壮大なる親子喧嘩の始まり
「宮前!準備はどうなっている!!?」
「問題ございません」
父上が消えてから半日。
父上が俺の全てを奪うと公言した日だ。
俺は警備部など、全部署に通達し、親父を迎え撃つ準備をしていた。
あのクソ親父のことだ。
言葉で終わらせるわけがない。
父上とともに消えた前四天王。
必ず父上は武力に物を言わせてやってくるはずだ!
覚悟だと?
いいだろう。
俺はできている。
財前家と俺の絵瑠を両方守らねばならんのが次期当主のツラいところだ。
だが父上!
やるからにはこちらも手加減はせんぞっ!!!
這い蹲って床の味でも味わっていただこう。
くっくっく…ふははは…あーはっはっはっはっは!
「ご当主様お帰りです」
「そうか…。モニターをエントランスに繋げ!」
案の定父上を含めた6人でやってきたか。
くっくっく…。
戦いは数だよ、父上っ!
『ようこそ父上。我が城へ』
「ふむ…。我が城か」
『そうです。ここはもう父上の城ではないのです。ここは我が城となったのですよ』
エントランスに配置した警備部総勢100名。
父上たち前四天王の力を持ってしても厳しかろう。
父上、貴方も老いましたな。
『父上。これが我が覚悟です。貴方は財前家を捨てられた。私に任せて逃げていった。父上がいない間に財前家を纏め上げたのは私です。よって、本日を以って私が財前家当主となる!そう、父上。貴方を倒してね』
「ふむ…」
『警備部父上を縛り上げて俺の前に連れてこい!』
これでチェックメイトだ。
いくら腕を鳴らした前四天王であってもこの人数には―――。
「頭が高いぞ。下郎めが」
『っ!!?』
父上を取り押さえようと動いた警備部だったが、父上の一喝にて足が止まってしまった。
なんだこれは…。
画面越しにも分かる、父上の闘気。
これが当主の覚悟だというのかっ!!?
『警備部!何をしている!はやく―――』
「黙れと言っておる」
『…っ!!?』
これが父上の王者の風格…っ!?
「これが覚悟だと、笑わせる。お前は隠れているだけではないか。このような者が次期当主とは片腹痛いわ。覚悟を見れれば当主の座は譲っていいと思って居ったが…ワシの勘違いだったようだ。先日伝えたように、お前の全てを奪う。次期当主には別の者を充てるとしよう」
『父上っ!』
「何、そこで待っておるがいい。この公人自ら引導を渡してくれよう」
『いいでしょう父上。無事に当主室までこれたらですがね』
「首を洗ってまっておれ」
こうして、財前家の壮大なる親子喧嘩が幕を開けたのだった。




