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【書籍化】処刑人≪パニッシャー≫と行く異世界冒険譚  作者: きりしま
新 第三章 女神の欠片

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3-3:転生

いつもご覧いただきありがとうございます。


 サルムの悪夢の話は、竈の火がジリジリと呻き、細い煙を上げることすら忘れる頃まで続いた。アルは質問も挟まず、ただ、じっと聞いていた。


 悪夢の内容はサルムが主観で見ているその手で何かをすることばかりだった。リガーヴァルでしていたように、力に物を言わせ相手を従わせたり、美食を貪り、美女を侍らせ、手にした鞭で奴隷を叩く。そこに愉悦を覚える感覚があり、夢の中とはいえ嫌悪を抱いていたこと。かつて自分のしたことが、どれほどに醜いことだったのかと何度も、何度も見せられ、忘れた日はなかったそうだ。


「あんたが来たってことは、やっぱり許されてないんだって思ったんだぜ」


 いかにこの場所で誠実に生きていても、覚えている過去が逃がしてはくれないのだと思ったらしい。アルは答えなかった。何を言えばいいかもわからず、ただ、暗く影を落とす男の顔を見ていた。

 サルムは言った。幸せになれず、雪の中で倒れる自分もいた。体がどろりと溶けて黒くなり、何かを襲うところも見た。食べているものの味が、触れている感触が生々しくて、忘れられない。その中で数度、鏡や水面のようなものを見たらしい。


「俺の顔だった。シュンの時の、そうでなくても俺だとわかるんだ。考えたくはねぇけど、あれは、俺なんだ」

「よくわからないな、どういうことだ?」

「ドッペルゲンガーって言ってもあんた、わからねぇんだよな?」


 わからない、と答えるとサルムはどう説明しようか少し悩み、パンを手にして千切った。


「これは、パンだろ。千切れてても、どっちも元は同じパンだ。少し形は変わってるけどよ、同じなんだ」

「まぁ、そりゃ、パンを千切ったんだからそうだろ」

「あんた、わかってねぇだろ。いいか、パンがあるだろ?」


 もう一度同じことを言われ、アルは首を傾げた。それを追加で二回繰り返され、ようやく言いたいことがわかった。

 同じパンが千切れる。千切れることで形が変わる。つまり、それがサルムにも起こったのだと言いたいのだ。千切れて形が変わったものがシュンとは違う姿かたちになり、けれど、元が同じパンなので形の違うパンでも何があるのかが見える。


「これがよ、一回、二回とかなら勘違いで済ますんだけどよ。繰り返し、繰り返し、何度も何度も見るんだ。そこにいる他人がまったく同じで変わらない、けど、物語が進むように続きが見られるって、怖いもんがあって」


 燃え尽きかけている薪の白い表皮を眺める男の疲れた顔を、同じように燃え尽きかけているランタンの明かりが照らしていた。


「馬鹿馬鹿しいと思うか? 自意識過剰だって笑うか?」

「笑わない。正直、なるほどなって思ってる。サルムが覚えてるか知らないけど、【黒のダンジョン】で戦った時、お前はクソ女神から多くの命を込めて産み落とされてた。そういうたくさんの命が……パンを千切るみたいに分かれたなら、言いたいことはなんとなく想像ができる」


 真剣に受け止めてもらえるとは思わなかったらしい。サルムはポカンとした顔でアルを見て、それからゆっくりと力を抜いた。


「なら、次はあんたがどうしてここに来たのかだな」


 そうだ。ラングがいなくなったらしい、未来が変わったらしい、そこまではわかるが、どうして、敢えて、なぜここに落とされたのか。その理由が知りたい。ふと思いついたことはあった。それを言葉にするには少しだけ、サルムという男を短い時間で知りすぎた気がしていた。

 ランタンの中で炎を掲げた芯が、透明な蝋に沈もうとしていた。二人でじっとそれを眺めていた。チリチリと黒く煤を抱いた芯は、やがてとぷりとそこに沈み、息を失った。ふっと明かりが消え、木窓の隙間から薄っすら青い朝陽が男たちの間にカーテンを描き、白い煙が一筋揺らめいた。戦女神ミヴィストの教会には、己の罪や後悔を告白する【ゆるしの間】があるのだが、まるでそこで告白を待つような緊張感があった。アルは沈黙を守り、言葉を待った。


「……パンの欠片を、殺しに来たんだろ」

「わからない。思うままに進めって言われてる」


 教会から丘の村へ、場所を引き戻すように外から山羊の鳴き声がした。誰かが働き始めているらしい。サルムの発言に、自分でもそうかもしれないと考えていたことは伏せて、アルは尋ねた。


「どうしてそう思った?」

「話したってわからねぇよ。ただ、なんか、そうやって分かれたドッペルゲンガーを倒していけば、弱体化するとかじゃねぇの。それに俺は怖いんだ。いつか、夢の中の俺になるんじゃねぇかって」


 誰かを鞭で打つ。妻子を傷つける。今でこそ魔法などの力はないが、それが突然、再び得られた時、何をしでかすかわからない。そういって項垂れる壮年の男に、アルは伸ばした手を視界に差し込んだ。テーブルの上、アルの手に顔を上げ、サルムは不安の滲んだ目を向けた。


「ならないって、誓えないのかよ」

「誓いたい、誓うさ。でもよ、誰よりもわかってんだ。人の心が弱いなんてことは。昨日決めた覚悟だって、新年に考えた抱負だって、あっという間に忘れられる、どっかいっちまう。一度やらかしてるから、怖ぇんだよ」


 かつてリガーヴァルでしていたことはサルムの心を永遠に苛むだろうとアルは思った。それを救う手立てが死であることはどんな皮肉なのだろう。


 ――思うままに進め。それもまた、ヒトの選ぶ結末だ。


 ただし、覚悟して進めと言われた気がした。

 だから神様なんて嫌いなんだ。自分で直接手出ししないくせに、ヒトにあれこれやらせようとして、挙句、ヒトのすることだから関係ありません、という顔をして見て見ぬふりをする。神様だというのなら、ここで迷う男を救ってやればいいだろう。アルは深呼吸をした。


「俺は、今の段階だとサルムを殺す気はない。手のひらをひっくり返してくるようなことがあれば槍を振るうけど、思うままに進めって言うなら、俺は、お前を殺したくない」


 サルムの目に希望の光が宿った。けれど、それはすぐに曇った。


「……あんた、確か強いよな」

「うん? まぁ、金級冒険者だからな」

「謙遜くらいしろよ……。あんたドラゴンは倒したことあるかよ?」


 ダンジョンで見たことがある、槍も叩き込んだと答えれば、サルムは席を立ち、木窓を開けた。標高の高い場所なのだ、びゅうと吹き込んだ風はぶるりと震えるほど冷たかった。訝しむアルを手招き、サルムは岩肌の多い山を指差した。


「あの山にドラゴンが棲みついたって噂なんだ。その噂話のせいで、商人の足が遠のいてんだ」

「あぁ、耳聡いもんな、あいつら。というかこの場所、ドラゴンが普通にいるのか? ダンジョンじゃなくて?」

「いや、聞いたこともねぇよ。俺が商人と旅をしてた時も、モンスターとか、魔獣とか、遭遇しなかった。盗賊だとか野犬だとかはいるけどよ。でも、確かにここ暫く、家畜が持ってかれたり、変な音がすんだよな」


 ふぅん、と耳を澄ませてみれば、風の音に乗ってグオオンという低い音が聞こえた気がした。これか、と確認するようにサルムを見遣り、そうだ、と頷きが返ってきた。


「神話とか逸話で、翼のある大きな蛇、いわゆるドラゴンがいるっておとぎ話はここにもあるんだ。言い伝えだけど、こういう場所だと影響は大きいみたいで、困ってる。本当にいるなら討伐してほしい」

「冒険者に依頼をしたいなら、報酬の提示が先だぞ」


 腰に手を当ててアルが揶揄うように言えば、サルムは一睡もしていないクマのある顔で笑った。


「それならもう払っただろ、一宿一飯の恩。妻の作った飯は美味かっただろ?」

「そういうことならもっと食っとくべきだったな」


 お互い、小さく、少しだけ笑った。


 そのまま雑談していれば寝室の扉が開き、サルムの妻が出てきて驚いていた。

 サルムの妻はまさか朝まで話しているとは思わなかったらしい。目を覚まして部屋を出て、男二人が木窓の外を眺めていたことに呆れた様子で、店は見るから二人とも少し寝て、と夫を眠らせていた。アルもまた暖炉傍に毛皮を敷いてもらえてそこで体を横にした。

 優しく、思いやりのある妻だ。サルムは商人をしていたこともあって、この村の中で唯一の雑貨屋をやっていた。日常の中であると少しだけ潤うもの、柵の修理に使う釘やロープ、鍋にフライパンと、生活に直結したものが多い。遍歴商人との旅はそうした必要なものを必要なところへ、という知見をよく育ててくれたらしい。


 昼頃、サルムが目を覚まし、確認は早い方がいいということで岩山の方へ行くことになった。妻は心配そうにしていたが、村人は何かの退治ができるなら、原因がわかるなら有難いと期待の眼差しだった。何かあったとしても、アルならば外様、死んでも損はないというのも本音だろう。何かあれば逃げてこい、というようなことをサルムは言われているようだった。


 ただ、サルムはドラゴンがいるなど半信半疑、モンスターも魔獣もいない世界で急に現れるなどないはずだ、と考えているらしい。アルもまた同様にそう考えているが、解決しなくては商人が来ないというのもあって原因をはっきりさせたいと言われた。それもそうだろう。アルはわかったと答えた。


 なだらかな丘を越えて進んでいけば、徐々に草がなくなってきた。羊が食べたのではなく枯れたような形だ。土から砂利に変わり、ゴロゴロとした石が足を邪魔するようになった。アルはそれをひょいひょいと越えていけるがサルムは息を切らせ、必死についてきていた。アルは岩の上でそれを眺め、声を掛けた。


「戻ってもいいぞ、俺が見てくる。この速さじゃ陽が沈んじまう」

「あんただけじゃ、村人たちが、信用しねぇよ」


 悪い、手を貸してくれ、と言われ、アルはサルムを引っ張り上げてやった。鍛えていない壮年の男にはこの岩登りはきついだろう。

 登り続け、平らな場所に出た。周囲を灰色の岩肌が取り囲んでいることは変わらないが、何かがここには居るような気がした。ここでとぐろを巻くように動いたのか、岩が削れ、風が入り込み、ゴウゴウと鳴っている。その音を聞いてサルムは首を傾げた。


「本当に風の音なのか、風とか雨で削れて、こうなったのか?」

「サルム、離れるな」


 槍を構えたアルの言葉に、サルムは驚きながらも周囲を見渡した。どうした、なんだよ、と問われ、アルはぎゅうっと槍を握り締めた。ゾワゾワと嫌なものを感じていた。指先がムズムズして、腰から首にかけて誰かになぞられているような不快感、耳の後ろに感じたのは殺気だった。


「来るぞ! いいか、離れるなよ!」


 サルムが返事をする前にアルは槍を振り抜いた。岩山の向こう、上から黒くて長い蛇のようなものが落ちてきたからだ。振り払うように振った槍の穂先で体が殴られ、血を撒き散らしながら岩山に叩きつけられた蛇は怒りを滲ませて大きく口を開き、威嚇行動を取った。ぼこり、ぼこりと人の腕のようなものが生え、ぶわりと広がって翼のようになり、岩肌に飛びついた。なるほど、体は蛇、翼のように見える腕、ドラゴンという逸話はここから生まれたのだろうか。考えている場合ではない。アルは再び飛び掛かってきた黒い蛇の口に穂先を合わせた。


「オルファネウル!」


 スッと入った穂先が、いつだかラングがダンジョンで見せたように蛇の体をすぱりと斬り裂いていく。飛んでいった蛇は体をひらきながら地面に落ち、びくり、びくりと痙攣をみせた。爬虫類はしぶとい。アルはその頭に槍を突き立て、トドメを刺した。じわ、と黒い体が溶けてぶくぶくと泡を立てて消えていく。討伐した証拠が残らずに困り、アルは振り返った。


「サルム、討伐したって証言を……、おい、サルム?」


 サルムは虚ろな目でぼんやりと蛇があった場所を眺めていた。名を呼び、肩を叩いても放心したままで、アルはその頬を思いきり張った。バチン、と痛い音がして少しの間を置き、サルムは息を吸った。


「おい、大丈夫か」

「……俺だ」


 何が、とアルは問うた。サルムはもう一度、俺だ、と答えた。


「あの蛇は俺だ。俺は、見えてた、あの蛇の視点で、あんたを襲うのが。俺の口が裂かれて、体が、が」

「おい! サルム! しっかりしろ!」


 アルは口元を押さえてよろめくサルムの腕を掴み、正面から覗き込んだ。サルムは泣きながら手を振り払い、アルは言葉を失った。怪我も何もしていないはずのサルムの口元はアルが槍を入れたのと同じ角度でばっくりと裂け、その傷は首から胴まで伸びているようだった。血は出ていないが、アルは蛇の死体が溶けた場所を見遣り、震える声で呟き続けるサルムを振り返り、両肩を掴み、サルム、と名を呼んだ。


「どうすりゃいいんだよ、こんなの、俺、あぁ、夢じゃなかったのかよ、黒い何かになって、何かを食うとか、夢じゃ……」

「落ち着け、関係があると決まったわけじゃ」

「俺なんだよ! 家畜が、羊が食われて、狼だと思ってた! 違う、俺なんだ! わかる、覚えてる、思い出した、口ん中に入れた毛皮の感じと、血の味を!」


 ぼろり、ぼろりとサルムの両目から涙が溢れた。アルの腕を掴み返し、震える指先がどろりと形を失っていく。


「殺してくれ……! このままじゃ、俺があいつみたいになって、妻子を殺しちまう……!」

「まだそうと決まったわけじゃない、あいつは殺した。ちょっと混乱してるだけだ。もしお前がそうだとしても、あいつを殺したんだ、もう、夢に見ることなんてないだろ! 冷静になれよ! 嫁と子供がいるんだぞ!」

「俺は冷静だ! 冷静なんだよ、自分でも驚くくらい。頼む、殺してくれ、俺がいると、頼む、またあいつが来る……!」


 頼む、頼む、と懇願し、サルムはついにアルのブーツに額を当てるほど、頭を下げ、這いつくばった。


 なぁ、神よ、これが神のすることか。


 アルは再びぞわりと感じたものに顔を上げた。蛇だけではない、大量の、様々な形の黒い何かが、様々な色の眼でこちらを見据えていた。アルの脳裏に、ざぁっと記憶が流れる。【黒のダンジョン】で殺した青年のまだらな瞳。それらが個々を持ち、こちらを見ているような感覚だった。


「殺して、くれ」


 サルムの声に合わさって、黒い何かたちが殺してくれ、と言葉を繰り返す。


「早く殺してくれ! 妻を、子を、村の奴らだけは! 頼む!」


 同じ言葉がまた繰り返され、アルは一度強く目を瞑った。それから、目を開いて怒鳴った。


「諦めるな!」


 手の形を失ったサルムを肩に担いでアルは槍を振るった。こちらへ飛び掛かってくる黒い何かの生きもの。蛇のようであり、鳥のようであり、虫のようであり、ヒトのような、敵意ある生きものを間髪入れずに槍の穂先で斬り裂き、払い、その場を逃れた。

 登ってきた岩山を山羊のように跳んで、蹴って、アルは片腕で槍・オルファネウルを振り続けた。黒い生きものは絶命すればバシャリと水のように弾け、しゅわしゅわと泡のように消えていく。【黒のダンジョン】で見た黒い液体の終わりによく似ていた。


「本当にあの時の欠片なのか……!?」

「殺してくれって!」

「黙ってろ! 俺はすぐに諦める奴が大嫌いなんだ! 全部この槍で斬り払ってやる! だから諦めるな!」


 岩山を下り、砂利だが平らな場所に戻ってアルはサルムを放り投げた。両腕が空いた、さぁ行くぞ、と自分に言い聞かせる。


「やってやろうぜ、オルファネウル!」


 アルは雄叫びを上げて雪崩のように襲い掛かってくる黒い生きものたちへ一線を描いた。


 どのくらい戦っていたのだろう。いつの間にか周囲は薄暗くなっていてものが見えにくくなっていた。さっと見渡し、こちらへ向かってくるものがないこと、殺気を感じないことを確認し、アルはポーチからランタンを取り出して掲げた。これは兄たちから譲り受けた消費を求めないランタンだ。手をランタンのガラス部分に滑らせるとその位置で明かりを調整できる。よく見えるように白く明るい光を揺らせば、サルムは地面でぼんやりと座り込んでいた。


「サルム、ほら、振り払ったぞ」


 駆け寄って自らの胸を叩き、自信に溢れた明るい声をかければ、サルムが顔を上げた。その顔を見てアルは言葉を失った。サルムの瞳には黒色と碧色の二つが収まっていたのだ。


「……なぁ、俺、死んだあとってどうなってた……? 死んで、俺、まともに転生したのか……?」


 問われたことに対しての答えは持っていなかった。アルはオルファネウルへ縋るように槍を強く握り締めた。


「見えたんだ。黒い何かが近いからか? それとも俺が知らないふりをしてたからか? 黒い奴がさ、男を襲ったんだ。金髪碧眼の男だった」


 震えながら、サルムは自身の手を眺めていた。裂けた口元、首に現れた傷口、黒く溶けたはずの手は元通りになっているが、その形がじくじくと変わり始め、苦労を知らない青年の手になっていく。


「思い出した、そうだ、転生したんじゃない、……奪ったんだ」


 金髪碧眼の顔がどろりと黒く溶けて、男の周囲に水のように広がった。その黒い水たまりの中で黒髪の青年、ツカサとよく似た民族性を持った顔の()()()が泣いていた。


「なぁ、俺は何をしたんだよ? どういう罪でこんな目に遭ってんだよ! 俺は、どうして幸せになれねぇんだよ! 頼むから誰か、俺を赦してくれよ……! 助けて……!」


 アルは強く目を瞑ったあと、覚悟を決めて目を開いた。そして、一歩離れ、槍を振るった。

 ぽんと飛んだ首はゆっくりと目を瞑り、本来ならば出るはずもない声で何かを言った。地面に落ちる前にしゅわりと泡になって、ぱさぱさと落ちたものが跡形もなく消えていく。サルムだったもの何一つ残らずに、この世から消えてしまった。

 アルは槍を引き戻し、ぎちりと音を立てた。


「思うままに進め? 選べる選択肢なんてほとんどないくせに、何が思うままに進めだ! 畜生!」


 アルは熱を持つ目を押さえ、濃紺の夕闇へ向かって咆哮を上げた。




いつも旅路にお付き合いいただきありがとうございます。


皆まで言うまい。


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