陰キャ、陽キャに幸あれ。
「ねぇ、なんで陰キャはこの世界で生きづらいんだろう。」
陰キャ女子、陽葵は言った。
「なんでって…」
それに答えたのは陰キャ男子、慎之介だった。
「…」
同じく陰キャ男子、蒼は黙ったままだ。
「う〜ん、素質?」
「素質って何だし!!」
慎之介の答えに納得できず反論する陽葵。
「どうして素質だと思ったの??体験談??」
「そうそう。髪染めて、分け目もしっかり作って、私服もオシャレにしたのに、性格はいまだ変われない俺の体験談だよ。」
へらへら笑いながらどこか切なそうに慎之介は答えた。
「でもさ!」
陽葵は元気よく言った。
「私と蒼は、慎之介の魅力たくさん知ってる!!陽キャたちは慎之介の魅力に気づいてないんだよ!!愚かな人たちだなぁ」
珍しく蒼が口を開いた。
「最後なんか陽キャ馬鹿にしてない?」
「ナイスツッコミ!!」
「wwww wwww wwww wwww」
3人はしばらく笑っていた。
「ありがとな。でも陽キャの人たちだっていいことあるから、全員嫌うのはダメだぞ」
慎之介は陽葵の髪をくしゃくしゃにしながらそう言った。
「わっ。慎之介、やめてよ〜」
陽葵は照れるのを隠すようにそう言った。
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1年後。
「慎之介くん!今日放課後空いてる?」
「夜ちゃん。うん、空いてるよ」
2人は付き合っている。きっかけは夜が、一年前のあのたわいもない会話をした日に慎之介に告ったことがきっかけで2人は付き合うことになったのだ。
夜は陽キャ女子であったため、慎之介もそれについて行くように陽キャ男子へと変わっていった。
「…」
陽葵は2人をただぼーっと見ていた。
「陽葵、帰ろう」
蒼は陽葵にそう言った。
「うん…」
あの日から陽葵は心を閉ざすようになってしまった。
「陽葵、お腹空いてない?どこか寄ろうよ」
慎之介が陽キャになっても、陽葵が心を閉ざしても2人に変わらず接する蒼。
「うん」
2人は近くのフードコートに寄り道することにした。
「陽葵、とりあえずいつもので良かった?」
蒼はいつも陽葵が頼んでいる食べ物と、ジュースを頼んできてくれた。
「うん」
2人はしばらく黙っていた。だが最近はずっとそうであったため、とくに気まずいわけではない。
「陽葵、そろそろ行こうか」
2人は食べ終え、蒼がそう言った瞬間だった。
「蒼っ、私、話したいことあるの。」
陽葵が久しぶりに自分から話したいことがあると言ったため蒼は少し驚いた。
「私、慎之介が好きだった。ううん、今もまだ好きなの。」
「知ってるよ」
蒼は優しく答えた。
「そっか」
陽葵の瞳からボロボロと涙が溢れる。
「陽葵、教えてくれてありがとう。」
「ううん、聞いでぐれでありがど〜」
陽葵は泣きながら蒼に感謝した。
「どう?落ちついた?」
「うん。」
2人は店を後にした。
「蒼、本当にありがとう。私、蒼がいなかったらきっと立ち直れなかったかも。陽キャをもっと嫌いになってた。陽キャは私たち陰キャのほしいものたくさん持ってるのに、私たちから慎之介を取らないでって。なってた。」
「そんなこと考えていたんだ。たしかに俺も、そう思うことあるよ。何も取るなって。でも、この世界はもともと陽キャとか、陰キャっていう概念はなかったし、陽キャにだっていい人はいるし、陰キャにだって悪い人はいるからね」
「そうだよね、なんだか私またここからやっていけそう!!」
陽葵は元気よく言った。
「なんか私、陰キャとか陽キャとか勝手にいろいろ決めつけすぎてたな〜、蒼のおかげで、気づけた。いつも一緒にいてくれてありがとう!」
蒼はニコッと笑い言った。
「陰キャも。陽キャにも。幸がありますように。」
陽葵もつられて笑って言った。
「なにそれ!でも、たしかに!みんなが幸せになりますように!!」
-2人は笑顔で空に願った。-
最後までお話を読んでくださり、ありがとうございます!私は陰キャだとか陽キャっていう言葉に振り回されることが多いです。きっとこれからも。だけど、陰キャも陽キャも幸せになれたらなあって思う時もなくもないので、今回これを書きました。正直、拙いところばっかりです。でもみんなが幸せになれたらなって思います。改めて、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!!