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【書籍化】処刑人≪パニッシャー≫と行く異世界冒険譚  作者: きりしま
新章 新しい生活
423/467

第一巻 発売記念SS その2

書籍がお手元にあれば、ぜひ口絵を開いてください。

ttl先生のイラストに感動し、担当さんに叩きつけたものをそっと置いておきます。


ガラン、薪が崩れ、お互いに擦れ合う音が響いた。合わせて、ボッ、パチッ、と弾けた音が火の粉を空へ運んでいき、思わずそれを目で追った。まだ暗くなる前、鍛錬が出来、それと同時に調理するのに手元の明かりに困らない頃、早めの夕食だった。

 太陽は沈んでオレンジの色合いは既になく、西の空に薄らと最後の青が残る時分、少し物悲しい時間帯だ。


『どうした』


 ぼんやりと空を見上げているように見えたのか、ラングに尋ねられ、生返事を返しながら視線を手元に戻した。今日は乾燥肉に興味を持ったら作ってくれた、乾燥肉のスープと硬いパン。スープに浸すとみっちりとした食感になるパンが、思ったより美味しくて驚いた。


『空が綺麗だなって思って』


 小さく首を傾げた後、ラングも空を見上げてくれた。まだ短い付き合いながら、ラングは、何を言っている、何を馬鹿なことを、とツカサの発言を適当に流したりはしないと知っている。見たもの、感じたものを同じ目線で見てくれるというだけでも、心強く感じるのだから不思議だ。


『そうだな。もう暫くすれば星が出る。明日は晴れるだろう』


 ほら、とツカサは誰にでもなく、ふふっと笑った。ラングの天気予報はここまで外れたことがない。一人楽しそうなツカサの様子にシールドの奥で眉を顰めたのが雰囲気でわかった。だが、それ以上踏み込むことはなく、ラングはシールドを揺らしてツカサの手元を示した。


『冷めるぞ』

『うん、食べるよ』


 でも、もう少しだけ色の変化を眺めていたいなと思い、ツカサはもう一度空を見上げた。

 ガラン。ラングが薪を足した温かい音が響く。もう物悲しさは感じなかった。


きっと、明日も晴れる。さらっと抜けた風の心地良さに目を瞑った。

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