心優しき悪鬼
「がんばるよー!」
『ボッコボコにしてやるわよ!』
「……頑張る」
ここには絵瑠、ヨミ、太郎の3人と…。
「絵瑠ちゃんふぁいとー!」
「バカ!絵瑠ちゃんは戦っちゃダメだろ!」
「天使に仇なすものに鉄槌を!」
「やっちまえ!太郎!」
「ヨミの姐さん!頼んます!」
いつもの親衛隊が配置されていた。
幼女、幽霊、悪鬼の3人。
色物パーティーもいいところだ。
「おやおやおや。私の相手は貴方たちですか」
「「………」」
神父のような服をきた男と、無言の褐色の女性が二人。
3人が絵瑠たちの前に現れる。
「幼子に幽霊。それに悪鬼ときましたか」
「ヨミちゃんみえてるって!」
『え?私見えちゃってるの?照れるわ』
「………」
「騒がしいことこの上ない。財前家の秘宝を頂いて神の下へ捧げるとしましょう」
「ヨミちゃん!どろぼーさんだよ!」
『そうよ!私たちの敵なのよ!』
「……敵は倒す」
「さぁ、その身に悪魔を宿しなさい」
「「ウウウウウウ…」」
神父が褐色の女性に何かを唱える。
二人の女性は呻き声をあげ、何かに苦しんでいる。
「ヨミちゃん!おんなのこたちくるんでる!」
『女の使い方がなってないわね!』
「……俺に任せろ」
「「ウウウウウッ!!!」」
二人の女性からどす黒い何かが溢れえている。
目は虚ろにないr、今にも飛び掛かってくる態勢となる。
『私は左。太郎は右ね』
「……承知した」
「ふたりともがんばれー!」
ヨミと太郎が女性と対峙する。
絵瑠はちゃっかり親衛隊に回収されている。
「グルァ!」
『幽霊の私に物理攻撃なん―――えっ!?』
「……くっ!?」
「グルウウウウ!!!」
幽霊のヨミに物理攻撃は一切効かない。
しかし、女性の攻撃はヨミの体を捉えた。
太郎にも、もう一人の女性がと飛び掛かる。
腕を噛まれ、尋常ではない力に顔が歪む。
「人間が悪魔に勝てるわけがないのです。幽霊にしても格が違うのですよ」
『うーん…。厳しいわね』
「ヨミちゃんがんばってー!」
『太郎!なんで守ってばかりなのよ!』
一進一退の攻防が繰り広げられている。
ヨミは太郎を心配している。
心優しき太郎のことだ。
きっと女性に暴力を振るうことはできないだろうと。
その予想は現実のものとなった。
太郎は防戦一方であり、太郎の体には傷が増えている。
『太郎!アンタが敗けたら絵瑠ちゃんも傷つくのよ!甘い考えしてないでシャキっとしなさい!』
「………」
「おやおや、仲間割れですか。幽霊に悪鬼では手を取りあえるわけがないのですよ」
『後ろから見ているだけの男に言われたくないわ』
神父は見ているだけ。
何もすることなく、悪魔降しされた女性を見ているだけだった。
「二人とも、時間をかけすぎです。後ろの幼子たちから処理してしまいなさい」
神父の言葉に二人の女性が動く。
一人はヨミを止め、一人は太郎の横をすり抜け、絵瑠に接近する。
「えっ」
「絵瑠ちゃんを守れ!」
「天使のために体を張れ!」
「肉壁になれ!」
「ここは通さん!」
「かかってこいや!」
「グルァ!!!」
5人の親衛隊は吹き飛ばされ、女性の前には絵瑠だけとなった。
「み、みんな…!」
「グル――っ!!?」
女性が手を振り上げた。
しかしその手が振り下ろされることはなかった。
「………」
「グッ…!」
「たろーちゃん!」
女性の腕を太郎が間一髪で掴む。
太郎の目には闘志が灯っていた。
「…この田中太郎。…友のために再び悪となろう…!」
「グラアアアアアッ!!?」
「…頼んだ」
太郎の睨みで女性からどす黒い何かが消えた。
悪鬼として立ち上がった太郎の前に、悪魔は浄化された。
「なんだとっ!!?」
「…そちらは任せた」
『まっかせなさーい!』
「あ、悪鬼が!近寄るな!!!」
神父に近づいていく太郎。
太郎の闘気に恐怖し、後退するも、すぐに逃げ場がなくなる。
「わ、私を殺してもあいつらの悪魔は憑いたままだぞっ!」
「………」
「私に指一本でも触れてみろ!あいつらを自害させるぞ!」
「…クズが」
神父は女性たちを自害させると喚く。
「『太郎ちゃん!』」
「なんだそれはっ!!?」
「『こっちは大丈夫だから!』」
絵瑠とヨミの声が重なって聞こえる。
どうやらアレがヨミの言っていた奥の手のようだ。
憑依。
ヨミが憑依することで、絵瑠の力を増幅させる。
少し大人びた絵瑠には後光が差している。
「…どうやら・…問題はないようだな」
「ヒッ!?やめっ!?」
「フンッ!!!」
全身の骨を太郎によって折られる神父の断末魔は悪魔のようだった。




