表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】処刑人≪パニッシャー≫と行く異世界冒険譚  作者: きりしま
新章 新しい生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

391/470

1-25:地下水道での戦い

いつもご覧いただきありがとうございます。


 トーチ、と呟けば明かりが現れる。自分の前にそれを持ってきて、入り口から階段を照らした。すらりと感ずるもの(フュレン)を抜いて前に出し、階段を降り始めた。隊列はツカサ、ズィール、ジーク、ゲオルギウスだ。ゲオルギウスは最後尾でもトーチを置いている。

 地下水道というからには臭いものを想像していたが、それほどでもない。トーチで照らす階段はそれなりに長く、遠くでさーっと水の流れる音がした。水の流れがちゃんとあるからこそ臭わないのか。


「いぃぃ、嫌な感じですね」


 ゲオルギウスは腕を摩り不快感を示した。声が反響して少し嫌な感じだ。すん、と鼻を鳴らす、なんだか嗅いだことのある臭いだ。これは、ダンジョンで感じる魔獣の臭いと同じだと思う、つまり。


「ねぇ、確認なんだけどさ。地下水道に魔獣が棲みつくことってある?」

「いいや、ない。少なくともイーグリスでは前例もない。どういうことだ」

「ダンジョンと似た臭いがする。これ、魔獣だと思うんだよね」


 なんだと、とズィールが剣を抜く。ツカサは足を止めて頬を掻いた。これはただの地下水道調査ではなくなりそうだ。少し冒険者としての心得を伝えておくか、と足を止め、全員を振り返った。


「臭いと勘ってだけだから、本当にいるかどうかはわからない。けど、備えるっていう意味でちょっと真面目に相談したい」


 ツカサはパーティとして動きたいと言った。あまり得意ではないが斥候、いわゆる先の状態を確認する役目をツカサが、騎士科の盾を扱えるズィールを盾役(タンク)、ジークをアタッカー、ゲオルギウスを補助役にする。注意事項は一つ、勝手に飛び出すな。


「ズィールには前面で敵を引きつけたりしてもらって、ジークが削る、ゲオルギウスには炎以外で魔法を使ってもらいたいんだけど、できる?」

「できます。なるほど、確かにこの狭い空間で炎は不味そうですね。風にしておきましょう」


 研究さえ絡まなければまともだ。ジークも頷き、ズィールは騎士科ゆえに盾役(タンク)という言葉をよくわかっていないらしい。騎士とは、守るべき者の盾ではあり剣。その盾は敵の攻撃を防ぐという点では同じだが、敵視(ヘイト)を集めるものではない。武器なのだ。防ぎ、叩き、剣を振るう。迫りくる敵をその手で屠るのが、ここでいう騎士である。ツカサはそれを知った時、とても驚いたものだった。剣術科よりも騎士科の方が魔獣を利用した実技演習が過激なのだそうだ。

 ゲオルギウスは一人だけ【冒険者ごっこ】にウキウキしていていて、ツカサは三人の様子に不安になった。ツカサが初めてダンジョンにラングと行った時、同じように呆れを持っていたのだろうかと思うと顔が熱くなる。まずは、状況の確認だ。


「じゃあ行こう。一応、何かあればフォローするけど、あるものとは思わないでね」


 最初に安心感を与えて気が緩むような奴らではないだろうが、念には念を入れる。再び階段を降りていき、こちらも鍵の外れている錠前を外し、鉄格子を開けて水路に降り立った。トーチの数を増やして視界を確保して周囲を見渡す。中央に幅三メートルほどの水路、両側に一メートル幅の通路、よく見れば今降りてきたのと同じようなアーチ形の穴がいくつかあった。水路の深さがどのくらいかを確かめるために、ツカサは氷で棒を創り出してそこに突っ込んだ。この一メートル幅の通路は成人男性には狭い、水が浅ければ最悪そこで戦った方が立ち回りはしやすいと考えてのことだ。深さはこちらも一メートル、だめた、深い。どうにか通路で戦うしかなさそうだ。氷の棒を砕いて水に流し、ツカサは風の動きを確認した。


『風下に臭いは流れるから、これが臭っているなら対象は風上……。とはいえ風がそんなにないな、ちょっと滞留してる感じだ』


 地下鉄などであれば風が押され動くが、こうした水路ではそもそも外に通じる道も遠く、大きな動きはないのか。ツカサはこれもまた初めてだな、と思いながら、一先ず移動のために予想をたてる。


「イーグリス市街に向かうのってどっちだろう」

「それなら右手側だ。いくつか曲がらないといけないが、方角としては南を目指す。排水は西側だからイーグリス外を目指すなら、さらに途中で西側に曲がる。ざっとこんな感じだ」


 ジークにありがとう、と返し、ツカサはできる範囲でトーチを遠くに投げ、覗き込んだ。ゲオルギウスはうっとりとしながら呟いた。


「いいですね、滑らかで的確、見ていて気持ちのいい魔法です! ツカサ、ちょっとだけ魔力をよく視てもいいですか!? 是非こちらにもトーチを置いてください!」

「ゲオルギウス、俺すごく真面目に警戒してるんだ。あんまり浮き足立ってるなら帰ってくれる? 遊びじゃないんだよ」


 ツカサの声のトーンの低さにゲオルギウスはさすがに反省したらしく、すみません、と隊列に戻った。これもまた、学園というぬるま湯の中に居るからこその危機感の無さなのだろう。ヴァンの懸念したことは多岐に渡ってツカサにその姿を見せてくる。暗闇で動くものはいない。ツカサは右手側に折れて通路を進んだ。四人分の足音が響く。これを聞くのが人ならば相手も逃げるか隠れるはずだ。逃げるならば微かでも物音がする。隠れるならば気配を探る。魔獣ならば、来るはずだ。


「アルゴ・コボルトでなければ、だけど」


 自分で確認するように呟き、ツカサは十字路で止まった。交差点のように橋が架かっていて移動は容易だ。


「ジーク、ここはどっちだろう」

「右だ、次の十字路まで真っ直ぐ進み、また右に曲がれば市街地の方に行ける」


 かさ、と地図を開いて案内され、ツカサはそちらへ向かった。暫く道は真っ直ぐだった。ツカサは悪臭が強くなったことに気づき、止まって、と後ろへ手で制し、トーチを広げる。通路に何かが積み上がっている。糞、かなりの量だ。


「ダンジョンだと見たことなかったけど、魔獣の糞だよな、これ」

「臭うな」

「衛生上良くないな、調査が終わったら掃除を依頼しなくては」

「調べる、ちょっと待ってて」


 ツカサは【鑑定眼】でそれを見た。おいまさか触るんじゃないだろうな、とか、汚いですよ、とか、誰が触るか、と思いながらツカサはその場からそれを調べた。


 ――カイルワェンの糞。鼠、魚などの骨が混じっている。


「カイルワェンってなんだろう」

「それでしたら【青壁のダンジョン】で出る魔獣です。四足の魔獣で、水中では器用に尾を利用して水を掻き、飛び出してきたりするそうです。……まさかそれの糞ですか?」

「みたい」


 三人が顔を見合わせた。


「不味いな、それがここに棲みついているならば、維持保守の作業員が危ない。それに、この水路は市街地まで続いている、どこかで顔を出しでもしたら、それはそれで大騒ぎになるぞ」

「そ、それまさか、白いの、人の骨じゃないですよね!?」

「鼠と魚って出てる」

「ならばよかった、いや、良くはないが」


 振り返ったツカサ含め皆で顔を見合わせ、探索の目的が切り替わったことを共通認識として持つ。カイルワェンを狩らなくてはならない。一頭だけとは限らないが、少なくとも糞一つ、明らかにここがトイレと定められている様子に、確実にいることは証明された。さて、ではどう探索するか、とジークが口を開いたところで、ツカサはトーチの明かりを反射する、一対の双眸が水中で光るのを見た。


「ズィール! 左後ろ! 盾!」


 ツカサが叫べばズィールは左腕に構えた盾を即座にそちらへ向けた。鋭い角を鼻先に持ち、装甲のような鱗に覆われた真っ黒な塊、大きな口を開いたニメートルはゆうにあるワニのような生きものが水中から飛び出してきてズィールの盾をゾリゾリと滑り、ぶつかった壁を牙で抉り壊しながらツカサを越え、通路に一度足を置いてからまた水中に消えた。ツカサは石片を払いながら氷魔法を撃とうとして躊躇した。思い切り魔法を使えば通路が壊れる。貫通してもだめだ。壊さないように魔法を使わなくてはならない。


「ウィンド!」


 ゲオルギウスは迷わずに風魔法を使い、水路をザバァッと切り裂いた。両側に波打って水が中央に戻る、既にカイルワェンの姿はなかった。こういう場所での魔法の制御と調整はゲオルギウスの方が上手そうだ。


言の葉に応える(噂をすれば)ですね! びっくりした……」

「ズィール、いい反応だった」

「造作もない、だが、ツカサの声掛けがあってこそだ。助かったぞ」

「怪我が無くてよかった。あれが、カイルワェンか」


 鼻先にあった大きな角が抉った壁を見上げ、ツカサはふぅと息を吐いた。鑑定したところ、あれは【青壁のダンジョン】生まれと出ていた。あれもまた、人の目を盗んで外に連れ出されたものなのだろう。しかし、とツカサは壁を見た。ダンジョンとは違い壁が崩れる。とすれば、崩落なども簡単に起きるだろう。後のことも考えて戦わなくてはならない。ツカサは全力で索敵に注力することにした。


「探す、悪いけど帰り道を覚えていられないと思う」

「壁に印がある、それを目印にすれば帰ることはできる」

「ならよかった」


 すぅ、ふぅ、息を吸い、ぐっと丹田に力が入る。何度だって言われて思い出す、魔力は筋肉じゃねぇっつってんだろ、という声。ぶわりとツカサから魔力が広がり、ゲオルギウスは感動の声を上げそうになって唇を噛んだ気配が感じられた。水中で獲物を探すソナーのように、遠く、薄く広げる。ツカサは異物を捉えて叫んだ。


「この先、大体左前の方にいる。挟み込めたりするかな」

「だったらこのまま真っ直ぐ進んで左に曲がる組と、道を戻り右に曲がり、回り込む組を作ればいい」

「距離が長いのは?」

「進む方だ」


 ジークの素早い会話にツカサは頷いた。


「ズィール、ジーク、ゲオルギウスは戻って回り込んでくれる? 俺一人の方が足が速い」

「そうだろうな、君が一番速い。わかった。ゲオルギウス、ジーク、戻れ! 走れ!」

「急かさないでください! 通路が狭いんです!」


 三人が走って戻るのを確認し、ツカサは一人前進を開始した。魔力を放出しての索敵は続けながら走り、先程見つけたのとは違うところにもう一つ気配を感じた。そちらはカイルワェンとは形が違う。しかもこちらから遠く離れていく。


「どこに行くんだ? 人? 魔獣? あの方角は、市街地?」


 あれも魔獣ならばあとで追わなくては、と思いながらツカサは十字路に辿り着く。左折、索敵、感知、いる、この通路だ。向こうから器用にゲオルギウスが同じように魔力を返してくるのに少しだけ笑った。挟み合うような魔力ソナーに位置がはっきりと視える。先程のツカサのやり方を肌で感じて即座に真似できる。ディエゴと同じ、天才なのだ。悔しいが、向こうの誘導はゲオルギウスがやってくれるだろう。

 カイルワェンはツカサの気配を感じ取っているのか逆方向に移動をし始めた。助走をつけるためか、それとも向こうの三人の方が狩りやすいと判断したか、魔獣の考えることはわからないが、決して馬鹿ではない。カイルワェンの動きがぐんと速くなった。水から出る、来る、と思った。遠くで、来ますよ! と叫ぶゲオルギウスの金切り声がした。再びズィールの盾に鱗が滑る音がした。ガリガリと壁の抉れる音がし、バシャンッ、と大きな水しぶきの音がして潜る。ツカサの探知にはカイルワェンがぐるりと踵を返してくるのがわかった。もう一度来る。


「速くなった、来ます!」


 再びゲオルギウスの叫び声がしてズィールが前に出る気配がした。ガリガリ、ゾリゾリ、という音がして合間に剣の音がした。ジークが鱗を斬り裂こうとしたのだろう。水だ、水が邪魔だ。ゲオルギウスの甲高い声がした。


「ツカサ! 風魔法! 広げて!」

「でも壁が!」

「増幅です! 調整です! 波長の合う魔力! 魔力貸してください! 私がやりますからぁ!」


 どうにでもなれ。ツカサは感ずるもの(フュレン)を持った右腕を前に振り、風魔法を放った。索敵に広げていたゲオルギウスの魔力に風魔法が届き、ぐんっと引っ張られる感覚がした。いうなれば、宙を漂うシャボン玉が、他のシャボン玉と接触してぼわんと大きくなるような感じだ。増幅、さらに、ゲオルギウスはそれを器用に扱い、ツカサの魔力を自分のものとして水路に撃ちだした。

 それは本当に上手かった。通路も壁も傷つけることなく、ただ流れ続ける水路の水だけをぶわりと弾き飛ばし、底を、カイルワェンの姿を露わにした。まるで海を割る神話のように器用に成し遂げたゲオルギウスはツカサが送り続ける魔力を引き出し続け、情けない声で唸った。ツカサは距離を詰めた。カイルワェンは背後のツカサの接敵に水なしで大口を開けてゲオルギウスを狙った。それを防ぐのはズィール、盾で防いだ一瞬、ジークが素早く入り込み、鱗の薄いところ、隙間を正確無比に斬り裂いてバキンッと黒い鱗が飛び散った。水の飛んだ通路に降り立ち、体を回転させてもう一撃、カイルワェンはズィールに向けていた牙をジークに向けた。

 その時、ゲオルギウス、ジーク、ズィールはぞわぁっと全身を駆け抜ける悪寒を感じた。カイルワェンはそちらの方を見て、生き残るために抗おうとした。


「押して、引いて、引きつけてから、押す!」


 タタタッと軽い足音で駆け寄り、カイルワェンのずるんっと動いた挙動を避け、ジークの作った鱗のない場所に感ずるもの(フュレン)を刺し込み、鱗の隙間を縫って、相手の勢いに任せてビビィッ、と体を斬り裂いた。振り返りざまアイスランスを頭部に一撃。バガンッ、と音を立てて刺さったそれはカイルワェンを苦しませなかった。死んでいれば空間収納に入る。ツカサはそれを生死の判断にして空間収納に仕舞い、通路にひょいと上がった。ぽかんとしているジークに手を差し出して引き上げ、水を吹き上げて底を露わにしていたゲオルギウスから自分の魔力を取り上げ、ふぅー、と深い息を吐いてクールダウンした。

 遠くで感じていた大きな気配はツカサの索敵範囲を出たらしい。あとは細々した小さな反応、鼠やここに迷い込んでいる魚だろう。大きく広げてしまうと自分の位置から半円になってしまい、地上の索敵もしてしまう。こうした空間だけ上手く索敵できるようになれば、かなり重宝できる。練習あるのみだ。

 ツカサは未だおかしな唸り声を上げ続けるゲオルギウスの前で猫だましを打って正気に戻した。水、流していい、と言えば、そうですね、とゲオルギウスの魔力が霧散していき、水路に水が戻った。ゲオルギウスはそれから女子のようにぴょんぴょんと跳ねだした。


「うひゃぁ! なんてこった! すごい! 理論は確実に正しい! 波長の合う魔力同士であれば、上手に混ぜて、相手と比べて魔力総量の少ない者でも十分に魔法を使うことができる! 魔力がある、細かな調整を咄嗟にできる、この組み合わせは最高なのでは!? いやぁ! 素晴らしかった! あぁ! 理論が通るこの瞬間の気持ちよさ! たまりません!」


 ゲオルギウスの歓喜の声にいっそ笑ってしまった。ズィールは重かった魔獣の感触を確かめるように盾を何度か持ち上げ、ジークは自分の剣が斬り裂いた感触を剣の柄を握って確認していた。ゲオルギウスの脳内はレポートをまとめることで一杯だろう。だが、一先ず動かなくてはならない。ツカサは咳払いをして皆の注目を集めた。


「まさかカイルワェンが【青壁のダンジョン】から勝手に来るわけもないだろうし、あれも魔獣使い、テイマーとか、その商人関連がここに置いた可能性が高いね。逃げるための通路だったのか、これがアルゴ・コボルトの後の問題だったのか、是非本人から聞きたいね」


 とりあえず、一度戻ろう、とツカサが言えば、皆が頷いてジークの案内で帰路についた。壁の修繕や地下水道の通路の掃除、これがどこの管轄なのかと考えていれば、地下周りは統治者(オルドワロズ)の管轄らしい。これは近いうちにアルの手紙を持って直接顔を出しに行った方がいいかな、と思った。

 少しの疲れを覚えながら降りてきた入り口に戻り、階段を上がる。ほんの数時間だというのに空の青さが眩しい。中では鼻が慣れてしまっていたが外の新鮮な空気に触れると体が臭く感じる。風呂に入りたい、けれど魔獣生態研究学科にこの魔獣を届けなくては。

 ツカサが次にやることを考えていれば、ばたばたと生徒が駆け寄ってくる。冒険者クラスも、騎士科も、剣術科も、果ては魔導士科までいる。大勢の生徒が詰めかける様子に教員四人、眉を顰めた。ズィールが冷静に尋ねた。


「何の騒ぎだ」

「冒険者ギルドから手紙が、ツカサ先生に、急ぎだと言っていました」


 先頭を走ってきたロドリックが封筒を差し出してきたのをツカサが受けとる。汚れている、これは土と、泥、すんと嗅いでみれば薄っすらと潮のにおい、そこに混ざる鉄の香り、これは血か。


「どういうこと? 誰から?」

「冒険者ギルドがツカサ先生に渡してくれ、とそれだけです。慌ただしく戻っていってしまって、詳細は何も」


 ツカサは後回しにせず、生徒の前で封を開き、その中に収められた手紙を取り出した。随分とよれている。でこぼこの場所で必死に書いたのか、それとも場所が余程湿気ていたのか。緊張した文字は謝罪から始まっていた。


 ――ツカサ・アルブランドー先生

 どうか、許してください。本当に申し訳ございませんでした。

 御存じではないでしょうが、教務課のガスパールです。あなたのことは知っています。

 知っているような気になっていたんです。

 申し訳なかった、これは、本当に、自己満足な遺書です。

 ただ、あなたにだけは真実を伝えたくて、書いています。

 誰でもいい、誰かツカサ・アルブランドー先生に届けてください……――


 必死な文字、ガスパールからの手紙。ツカサは目を見開き、その手紙に向き合った。




面白い、続きが読みたい、頑張れ、と思っていただけたら★★★★★やリアクションをいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ