を施されているのだろう、外に出る事も出来ずに苦しそうだ。


「何て事をっ……!」

ティアの顔を見てエウレカは笑みを浮かべている。



檻に気を取られた隙を突いてエウレカは魔法を発動した。


皆の向けられた魔法を意に介していない。

そしてエウレカに向け遅れて放たれた魔法達は何かの力に掻き消される。



再び皆の動きを奪った。



それに加えて重力も支配されているのか、皆が床に膝を突く。

先ほどの魔法とは比べ物にならない位に効果も強い。


囚われた精霊や妖精達が苦しそうに呻き声を上げている。


何故なら彼らの力を奪って使っているから。


先程よりも強力な魔法の威力の原因。そして

「これなら精霊様達も動けないでしょ?」

精霊王達にもダイレクトに効く力。


可笑しそうに笑うエウレカ。

その笑いには狂喜が混じっていた。



一歩一歩ユグに近付く。



「愛しのユグ様。さぁ、二人の為の愛の国へ参りましょう。」


今度はティアの唇も動かなかった。

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