伝えたい思いと届けたい気持ち③
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慎二が皆がいる居間に着くともう千里浜町を出るからか帰りの準備が終わっている千夏と話していたが、慎二が何かを持ってきている事に気付いた雄二が聞いてきた。
「やっときたか……その持ってる物はなんだ?皿という事は何か食べ物なのか?」
「うん、とても美味しい食材だよ、これはね村上君が何でもやるって言ったからそれの約束の品なんだよ」
そう言うと村上が興味があるのか近づいて来た。
「なんだなんだ?もしかして辛いものか?俺は辛い物はかなりいける口だから逆に悪いなぁ〜」
何を勘違いしたのか村上がニヤニヤ笑っていたが、慎二も内心笑いを堪えていた。
(辛い物と勘違いしてるよ……これの正体が何か分かった時が楽しみだよ………)
「まあ、あまり焦らしても帰るのが遅くなるだけだから早速村上君に食べてもらおうかな……それがこの食材さ!」
慎二がそう言って皿の上ににあった蓋をどかすと真ん中に何かキツネ色の物体がちょこんと1個置いてあって、申し訳なさ程度に塩が少しかかっている物が鎮座していた。
「………何だこれ?本当に食べ物か?」
村上は皿の中の食べ物を見るとそう答えた、他の皆も見ていたが村上と同じ様に何の食べ物かわからなかったらしいので慎二が教える事にした。
「これはね……鉄砲虫と言う食べ物だよ、別名は……カミキリムシの幼虫、巷ではマグロのトロと呼ばれるほど美味しいらしいよ!」
その話を聞くと皆固まってしまったが、自分が食べる事になるからかいち早く硬直から復帰した村上が恐る恐る聞いてきた。
「ま…前田?冗談だよな?……それ虫なんだろ?食べれる訳「約束は絶対!」………チクショウ!」
村上は何かを言おうとしていたが、その先を言わせないと慎二は言葉を間に挟んだ。
「村上君、言ってたよね?なんでもやるって?それに……嘘は駄目だって言ったよね?」
「ぐっ……わかってる、だが流石に虫は駄目だろ!人間が食うもんじゃねぇ!」
村上が大声で慎二に訴えても何をバカな事をとでも言うように見てきた。
「村上君、君は知らないのかい?日本では昆虫食がかなり根付いているんだ、長野県では蜂の子が有名だし、昔からイナゴの佃煮だって食べている文化がある」
「………それは聞いた事があるが……実際食べると思うと……うぇっ………」
慎二の言葉を聞いて自分が食べる場面を想像したのか餌付いていた。
そんな村上に優しく慎二は語りかけた。
「安心してくれ、今目の前にある食材は昆虫食会でも一番美味しいと呼ばれる物なんだ、探すのがかなり難航して1匹しか取れなかったけど……美味しいと思うから味わって食べてくれ」
慎二はそう言うと村上の側に寄ると肩を叩き満面な笑みで言った。
「美味しいと思うなら前田が先食べろよ、それにそんなニヤついた笑みで言われても説得力なんて一欠片も無いわ!」
慎二は自分がニヤついていたのに気付かなかったらしく自分の顔を手で覆うとこう言った。
「すまない……その食べ物は今お皿の上にあるものしか無いんだ……くっ!」
「嘘クセェな!?まずその顔を覆っている手をどけてから言えや!どうせ笑ってるんだろ!」
そんな感じに慎二と村上がぎゃーぎゃー騒いでいると虫料理は流石に無理なのか千夏は「さ、先に車の中に待っているね」と言って離れて行ってしまった。
「村上君、由比ヶ浜先生も早くして欲しそうに見ていたよ、それに君がそれを食べないと帰るのが遅くなる、早くするんだ」
「自分が食べないからって楽しそうにしやがって………」
尚もぶつぶつと言って食べそうに無い村上に慎二は。
「村上君よく聞いてくれ、今後食糧難になったらどうするの?勿論……虫でしょ?」
「今でしょ?みたいに言うんじゃねぇ!俺は嫌だからな!」
往生際が悪い村上に慎二も最終手段を使う事にした。
「残念だよ村上君、君のタイミングで食べさせてあげようと思っていたけど……それほど嫌がるならしょうがない……雄二達!」
慎二が今まで無言を貫いていた雄二達に声をかけると直ぐ様意図を理解して村上を3人で逃げない様に押さえつけた。
村上も察知して逃げようとしていたが、数には勝てなかった様でその場で取り押さえられてしまった。
「なっ!?木村達離せ!今からあんな物を食べさせられそうになっているんだぞ!」
村上が雄二達に言っても。
「村上諦めろ、ああなった慎二は止まらん、それに熱を通してるはずだから食べられない事は無いと思うぞ?」
「なら、目を合わせて言えよ!」
そう言っている雄二だが、村上と一切目を合わせなかった。
「服部と木之下なら助けてくれるよな?」
村上は服部と由紀なら助けてくれると思って聞いたが………
「村上君、僕には何も出来そうに無い……ごめんオェーーー!」
カミキリムシの幼虫は無理だったのか蹲ると吐いてしまった。
「いや、俺の方が吐きたいわ!」
そんなツッコミを入れたが状況は変わらず、最後の頼みの綱の由紀に聞こうとしたら。
「村上君の凄い所見てみたーい!はーい、イッキ、イッキ!」
と、大学生のノリを再現したいのか村上に逆に食べさせようとしていた。
「木之下!お前後で覚えておけよ!」
全員が助けてくれない事を知り村上は絶望していたが、そこに追い討ちをかける様に慎二がカミキリムシの幼虫を割り箸で持って村上の口に近付けてきた。
「村上君、何を言っても変わらないよ、これは君への罰なんだ受け入れてくれ」
「受け入れられるか!前田も言っていただろ、そんなに酷い事はしないと!あれは嘘だったのか!」
その言葉を聞いた慎二は。
「ん?嘘に決まってるでしょ?しっかりと君への恨みは晴らさせてもらうよ、あの時本当に息子が取れたと思ったんだからな!」
「もがっ!?」
※人に無理やり虫を食べさせてはいけません
慎二がそう言うと村上の口に無理矢理カミキリムシの幼虫を押し込んだ、吐き出そうとしていた村上の口を慎二が押さえると無理矢理食べさせた。
その様子を雄二達は顔を青くして見ていた。
食べさせられてグッタリとしている村上を見て慎二はこう言った。