壮大な親子喧嘩 ~父と子~
「邪魔をする」
「ようこそ父上。我が当主の部屋に」
椅子に座る将星。
当主室の扉が開けられ、公人が姿を現す。
「そこを退け、将星」
「それは聞けぬ願いですな、父上」
現当主と次期当主。
当主の座を手に入れる将星と当主の座を取り戻そうとする公人。
父と子の争いは避けられそうにない。
「見ない間に随分と思い上がったようだ」
「父上こそ。見ない間に耄碌されたようで」
「遅い反抗期だな。父自ら正してくれる」
「貴方は俺に屈服するのだよ!」
「な…なぜだ…」
床に膝をついている将星。
将星のシミュレーションは完璧だった。
父の行動を事前に読み、先手を取る。
いくら父が強かろうが、ダメージを入れれば年の差で勝てると踏んでいた。
しかし、将星の公人の像は昔で止まっていた。
公人も数年の間にさらに強みへと到っているのだ。
「覚悟もできぬ息子に当主の座は渡せんな」
「覚悟…だと…」
「そうだ。財前家を背負うという覚悟だ」
「覚悟など…!当の昔にできているっ!父上!貴方が消えてからな!」
「ほう」
「父上こそ、覚悟してきているのでしょう。俺に当主を奪われるという覚悟を!」
「それは覚悟とは言わぬ。妄想だ…っ!?」
初めて将星の拳が公人にクリーンヒットした。
思わず公人も後退する。
「裏切るつもりか…暦!」
『裏切る~?出て行ったのは公人ちゃんでしょ。私は将星ちゃんの味方よ』
将星の背後に立つは、財前家の守護霊。
長きに渡り、財前家を見守ってきた財前暦。
「暦がいようと…!」
『悪いけど、当主は将星ちゃんがいただくわよー』
「ご退場願おうか…父上!!!」
ヨミの金縛りによるサポートで公人を追い詰める将星。
将星と公人。
戦いは五分五分まで戻っていた。
「父上、ヨミの金縛りを前にここまで動けるとはさすがです」
「ふっ、当主たるワシにそのようなものは効かん」
『強がっちゃってー』
「これを使う時がきたか」
公人は懐から一枚の札を出す。
「暦…。長い付き合いだったな」
『へ?』
「消えるがいい」
『え、え、え?きゃっ!?』
「ヨミっ!!?」
公人の投げた札が、ヨミに張り付く。
徐々に薄くなったヨミが…消えた。
「貴様!そこまでして当主の座を守ろうとするか!」
「綺麗事だけでは生きてはいけぬ」
「父上、いやクソ親父!ヨミを殺すとは許さん!」
「食うか食われるの問題なのだ」
「それが貴様の覚悟か…!俺はそんな貴様を否定する!」
シリアスって堅苦しくて嫌いなんですよね…。
ネタが欲しい…。




