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大富豪と泥棒たちの大戦争  作者: はから
第一章 大富豪と泥棒たち
9/29

日本一の大泥棒 ~全盗の源三~ 


 ワシは日本一と呼び声高い盗賊じゃ。


 ワシの手にかかれば盗めぬ物はない。

 

 今回の獲物はここじゃ。

 財前美術館。


 くっ!忌まわしい記憶じゃ。

 若い頃に財前邸に忍び込んだワシじゃったが、物の見事に失敗した、

 なんじゃ、あの化け物どもは…。


 今夜はワシの復讐戦じゃてよ。

 財前の者どもめ…目にもの見せてやろうぞ!











 「ねえ」


 「なんだ」


 自室で画面を見ていると、横にいた六華が声を掛けてくる。

 今日の当番は六華ではないようだな。

 ふむ、誰だったか。


 「なんで絵瑠がいるのよ」


 「ふっ、野暮なことを聞くな」


 俺の膝の上にはスースーと柔らかな寝息を立てる絵瑠がいる。

 絵瑠は先日女鼠から奪い取った女の子だ。

 俺の拳の前に悪は成敗された。


 その後、保護した絵瑠だったが、どうやらどこから来たのかも覚えていないようだった。

 そこで、親が見つかるまで財前家で保護することにした。

 

 可愛い。

 可愛いは正義だ。

 幼女だぞ!幼女だ!

 これ以上の幸福はない!

 見ろ!この健やかな寝顔を!

 天使だろう!天使でなければ女神か!!?


 「絵瑠は天使だ。異論は認めん」


 「はいはい」


 「絵瑠を四天王にした」


 「はいは…えっ!?」


 「絵瑠をようじょにした」


 「えっ!?幼女って慣れるの!?というか絵瑠幼女だよね!!?」


 六華は何を騒いでいるのか。

 あまり大きい声を出すでない。

 せっかく寝た絵瑠が起きてしまうではないか。


 「絵瑠が四天王ってどういうことよ」


 「そのままの意味だが?」


 「絵瑠に四天王としての実力はあるの?」


 「ない」


 「アンタねぇ…」


 これで空白になっていた四天王全員が揃った。

 ふふふ…。


 「絵瑠に戦闘力は求めてない。そこにいるだけでいいのだ。そう、この天使の笑顔を守れるならな」


 「はぁ?」


 ふっ。

 俺の高尚な考えがわからんとは。

 六華よ、お前との付き合いも長いはずだが?


 「それに幼女って何よ」


 「ようじょはようじょだ」


 「絵瑠は元々幼女じゃない」


 コイツ…気づいてないのか。

 仕方ない。


 「こい」


 「きゃっ!?」


 俺は六華を抱き寄せる。

 相変わらず愛いやつだ。


 「絵瑠は俺と六華の養女にする」


 「養女って…。幼女じゃなかったのね」


 「当たり前だ。すでに天使の幼女なのだ。」


 「養女ってどういうことなのよ」


 「お前が言っていたではないか。異母兄妹だから、子供は望まないと。だから絵瑠を俺たちの養女にするぞ」


 「アンタ…」


 ふっ、お前の考えなどお見通しだ。

 











 「お前はっ!!?」


 「なんじゃお主は?」


 やれやれ、今日のコソ泥は同じ爺か。

 まぁ、ワシのがぷりちーじゃがの!

 若は見とるかのぅ?絵瑠ためにも頑張るんじゃ。

 じいじの雄姿を見ておくのじゃぞ!?



 「お前は山梔子万裁!!!」


 「ん…、知り合いかのぅ?ワシにコソ泥の知り合いなどおらぬぞ」


 ふむ?ワシのことを知っておるじゃと?

 うーむ…、ワシの記憶にはおらぬのぅ…。


 「この源三!一時たりとも忘れたことはない!山梔子よ!ここでお前を倒す!」


 「源三…?源三…?はて?」


 「気様ああああああああああああ!!!」


 なんじゃこの爺は。

 そんなに叫ぶと血管が切れるぞい。

 てぃーぴぃーおーを弁えぬか。

 

 「今日の盗みは変更じゃ」


 「ぬ?」


 「お前の命を奪うことにするんじゃ!」


 「物騒な爺じゃのぅ…」


 なんじゃこの爺は。

 暑苦しいのぅ…。

 なんかもう疲れたのぅ…。


 「あの時より磨き上げたこの腕―――「うるさいのぅ」」


 「………」


 「喋りすぎじゃて」


 なんじゃったんじゃ、この爺は。

 まぁいい。これで今日の仕事は終わりだろうて。

 絵瑠の寝顔を見てから銀座に行くかのぅ。


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