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忘却

「君は誰だ?」

突然、地獄へと突き落とされた。




ここは生前好きでプレイしていたゲーム

『愛しの素敵なお姫様』略して『愛姫』の中。


正規攻略対象4人+隠しキャラ1人

舞台は地位のある子息、息女が通うプロセンス学園。

光の聖なる力に目覚め、男爵令嬢と云う肩書きを貰って特別枠で入学する事で話しがスタートする。


元々庶民だったヒロイン。もちろん貴族の規律、礼儀など覚える事柄に苦戦した。そして最も頭を悩ませたのは悪役令嬢の存在。


諸々を攻略対象の方々と越えハッピーエンドをそれぞれ迎える。

よくある、そんな恋愛ゲーム。



生前は仕事が多忙過ぎて23歳にして彼氏もおらず、プライベートは唯一『愛姫』で癒される事だった。

仕事に追われ疲れ果てて過労死する事により山田楓としての生涯を終える。


そして次に目が覚めた時にはヒロインに転生していた。



ティア.ヴェイン


ヒロインは可愛らしい容姿にピッタリなピンクの髪、紫の瞳。

ファンの間でもカワイイ!!と好評だった。


しかし転生してみると、モブは髪も瞳も茶色がスタンダードなのでヒロインの容姿は目立つことこの上ない。

ただ、色が違うのは主人公含めゲーム内ストーリー関係者の証。解り易い所は有難い。


(可愛くて似合ってるけど!!)

目立った事のない楓にとって人の目が気になる。

自分の見た目に慣れないと……そう思う楓だった。



まぁ何にせよ……

せっかく転生したからには攻略せねば!!


って事で、生前もっとも好きだった攻略対象で王子のアレク.フェロー皇太子殿下。

(初彼氏ならアレクの様な人がいい!!!)と想う程。

金髪の髪に水色の瞳が特徴の、さすがメイン攻略対象だけあっての正統派イケメン。


せっせと声かけ、プレゼント、デートのお誘い。

かなり親密な関係でゲージもMAX状態。


そして念願の

「ティア、卒業パーティーにはエスコートをさせて貰えないだろうか?明日エウレカと婚約破棄をするから、そしたら婚約して欲しい。」

アレクからのお誘いをOKして、後は当日になるだけ!!


って思っていたのに……。






「アレク様!おはようございます。」

いつもの様に声をかける。


「君は誰だ?」


突然の言葉に思考がブリーズする。え?今何て??

???顔のアレク。


「何の……冗談ですか……?」

「冗談なんて言っていないが。」

「初めて会ったと思う。名前呼びは止めて頂きたい。」

昨日まで熱に浮かれていた笑顔が消え、真顔で冷たい目で見られ本心で言っているんだと解る。


(何が起こってるの?)

突然リセットした様な反応にどうしたら良いのか解らず立ち尽くしてしまう。


そこへ「アレク様」と紫の髪と黒い瞳をした悪役令嬢のエウレカが取り巻きを引き連れ登場。


「ああ、エウレカ。この令嬢をご存知か?」

「ヴェイン男爵令嬢ですわ。」


光の力に目覚めた者か。と初めて聞いたかの様な反応。周りもティアを知ってるものの、王子の反応に普通の顔をしている。


「それより本日の卒業パーティーのお話がありましたの!あちらでお茶でもしながらお話し致しましょう。」

場を離れようと促すエウレカ。忘れた様子のアレクだがティアは気になる様で離れる事もせず、じっと見つめている。


「アレク様……忘れてしまったんですか?」

「忘れる…?」

願望を込め見つめるティアだが、気になってるものの思い出す様子のないアレク。


「アレク様!」


業を煮やしたエウレカによってアレクと話しも出来ないまま引き離されてしまった。

去り際、勝ち誇った顔のエウレカ。

(どういう事なの?)



状況が解らないティアだったが一先ず教室へと急ぐ。

王子と仲の良い攻略対象の二人が同じクラスなので相談しようと思ったのだ。



教室に入って違和感があった。


いつもなら入ってすぐ『ティア、おはよう!!』と元気に挨拶してくるロバート。


???今日はいないの?


教室を見渡すと攻略対象の二人、薄茶色の髪と緑の瞳のフレデリックとオレンジの髪と青の瞳のロバートが話をしているのが目に入る。


「ロバート、フレデリック。おはよう。」


一瞬の沈黙の後、ロバートはニッコリ笑い

「おはよう、ヴェイン・・・・嬢」

フレデリックは

「親しくもないのに下の名前で呼ぶのは淑女とは呼べないなぁ。気を付けた方がいいよ。」

と、目が笑ってない笑顔で言われてしまった。


人懐っこい弟の様なロバートと優しいお兄さんの様なフレデリック。二人にはアレク攻略中でかなりお世話になった。そして、いつも気に掛けてくれていたのに。


(どうなってるの?)


昨日まで笑顔で親しくしてくれてたのに。

アレクに続いてロバートとフレデリックまで。ティアと初めから親しくなかった、、、、、、かの様な。


教室を急いで出てもう一人の攻略対象者のルカの元へ。

黒い髪、翠の瞳のルカ.オズボーン。

優等生の彼を図書室のいつもの席で見付けた。

声を掛けようとして止まる。

さっきのロバートとフレデリックが頭を過り

「オズボーン様……」

「?、何か?」


ショックだった……。



規律と秩序に厳しい彼だったが、王子攻略中に仲良くなり

『ルカと呼ぶ事を許そう』

そう言ってくれていたのに。


慣れずオズボーン様と呼ぶと

『ルカって呼んで。』

と拗ねた様に言われた事を覚えてる。


「……何でも……ありません……。」

「そうか。」

興味もないのか、視線はすぐ読んでいた本に落とされる。




とぼとぼと歩いて誰もいない裏庭へ。


裏庭から入った所に小さいけど綺麗でしっかりしたガゼボがあった。忘れられたのか知られていないのか、誰も来ない静かな場所。いつもならアレクと二人で来ていたのに。


限界だった。


着いた途端、目から次から次へと涙が溢れる。


(ひとりぼっちだ……。)

転生してからずっと側にいてくれていた攻略対象達。


彼らに届かない嘆き。

もうどうしたらいいのか、ティアには解らなかった。



ただただ泣いた……


長い様な……短い様な……

日は傾いてはいない様子なので、まだ昼間だろう。



夕方から始まる卒業パーティー。


「アレクと一緒に出たかったな……」

ぽつり、呟く。


誰もいないハズだった。


「出たいなら俺様がエスコートしてやる。」


声に驚き、勢いよく振り返る。と、そこには銀髪赤目の色気のある美丈夫が立ってこちらを見ていた。


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