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大富豪と泥棒たちの大戦争  作者: はから
第一章 大富豪と泥棒たち
3/29

街で有名な泥棒


 俺はとある街で名が売れている泥棒だ。


 街でチマチマ盗みを働いていたが、少し前にあの財前財閥が建てた美術館に狙いを絞った。

 そうとなれば下調べだ。

 

 下調べをしないで盗みを働くのは素人のすることだ。

 何事も下調べだ。

 入念な準備を俺は信条としている。

 

 今夜だ。

 今夜俺は盗みに入る。

 

 狙うは1階宝石フロア。

 展示されているどこぞの皇帝が身に着けていたとされるダイヤの指輪だ。

 デカいものは狙わない。

 デカい物は邪魔になるだけだ。

 だから持ち運びの楽な指輪だ。


 ガラスケースの中に展示されていたが、あれは警報付きだな。

 警報を切らずに開ければ、警報音が鳴り響くタイプだな。

 対策は万全だ。














 「坊ちゃん」


 「うむ」


 寝ていたところを宮前に起こされる。

 どうやら久しぶりの侵入者のようだ。

 

 「どれ」


 いつもの監視画面を起動させる。

 画面に映るのは、すでにロビーを越え、もうすぐ1階の鉱石エリアに入ろうとする鼠の姿だった。


 「ほう…。今夜の鼠は順調のようだな」


 「各フロアまでセキュリティを解除しておりますので」


 「おい!?」


 宮前がしれっとセキュリティを解除していると伝えてきた。

 聞いてないぞ!?

 どういうことだ!!?



 「…説明しろ」


 「坊ちゃんが面白くないということでしたので。執事権限にて警備部に通達しております」


 「そうか…」


 たしかにつまらんと言った記憶はある。

 館内にさえ入れぬ鼠。

 入ってもすぐにやらかす鼠。

 業を煮やして言った記憶があるな…。


 「ならばお楽しみといくか。聞こえるか警備室」


 『はっ』


 俺はマイクのスイッチを入れ、警備室に連絡をする。

 警備室からは今夜の警備主任が返答する。

 今夜こそ俺が勝つ!


 「俺は鼠が成功するに1本賭けよう」


 『我々は失敗するに裸踊りでどうでしょう』


 「裸踊りだと…いいだろう。賭けの成立だ」


 くっくっく!

 裸踊りだと!

 いいだろう!

 今日こそは俺が勝つ!お前らは裸踊りをすることになるだろうな!!!


 「坊ちゃん」


 「言うな。今日こそは俺の勝利だ」


 警備室と俺の賭け事は俺の全敗だ。

 0勝23敗。

 ありえぬ!

 この俺が敗けるなどあり得ぬのだ!

 例え賭け事であったとしてもだ!


 「ですが…」


 「くどい!お前は俺のやり方に黙っていればいいのだ」


 今夜こそ俺の勝ちだ。

 見せてもらおうか。

 お前たちの裸踊りというやつをな!



 「もう失敗しておりますが…」


 「ほあっ!!?」


 『ゴチになりやーす』


 どういうことだ!

 画面を見ると、地面に蹲る鼠。

 この俺が見逃すなどありえん!

 第一セキュリティは切ってあるはずだろうが!


 「セキュリティは各フロアまで切ってあります」


 「…くっ!どうしてそれを早く言わぬのだ!」


 「理解しておられるかと」


 フロアまでだと!?

 展示品までは切ってないのか!

 くっ…騙された。



 「警備室!」


 『はい』


 「映像を送れ!」


 『了解でさ』


 警備室から送られてきた映像に俺は愕然とした。


 映像では、鼠が鞄から何かしらの工具を取り出していた。

 その後、工具を使用し、ケースに穴を開けようとしている場面だった。

 しかし…。


 室内でバーナーを使うアホウがいるかっ!!

 そんなもの使用したらすぐさま警備くんの餌食になるわ!!!

 アホなのか?アホなのだろう。アホだな!


 「坊ちゃん」


 「くそっ!持ってけ!」


 俺はデスクの引き出しから1万円札の一束を宮前に渡す。

 今宵も俺の敗けだというのか…。

 いいだろうか。

 次こそは俺が勝たせてもらう!


 

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