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大富豪と泥棒たちの大戦争  作者: はから
終章 大富豪と世界一の泥棒集団
29/29

財前家当主 財前将星とは俺のことだ!

最終話です。


これがやりたいがために、将星にしました。


 「やはり首謀者は貴方でしたか」


 将星が待つ当主室にやってきたのは見慣れた顔の人物だった。

 いや、見慣れていたというのが正しかった。


 「やはり貴方でしたか…兄上!」

 

 「やぁ、将星。久しぶりだね」


 首謀者の名前は小早川北斗(こばやかわ ほくと)

 将星の異母兄だ。

 そして…絵瑠の前の四天王だった人物だ。


 「兄上。退くならまだ間に合います」


 「退く?勝利を目前に退くことはないよ」


 「なぜこのようなことを」


 「財前家に力が集まり過ぎている。歪な世界なんだよ、将星」


 「私が当主でいる財前家が世界の歪みだと?」


 「そこまでは言ってない。だが、財前家を傾かせることで世界を正常にするよ」


 「兄上…いや、北斗!貴方は私が知っている心優しき兄上ではない!」


 「偽りの私だったのだよ」


 「…言葉はここまででいいでしょう」


 「そうだね。拳で語ろうとしよう」


 












 北斗は財前家の第一子にして、小早川家の当主だった男だ。

 年の離れた俺を可愛がってくれた…。

 勉学にしても兄上に勝つことはできなかった。

 兄上の記録を抜くことができない。

 

 北斗様をご当主に向かえた方がよいのでは?

 そのような言葉が聞こえることもあった。

 しかし、兄上は俺の理解者だった。

 

 黙らせておけばいい。

 結果で黙らせないいんだよ、将星と。

 

 兄上が消えてから3年だ。

 俺の四天王の一角だった兄上が突然辞意を伝え…失踪した。

 自分がいることで財前家のバランスが歪んでいることを気にしての出奔だったのか?

 

 なぜだ…。

 なぜなのだ…兄上!



 「ぐ…っ!」


 「もう終わりかい?」


 見下ろすは北斗。

 見上げるは将星。

 

 北斗は軽やかな笑顔で汗一つかいていない。

 一方将星は肩で息をし、片膝をついている。

 

 「降参するんだ将星。何も財前家を潰すわけではないのだよ」


 「財前家当主が…敗けを認めるものか!」


 「頑固だ。ああ、父上に似ている」


 「クソ親父と似ているだと…。吐き気がする」


 北斗には敵わない。

 拳を合わせて理解した。

 今までの誰よりも強いと。


 「財前家の財宝を奪ったところで…」


 「そうだね。あまり意味はない。財宝など、財前家の一部分にも満たない」


 「なら…」


 「将星。君が以前言っていたじゃないか。欲しければ奪ってみろと」


 以前大々的に宣言した財前美術館。

 しかし、今まで一度たりとも財前美術館が落ちたことはなかった。


 「あの財前家が盗人に敗けた。財前家は世間が思っている程、完璧な存在ではないのでは、と」


 「世論の意識を変えることが目的だというのですか…」


 「そうだね」


 「そんなことのために…」


 「そんなこと?そんなこととは悲しいな」


 北斗と自分の意見が交わることはないだろう。

 ずっと平行線のままだ。

 将星は覚悟を決めた。



 「兄上…いや、北斗!財前家当主である我に従え!!!」


 「私を従わせる?将星、君には無理だ」


 「そうですか。では体に教えて差し上げます!」


 













 「くっ…。カハッ…!」


 「これ以上は取り返しがつかなくなる。ここまでだ」


 床に蹲り、血を吐く将星。

 心が折れそうだ。

 もう諦めたい。

 降参の二文字が頭を支配する。

 だが、将星は止まらない。


 「お、俺は…、財前将星…っ!」


 「まだ動けるのか」


 「財前家の当主将星っ!!!」


 「くっ…!」


 「俺は当主として…!退かぬっ!媚びぬっ!!省みぬっ!!!」


 「ぐうっ!!?」


 「当主に逃走はないのだっ!!!」


 「…っ!?」


 「はぁはぁはぁ…」


 「くっ…」


 「兄上…私の…勝ちだ…!」


 「…そうだね」


 「…俺の…軍門に下って…もらいましょう」


 最後の力を振り絞った天帝ラッシュにて北斗を下した将星。

 互いの全てを出し切った。


 財前家当主としての覚悟を示した将星。

 当主として退くことのできない信念を拳に乗せて振り抜いた。


  














 「はぁ?もう一度言え」


 「ですから。今回の件は、北斗様による暇潰しだということです」


 北斗との戦いから数日。

 財前家は平穏を取り戻していた。

 将星は当主室にて、悠然から報告を受けていた。。


 「暇潰しに付き合わされたのか…」


 「その通りです」


 頭を抱える将星。

 暇潰しであんな行動に出られては困る。


 「報告書は読んだが、他のメンバーも相当だったと聞くが」


 「北斗様が「どうせなら恨みを持った人間のが面白い」だそうです」


 「はぁ…」


 思い浮かべるのは共通の父親である公人。

 将星の美術館もそうだが、どうやら自分たちの父親の血のせいのようだ。

 

 「まあいい。だが…これはなんだ!」


 将星が机を叩く。

 机の上には、山のようになった釣書が置いてあった。

 公人と北斗が放蕩生活の途中で見つけてきた女性たちだ。


 「何を言われましても…。将星様の正妻または側室候補の女性たちですが?」


 「何を当たり前のように言っているのだ!!!」


 「二人側室を入れた人間が何を言っているのですか」


 「くっ…」


 先日の褐色二人娘であるララとルル。

 二人を見た瞬間に将星は「嫁にこないか?」と求婚した。

 どうやらこの当主、褐色娘が好きなようだ。

 おかげで六華も日焼けする!と日焼けサロンに行くと言っているほどだ。


 「当主としての覚悟有り、ということで公人様も北斗様もお認めになっておられるのです」


 「そうだとしてもな…」


 「どこかに将星様の心を盗んでくれる泥棒はいないものですかね」


 「貴様…っ!」


 二度の激闘を経て、将星は財前家の新当主として認められていく。

 財前大閥の総帥にして、世界一の当主として。

 













 将星(バカ)が公の場で、「嫁求む」と発言したことで、狙われるものが財宝から将星に変わり。

 日夜、世界の美女から狙われるようになるのは少し未来の話。


 

これにて完結となります。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


お風呂で浮かんできたものです。

本当は恋愛物を書いているんですよ…。

12日から恋愛物スタートです!

(予約投稿日時間違えてました。変更するととんでもない量の変更になるので…スミマセン)


猫も富豪も息抜きで掻いた作品です。

拙い作品でしたが、ありがとうございました。


またどこかでお会いしましょう!


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