似たもの同士②
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慎二がそう聞いた瞬間少し押し黙ってしまった為どうしたのかと思ったが、少しすると教えてくれた。
「僕はね……夢を見るんだ」
「………夢ですか?」
「そう、夢だね、誰だって夢は見るよね?でも夢の中でもこんなものがある……正夢とね、慎二君も名前ぐらいは聞いた事があるでしょ?」
正夢……聞いた事がある。夢で見た通りの事が起こる事、だよね?
「はい、聞いた事があります。それが「未来が見える」事に繋がるのですか?」
「うん、僕も初めはわからなかった、ただ夢を見たぐらいにしか思っていなかったけどある日から自分が見た夢の通りに物事が進んで行ったんだ、そもそも人は見た夢の内容を殆どの人が忘れてしまうらしい、なのに僕は全て覚えていたんだよ、慎二君は自分が見た夢の内容を覚えているかい?」
慎二はそう聞かれた為考えてみたがはっきり言ってしまうと覚えていない、というか、恐らく思い出せないのだ、慎二は夢とはそういうものなのかと思っていた。
「僕も自分が見た夢の内容は覚えてた事は無いですね」
「だよね、でも僕は覚えている、その事を知って欲しくて昔は友達になれそうな子に自分の秘密を明かしたりしたけど、誰も信じてくれなくて僕から離れていってしまったんだ、その時嘘つきなんてよく言われたね」
渚はそう話すと苦笑いをしていた。
僕もそうだ、こんな力持っている人なんて他にいないと思っていたから今まで軽々しく喋れなかった。
「渚さんは今もその「未来が見える」力を使えますか?」
「………それがね、最後にある夢を見てか正夢が見えなくなってしまったんだ」
「そんな……その最後に見た正夢はどんなものだったんですか?」
突然力が使えなくなることなんてあるのか………
気になったので慎二は好奇心に負け、聞いてしまった。
「………僕と僕のお婆ちゃんが笑顔で息を引き取る夢だったよ」
「えっ?………」
慎二は今言われた言葉が何を言っているのかわからなかった、勿論なんて言ったのかわかる、でも脳が考えるのを拒否するのだ。
「そういう顔になるよね……僕はその正夢を見た時別に悲しくもなんとも無かったよ、だって「わかっていたから」」
「………どうして、そんなに簡単に受け止められるんですか?自分が亡くなってしまうんですよ?怖く無いんですか?」
慎二はそう聞いたが。
「勿論怖いよ?でも、どうせいつかは人は亡くなるんだ、早いか遅いかの違いだと思う、それに鈴村先生から慎二君は聞いたでしょ?僕がウェルナー症候群だと」
そんな事を鈴村から聞いていた慎二は渚の言葉に頷いた。
「はい」
「僕はね、生まれた時からその難病を抱えていたんだ、僕の場合は普通の人より老化が早いみたいでね、既に医者からは寿命が21歳までしか生きられないと言われてるんだ、この髪も病気のせいで白髪になってしまったんだ」
渚がそういうと自分の白髪を手で触ってこれが証拠だよと見せて来た。
でもそんな事より重要な言葉が今出て来た為慎二はすぐ様聞いてしまった。
「待って下さいよ21歳って、今の渚さんの年齢じゃないですか!」
「そうだよ?だから言ったでしょ「わかっていた」と、僕はもう長く生きられない、それを知った時、運命を呪ったと共に神など居ないと実感したよ」
「………そんな……」
慎二は渚の言葉に何も言えなくなってしまった、もしかしたら渚も自分と同じで神様に会い特別な力をもらったのでは無いかと考えていたが、口振りから会った事が無いとわかってしまった。
そんな時渚がある事を言って来た。
「でも最後に1つだけ心残りがあるんだ」
「心残り……ですか?」
「そう、さっき僕と僕のお婆ちゃんが亡くなると言ったけど、僕には後お婆ちゃんしか親族が残っていないんだ、そんなお婆ちゃんの最後の願いを叶えてあげて、笑って最後を迎えて欲しい」
お婆さんの願い、それは何なんだろうか、僕が出来る事ならやりたい。
「渚さんのお婆さんの願いはどんな事なのですか?」
「それはね、昔お爺ちゃんと埋めたタイムカプセルに入っている手紙を読みたいんだってさ、でもその手紙はもう60年以上も掘り起こされていなくて、何処にあるのかも分からないんだ」
60年以上も!?流石にそれはもう……
その話を聞き無理なのではと思っていたら、慎二の顔に出ていたのか。
「やっぱり無理…だよね?もうこれは諦めるしかないよね……僕が見た最後の正夢ではお婆ちゃんが笑っていたから手紙を見るという夢が叶ったのかなと思ってさ……無理を言ってごめん」
「………‥」
慎二はその話を聞き無言になってしまった。
自分には出来るか分からない、でもやらなくてはハッピーエンドが迎えられない、そう頭の中で思っていても60年以上に埋めた手紙なんて見つかるわけが無いと諦めていた。
だが、ふと神様と会って話した事を思い出した……「君の目はこの世の見たいと思った全ての物を見通す目」だと…なら……その手紙を見つけられても良い通りなのだ、そう思った慎二は。
「その、渚さんは神様がこの世にいると信じますか?」
そんな事をいきなり渚に聞いた。
「神様…か……いるのだったら会ってみたいな、お願いしたい事もあるし話したい事もある、でも神様がどうしたの?」
健一の意図が分からなかった渚は聞いてきた。聞かれた慎二は自分が神様と会ったことがあると話してみる事にした。
「渚さんは冗談だろと思うかもしれませんが、僕は1度神様と会っています、何を頭のおかしい事をと思うかもしれませんが事実なんです、その時に言われました「君の目はこの世の見たいと思った全ての物を見通す目」だと、だから僕は渚さんのお婆さんを救ってそれを証明したい、どうか僕に渚さん達を助けさせてくれませんか?」
「………‥」
言ってしまった、絶対信じる訳が無い、でも………
渚からは何を言われる訳でもなくただ、慎二の顔を見て来ていた、慎二も負けじと真剣にその目を逸らさずに見返した、5分、10分経っただろうか?慎二の顔を見ていた渚が今までの真剣な顔が嘘のように笑い出したのだ。
「あはははっ!」
「えっ?………」
その状況に訳もわからず戸惑っていると渚がこう伝えて来た。
「ごめん、ごめん!慎二君を馬鹿にしている訳じゃ無いんだ、僕がお願いした側なのに自分の秘密を隠さず教えてくれた慎二君に驚いていて何も言えなかったんだよ、それに君の今までの言葉で嘘をつく子じゃない事ぐらいわかってるのに神様の事を真剣に伝えてくるところを見て笑っちゃったよ」
「何も笑う事ないじゃないですか……」
そんな事を言われて少し拗ねたように慎二は口を窄めてしまった。
「本当にごめん、でも出来るなら慎二君にお願いしたい…いや……お願いします。僕のお婆ちゃんを救ってくれないか?」
「任されました、渚さんのお婆さんを僕が必ず救ってみます!」
慎二はそう自信満々に答えた。