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過去のやり直し 高校生活は女難の日々です  作者: 加糖のぶ
1年生 1学期編 ヒポット部始動
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閑話 私達の青い鳥③

編集中です。゜(゜´ω`゜)゜。


 慎二と馬場は連絡先を交換してそんな事を話すと別れた。


 その後は慎二に言われた通り全ての材料を貸してもらったお金で揃えて明日に備える為早めに就寝した、次の日になり「本当にお客が来るのか?」と少し不安を抱きながらコーヒーを焙煎していたら、ドアの鈴音が鳴りお客が来た事を知らせた、そちらを見たら……


「おっ、ここが慎二が言っていた美味しいコーヒーと食事がある喫茶店か……中々雰囲気もあって良いじゃねぇか」

「それも良いが、このコーヒーの香りがたまらんな、食欲を誘うよな」


 喫茶店に入ってきた男性客2人が話し合っていた、少し呆気に取られていた馬場達だったが、直ぐにいつものように笑顔を浮かべ接客をして、来てくれたお客に注文を聞き、食事を持って行った。


「お客様、こちらが当店自慢のコーヒーを使ったオリジナルコーヒーセット2つです、温かいうちにお召し上がりください」

「ありがとうございます、美味しそうですね」

「ありがとうございます、ゆっくりお召し上がり下さいませ」


 洋二はそう言うとお客から離れて次に来るお客に備えていた、それからは沢山のお客が来てくれて夢でも見ている様な気分になってしまった。


 それでもしっかりと対応して初めて自分の喫茶店の席が満員になった事で感動していた。


「あなた、これが前田さんが言っていた事だったんですね」

「そうだね、本当にあの子を信じて良かった、こんなにもお客さんが入ってくれるなんて夢の様だよ」


 妻、好と話していたら初めに入ってくれた男性達が会計をする為にベルを鳴らし呼んでくれたので直ぐに向かう事にして会計を済ませた。


「お客様ありがとうございました、またのご来店をお待ちしています」


 洋二がそう言い客に頭を下げたら、そのお客から話しかけられた。


「本当に美味しかったです、慎二に教えてもらうまでここの喫茶店を知りませんでした、今まで何かもったいない事をしていた気分ですよ……」

「ありがとうございます……その…大変失礼になってしまいますが、お客様達は前田君のお知り合いなのですか?」


 洋二にそう言われた2人組の男性は顔を見合わすと笑いながら「そうです」と言ってきた。


「知り合いですね、と言うか、ここに来ているほとんどの人が慎二と何か縁があった人だったり、困っている所を助けてもらった人々ばかりだと思いますよ?」


 1人の男性がそう言うと、周りで聞いていた人々も口々に。


『私は慎二君に飼っているペットを探してもらいました!』

『僕なんて家族との仲直りを手伝ってもらいました』

『俺なんて妻との仲を和解させてもらったよ!』


 などお店の中にいるほとんどの人々が話し出した。


「こんなにも前田君に助けられた人々がいるのか……」

「そうですね、慎二は本当に凄い奴なんですよ、自分が言ったことは絶対にやり通す、助けを求めてる人は誰であろうと助ける、とまるで「ヒーロー」の様でしょ?」


 「ヒーロー」か、前田君には相応しい名だね、彼は恥ずかしがりそうだけど………


「本当に前田君は凄いのですね……私も彼に助けられたんです……」


 洋二がそう前置きをして今まであった事をここにいる人々に話したら、全員が真剣に聴いてくれた


 話が終わると泣いている人もいた。


「馬場さんも大変だったんですね……でも大丈夫です、これからは俺らが通いますし、これからは必ず繁殖しますよ、それに貴方には慎二が付いている、そうでしょ?」

「そうですね、彼が付いている、なのでこれからも皆さんに美味しいコーヒーと食事を提供する様頑張ります。今はメニューもそんなにありませんが、これから増やす様努力していきます!」


 洋二がそう言うと周りから「良いぞー!」や「これからも通いますからね!」や「必ず常連になります!」と暖かい言葉を投げかけてくれた。


 あぁ、ここにいる人達は、前田君の知り合い達はこんなにも優しい人ばかりなのか、もっと早く会いたかった……でもこれから頑張れば良い、またゼロから始めよう。


 洋二はそう思い隣で嬉し涙を流している妻の好を抱きしめると今まで消えていた情熱を熱く、熱く、燃え上がらせてこれから頑張る事を再度決意するのだった。


 それから午後4時頃になるまで客は絶え間なく来て、今日1日で今までの出来事が嘘の様に繁盛していた。


 食材も無くなりかけていたので今日は一旦営業を終わりにする為、外のドアにかけられている営業中というプレートを閉店に変えた。


 そこからは明日の準備の為昨日同様材料を買い出しに行った、もしかしたら明日もまた今日の様に繁盛する可能性があると思い少し多めに買うことにした。


 もしかしたら、前田君はこの事を見越して大目にお金を貸してくれたのかな?……いや、きっと気のせいだよね、そんな事「未来」が見えるわけじゃないんだからわかるわけないか。


 そう思い明日の仕込みをして掃除をしていた、午後5時30を過ぎた時、閉店のプレートをしている筈なのに、ドアが開き鈴がなったので客が来た事を知らせた。


 洋二は「もう今日は終わりました」と言いに行こうと思ったら、そこには慎二が立っていた。


「前田君!来てくれたんだね!」

「来ますよ、今日はちょっと色々やってて来るの遅れちゃいました、お店の方はどうでしたか?」

「それがね!」


 慎二にどうなったか聞かれたので、今日あった事を全部伝えることにした。


「良かったですね、この調子なら大丈夫だと思いますが、慢心はいけませんよ?流れはとても大事ですが、焦って何かをやれば必ず失敗をする事が多いので、まずは少しずつ、少しずつ改善してきましょう!」

「うん、わかっているよ、全て君のおかげだ、僕はもう夢を諦めないよ、これからしっかりと続けていくからどうか見ててくれるかい?」

「当たり前ですよ、これから一緒に頑張りましょうね!」


 そう言うと慎二と洋二は握手をした。


 それからはしっかりと喫茶店も軌道に乗り直ぐに慎二にお金を返すことが出来た、その他にも他のメニューを出す事が出来たり、今までだったらアルバイトを雇えなかったが雇える事が出来、順調に進んでいった、初めはただの喫茶店だったが、「カフェ・ラッキーバード」と言う名前に変えた。


 慎二が考案してくれたアガースイーツ、今は普通に寒天デザートと呼んでいるがそれが人気になり他のお店でもレシピを教えてくれと言われるまでになっていた。


 そのまま、いい方向に向かいながら月日は過ぎ去っていった………





 ………何か懐かしい事を思い出していたな、そうだった、つい2ヶ月前までは経営困難だったんだよね、それを慎二君が解決してくれて、今ではこんなにものたくさんのお客さんが来てくれてるよ。


 洋二がそう2ヶ月前の事を懐かしそうに思い出していると、客の対応をしている慎二の声が聞こえた。


「では、お客様こちらに座りやがれです!」


 慎二は相手が客なのにそんな事を言っていたが、相手も……


「えぇー?俺お客様ですけど〜ちょっとここの店員態度悪いんですけど〜!」


 慎二をおちょくりながら舐めた態度を取っていた、周りの客もいつもの事だと笑いながらその様子を見ている。


「もう、村上君!僕がアルバイトの日って知ってながら邪魔しないでよね!」

「別に俺は邪魔なんてしないさ、ただお前の姿を見に来ただけだよ、プッ!」

「笑ってるだろうが!」


 そんな事を2人で話し「ぎゃーぎゃー」騒いでいた。


 洋二はその様子を見ながら慎二の休憩時間が近いと思い、呼ぶことにした。


「慎二君、休憩時間だから今から僕と代わってもらって良いかい?」

「あっ、もうそんな時間ですか、わかりました、休憩入りますね」

「チッ、上手く逃げやがって……」

「別に逃げてないよ!」


 そう言いながらも村上と仲が良さそうに話した後、慎二が休憩の為に休憩室に入ろうとしたが、洋二が声をかけた為後ろを振り向いてきた。


「慎二君、ちょっと良いかな?」

「どうかしましたか?」

「まあ、大事な話じゃないんだけど……私達を、このお店を守ってくれてありがとう、もう一度君に言いたくてね、いきなり引き止めてごめん、ゆっくり休憩してね!」


 その話をすると、少し照くさそうな表情に慎二はなっていた。


「その事でしたか……あの時も言いましたよね?僕は人を助けるのに理由などいらないと、それに僕はこのお店の1番のファンですよ?そんなお店を守れて本当に良かったです!」

「そうだね……ありがとう」


 慎二は以前の様に笑顔を向けてくれた、その時洋二は思った。


 もし神様がいるならこう言う人の事を言うのだと、いや、神様と言うより私達に幸せを運ぶ青い鳥の方が慎二君は似合うかな?

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