表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大富豪と泥棒たちの大戦争  作者: はから
終章 大富豪と世界一の泥棒集団
27/29

矛刀一閃


 「暇じゃの~」

 「ホントにくるのかの~?」


 万裁と貫瞬の達人二人。

 二人は屋敷に配備されておらず、美術館を守っている。

 9割が顔彩の美術館だが、残り1割は本物だ。


 賊が狙わないと限らないということで、達人の二人を配置していた。

 余りにも暇なため、スマホは充電器に接続し、周囲には空き缶や空き袋などのゴミが散乱していた。

 それにしても暇な老人たちであった…。











 「私は戻ってきたぞ!財前美術館…って酒臭っ!」


 「なんじゃ?」

 「ようやくきおったか」


 良い感じに酔いが回ってきた二人の前に一人の巨漢の男が現れる。

 賊は以前東方一と呼ばれており、ヨミによって捕縛された盗人だ。

 もっとも、色々と重装備になっているようだが。


 「誰じゃ?」

 「知らん」

 「なんで知らんのじゃ」

 「知らんもんは知らんのじゃ」

 「使えん爺じゃの」

 「爺に爺と言われたくないわい」


 「私を無視するとは…。この東方一!マスターアジアと言われた私をっ!!!」


 「あー、あやつか」

 「なんじゃ、知っておるではないか

 「ヨミに捕縛されたやつじゃの」

 「ほほー要するに雑魚じゃな」

 「そういうことじゃて」


 「私を愚弄するとは許さん!このアームウェポンで殺す!」


 東方一の右腕には巨大な大砲のようなものが装着されていた。

 体には何かから守るであろう分厚い胸当て。

 

 「死ねええええええええ!!!」


 「日本で銃なんぞ使うとは…。どういう神経しとるんじゃ」

 「ここが入口でよかったのー。奥の展示フロアだったら悲惨じゃったって」

 

 「なぜ当たらない!!!」


 「見え見えの軌道に当たるわけなかろう」

 「これじゃ酒も抜けんわい」


 東方一の銃撃をなんなく避ける二人。

 ご丁寧に銃口を向けてくれていることから、武術の達人である二人にとっては至極簡単なことであった。

 酔ってはいるが、この程度で腕が鈍る軟弱者ではない。



 「当たれ!当たれぇ!!!」


 「これ以上穴だらけになるのも主に怒られそうじゃて」

 「そうじゃなー。そろそろ喉が渇いてきたんじゃ」

 「ワシは左からいくぞ」

 「ならワシは右からいくとするかの」


 二人の達人が回避から攻撃に転じる。

 万裁は腕に取り付けられた武器に。

 貫瞬は胴に。

 その速度、神速の如し。


 「なぜ!?なぜ私のアームウェポンが!!!


 「斬鉄なんぞ朝飯前じゃわい」

 「胴は堅いの~」

 「ワシが斬っちゃろうか?」

 「いや、ワシがやる」


 一度の攻撃で万裁は東方一の右手に装着されていた巨大なアームウェポンを斬り落とした。

 万物を断ち斬るとされている万裁にとっては簡単な仕事だ。


 貫瞬は胴を狙うが、丸みを帯びているため、槍が弾かれた。

 しかし、貫瞬も武の達人。

 弾かれたことなど、些細なことでしかなかった。



 「私のアームウェポンがなくなろうと…!私にはこの肉体があるっ!!!」


 「それはどうじゃろうな~」


 「なっ!!?」


 「終わりじゃて」

 「やるの~」


 「くっ!?」


 槍の石突で胴を叩いた貫瞬。

 

 「…?ふふふ!私の肉体にそのような突きが聞くわけ―――」


 東方一が音を立てて崩れる。

 指一本さえ、動かすことができない。


 「浸透衝じゃて。脂肪が厚くても浸透衝で内部を破壊させてもらったんじゃ」

 「えげつないのー」

 「お主もその気になればあの腕くらいぶった切れたじゃろうに」

 「わしゃ疲れることは好かんのじゃ」

 「よういうわい」

 「さて、飲み直しじゃ」



 二人の達人の前には東方一でさえ、大した相手にはならない。

 アイドルとシャンソンするだけではないのだ。 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ