決戦前
戻って来た妖精からの話を詳しく聞く事に。
ティアは妖精の言葉は解らないので、代表して説明上手なレムが通訳してくれる。
始め精霊王と云う事でユグが通訳したのだが、略し過ぎたり過度だったりで結局ユグの通訳をレムが通訳する形に……
なので直接の方が早いとレムにバトンタッチタッチしたのだ。
『大きな装置みたいな物』
『これなら精霊王でも逃げられないだろう』
『怪しげなオス』
聞いた話しを要約すると卒業パーティーで何かを目論んでいる事。
そして、 ユグを誘き寄せて捕まえる気らしい事。
ユグ自信が目的なのか、ユグの力を欲してるのか解らない。
けれど、エウレカが質の悪い男と繋がっている事だけはハッキリ解った。1人なのか複数なのかは分からないけど用心するに越したことはない。
ユグを奪い去られる訳にいかないから。
対抗策を考えないと。
邪悪な力で汚されたり傷等の痛手を受けた場合は、聖なる力で浄化出来るし癒す事も可能だそう。
しかし非力なティアには、物理的な力での拘束であった場合は太刀打ち出来ない。
他の精霊王達もティア個人へ自らの加勢は出来ないので、最悪の場合を考えておかなければ……
「出来なくもないけど……」
ポツリと言ったユグの言葉はティアの耳には届かなかった。
それとは別の問題がある。
そもそも、ティアは聖なる力が使えない。と云うより使い方が解らないのだ。
レムや他の精霊王達にも聞いたが、意図しなくても使える物だと言われる。なので参考にもならなかった。
何かあった時、使えないでは意味がない。それこそ宝の持ち腐れだ。
補佐精霊達に頼んで、精霊界の重要機密情報等がある図書室で探して貰っている。小さな糸口でも見付かって欲しい。
残りの時間
それぞれが出来る事をする。
調べ物をする者。
探索する者。
様子を伺う者。
必要な道具を集める者。
何やら調合してる者。
ティアはもちろん、力が使える様になる事。
ポセイドンの感覚を研ぎ澄ませてみたら……と言う言葉に従い、意識に集中させてみる。
座禅をマネて神経集中。
……
気付いたら眠っていた。
向いてないのか……
次にアテネが力の高まるお茶を淹れてくれた。
苦くもなく普通に美味しいお茶。
体が暖まる感覚がある。
期待が膨らんだが、コレといった変化は見られなかった。
ジンが魔法ボックスでは!?と持ってきた箱。
開けてみると中から蛇のオモチャが飛び出て来る。
ティアが悲鳴を上げただけだった。
まさかこんな時にイタズラか!
大笑いのジンをレムが鬼の形相でどこかへ連れて消えていった。
……どうか無事で……
プルートーはエウレカが何の魔法を使おうとしているのか何か解れば……と調べ中。
同じ闇属性。
共通するものがある分、何か分かるかもしれない。
分からなくても対抗手立てもあるかも、と部屋に篭って調べてくれているのだ。
イフリートに関しては励ましの『気合いだ!』って言葉とお菓子をくれた。
気持ちは嬉しい。
が、会う度に『気合いだ!』って言われるのは……
せめて違う言葉を聞きたいと思うのはわがままでは無いと思う。
レムは光魔法の秘伝書を『見付けたので』と持って来てくれる。
さすが秘伝書。
高度な魔法がたくさん記されている。しかし高度過ぎて、今のティアには使えなかった。
もう少し時間があったら……と思うが出来る事をするしかない。
今のティアでも使えそうなモノ、応用できそうなモノがないかレムと相談。
それからも精霊王達があれやこれやと考えてくれるけど、これと云った成果が上がらない。
焦りばかりが募る。
出来ない物は仕方ない。とりあえず聖なる力は置いといて、時間も無いので他の対策も考えなければ。
しかし、これ!と云った確実な情報や対策がないまま、刻だけが過ぎていった。
1日
また1日と過ぎる。
『ボーン』
時間を告げる音。
卒業パーティーへ向かう時間だ。
最低限の苦肉の策を施せただけ。
不安は目一杯い残るが向かわねば。
パーティーはドレスアップ必須。
正装したユグとティア。
ティアが着ている物は、ユグが用意してくれた赤を基調として黒いラインの入った美しいドレス。もちろん対になってるらしく、ユグは黒を基調として赤のラインの入ったタキシードを着ている。
「ティア似合ってる。可愛い。」
そう言いながら抱き着いてくるユグ。
褒めてくれて嬉しいが、そのユグはトップモデルかと思う程着こなしてして、いつも以上に凛々しくカッコ良い。急に恥ずかしくなり「ユグもね。」と返すだけでティアは精一杯だった。
他の精霊王達も正装している。
レムは白ベースに金色の刺繍が所々入っているタキシード。
プルートーは紫と黒のタキシードだが……何となく魔女を連想してしまった……
イフリートは珍しく青のタキシードだ。それも夜空を切り取った様な美しい深い青。何故?と思って隣を見て納得。
ポセイドンが女装させられワインレッドに黒の刺繍をあしらったドレスに身を包んでいた。
きっとイフリートのお目付け役。
そして一緒にいても自然な様にカップル仕様なのだろう。
ポセイドンって苦労人なんだな……無事に終わる事が出来たら、いっぱい労おうとティアは思った。
その横では深い緑に黒と白を取り入れたタキシードのジン。
ベージュで柔らかそうなシルク生地のマーメイドラインのドレスを着たアテナ。
単色なのに妖艶ボディのドレス姿はきっと、会場の男達の目を釘付けにする事だろう。
美形揃い。しかも其々が単体でも目立つ。
何かしら有った時に動いて貰い易くする為、会場で人に紛れる事にした。
しかし、人に紛れる事が出来るのか不安になる。
そこは其々に頑張って貰うしかないか……
そんな心配を他所に、時間が迫っているので、ユグにエスコートして貰い会場へと向かう。
他の精霊王達も既に会場入りし、人に紛れてくれてる頃。
心配なジンは隠れる事に長けている為、同じく隠密向きなプルートーと共に気配を隠してもらっている。
決して心配だからじゃない。
『いざ!会場へ!!』
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