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大富豪と泥棒たちの大戦争  作者: はから
第一章 大富豪と泥棒たち
8/29

東の大泥棒 ~子連れの久子~


 アタイは子連れの久子だよ。


 東日本では名の知れた盗人さ。

 

 アタイは呼び名の通り、子供と二人で仕事をこなす女さ。

 子供に油断している間にアタイが盗み出す。

 

 このコンビネーションは、誰にも止められないわよ。

 この財前美術館に警備員がいたって関係ないわ。

 子供に気を取られるうちに獲物をいただいてとんずらさ。

 

 それにしても、良い拾い物をしたもんだよ。

 こんなに良い商売道具はないわね。










 「坊ちゃん」


 「うむ。今宵の鼠はどこまでいけるか見物だな」


 今日の担当は誰だったか?

 たしか六華だったな。

 六華が鼠ごときに遅れを取るとは思えんが、念のため見ていておいてやろう。

 

 戻ってきたら今日も褒美でもやるか…。

 配下にも褒美を与えることで、俺への忠誠は永遠のものだ!

 くくく…天才過ぎて怖いな。

 


 「本日の鼠が映りますね」


 「ほう…こやつ―――っ!!?」


 画面の先に映るのは女と思われる鼠だ。

 俺が気になったのは女の横だ。

 なんということだ…!

 この俺が心奪われるとはな…!

 やりおるっ!!!


 「宮前!あとは任せた」


 「は?…はぁ」


 ここを宮前に任せ、俺は単身美術館へと向かう。

 くっくっく…!

 あのようなものを見せられて、俺が動かないわけがない。

 待っていろよ…!!!











 『侵入者有り。数分でそちらと邂逅します』


 「了解」


 今晩の担当は私。

 夜更かしすると肌に悪いんだけど…。

 今度将星に言ってみようかしら。

 私のお願いなら無碍にしないわよね?



 「六華」


 「ひゃっ!!?」


 今晩の獲物を待っていると、背後から突然声を掛けられた。

 しょ、将星!!?

 なんでこんなとこいるのよ!?

 いつもだったら自室にいるじゃない!?


 「な、何やってるのよ」


 「今宵の鼠に興味がある」


 へぇ~。

 今日の獲物は将星が気になるレベルなのね。

 ちょっと気を引き締めておこうかしら。


 「きたぞ」


 「そうみたいね」


 将星と待機していると、前方の暗闇から足音が近づいてくる。

 仮にも次期当主様なんだから…。

 将星に手は出させないわ。


 「あら、お出迎えかしら?」


 「アンタを捕まえるためにね」


 「………」


 暗闇から現れたのは、黒いレザースーツに身を包んだ女。

 ふーん。この女が東で有名なやつなのかしら。

 将星は黙っちゃって。

 将星が気になるほどの美人には見えないけど?


 「さっそくで悪い――「待て、六華」」


 「どうしたのよ?」


 「手を出すな」


 「はぁ?」


 何言ってるのよ!

 目の前にいるのに手を出すなってどういうことよ!?

 ついに壊れちゃったのかしら?

 最近部屋にも行ってなかったからストレスで壊れたのかしら…?


 「あら、通してくれるのね。ならお言葉に甘えさせてもらうわ」


 「誰が鼠を通すといった」


 あれぇ?

 将星…さっきの自分の発言覚えてる?


 「アナタおかしいのかしら?頭大丈夫?」


 「ふっ、俺はいつだって正常だ」


 「ええぇ…」


 いやいやいや…。

 将星、いつもより呼吸が荒いわよ。

 絶対正常じゃないわよ。


 「鼠に用はない。用があるのはその横だ!」


 「横?」


 横?何かあるのかしら?

 あ、あれはっ!?


 「気づいたか六華」


 「ええ…」


 「幼女だぞ!幼女だ!天使がいるぞ!!!」


 「………」


 うん。やっぱり壊れてるわね。

 頭殴ったら元に戻るかなー?


 獲物の横にいたのは小さな女の子。

 そういえば東の泥棒は子連れのなんちゃらって呼び名だったわね。

 こんな小さな子供も使うなんて、女の風上にもおけないゲスだわ。



 「あら、コレがお望みかしら?」


 「…コレだと?」


 獲物は、横の女の子をコレと言った。

 え?娘じゃないの?

 

 「欲しかったらあげるわよ」


 「なんだと…」


 「その代わりに、何かと引き換えよ」


 「クズが…」


 はぁ?女の子と交換とか何言ってるのかしら。

 

 「なくなったら、またどこかから補充すればいいのよ」


 「アンタの子供じゃないの?」


 「なんでアタイがガキなんて作らなきゃいけないのさ」


 「呆れるほどのクズね。同じ女として軽蔑するわ」


 補充する?

 この女は何を言ってるの?

 女の子も盗んだわけ?

 こんな幼い子を!!?

 許せないわ…。


 「さぁ、早く交換しま――「黙れ」」


 「将星?」


 「幼気な幼女を誘拐だと…?貴様!生かしてはおかんぞっ!!!」


 「あら、交渉決裂―――」


 「成敗!」


 ええー…。

 将星がワンパンで女の倒しちゃったわ…。

 一緒に訓練した仲だけど、将星が殴るなんて久しぶりにみたわね…。

 

 「ふっ、悪は消え去った」


 「えぇ…」

 

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