欧州で有名な泥棒 ~騎士王~
私は騎士王と呼ばれている。
この聖剣アスカロンと私に勝てる者はいない。
もっとも、このアスカロンも研いでないので鉄の塊だが…。
このアスカロンに斬られれば骨の一本はいただくだろうがな。
今宵の依頼は財前美術館か。
イギリス王室の宝があるという。
それを回収させるとは…。
財前美術館か。
この騎士王の相手に不足なし。
「パパ~。みやまえは~?」
「宮前はね~。今日はお仕事だから美術館なんだよ絵瑠」
「そうなの~?」
可愛い。
俺の天使最高。
YESロリータ!NOタッチ!
ごほん。
たまには宮前も動かさねば体が鈍ってしまうだろうと、天才の俺は宮前を警備に就かせた。
最近は日本だけでなく、世界各国から我が財前美術館に挑んでくる。
まぁ、結果は俺の全勝だがな!
「パパ、みやまえはつよいの?」
「宮前は強いぞ~。仮にも四天王の上司だからな」
「絵瑠のじょうしなの?」
「そうだよ~。絵瑠は宮前の言うことなんて聞かなくていいからね」
宮前はこの俺の執事にして、財前家の家令だ。
四天王を束ねるのも宮前だ。
その宮前が弱いはずなかろう。
俺の選んだ宮前だ。
敗けるはずがなかろうが!
くっくっく…ふははは…あーはっはっはっはっは!
私は坊ちゃんの命令で美術館の警備に就いております。
やれやれ…。私も暇ではないのですが…。
坊ちゃんにも困ったものです。
最近は絵瑠にかまけて業務を疎かにし過ぎです。
戻りましたら今一度進言させていただきましょうか。
「失礼」
「いらっしゃいませ」
美術館正面入口からは大柄な偉丈夫が現れました。
背中には巨大な大剣ですかね?
よく日本に持ち込めましたね…。
「夜分遅くに失礼する。私は―――」
「騎士王殿とお見受けします」
「然り」
盗人にしては礼儀正しいですね。
さすが騎士王と言われるお方でしょうか。
もっとも、盗人で騎士王とは…。
「ここにイギリス王室縁の品があると聞いている。渡してくれぬか」
「お聞きすることはできませんね」
「そうか」
今までの盗人とは違いますね。
まさか正面から懇願されるとは思いませんでした。
盗人にも盗人の矜持があるということでしょうか。
「交渉決裂といったところだな」
「ええ」
「では…」
騎士王が背中の大剣に手を掛けます。
まぁ、武器ですよね。
脅しの武器だと楽だったのですが…。
「ここからは剣にて語ろうぞ」
「やれやれ…」
「欧州が騎士王!聖剣アスカロンにて道を開く者なり!」
「財前家の家令で執事である宮前です」
「中々やるではないか」
「お褒めに預かり光栄です」
騎士王とどれくらい斬りあったでしょうか。
あの大剣を手足の様に扱うのは流石というところでしょう。
さすがに疲れてきましたね。
そろそろ終わりにしますか。
「くっ!」
「これで終わりです」
「ぐあっ!!?」
私の特殊警棒から電流を流し込みます。
鉄製と思わしき大剣を持っている騎士王も無傷ではいられないでしょう。
「電気か…」
「左様です」
「ふっ…。この騎士王、これくらいでは膝はつかぬ」
「やれやれ…」
さすが2m近くもある巨体ですね。
これ以上の残業は遠慮しますよ。
「これで終わりだ!宮前殿!」
「顎ががら空きだぞ、と」
「くっ!!?」
騎士王の顎にアッパーカットを入れる。
巨体の騎士王でも脳が揺さぶられればどうしようもないでしょう。
「さすがは財前家が誇る四天王の頂点だ」
「知っていましたか」
「知っている。財前家の歴代当主には、四天王と呼ばれる化け物がいると」
「………」
「その四天王を纏めるのが魔王と呼ばれる者だということもな」
「私は前座にすぎませんがね」
「ふっ。貴殿で前座ならば、私は何だというのだ」
「お喋りはここまでとしましょう。次は正規のご来場お待ちしております」
「くっ…」
出力を上げた特殊警棒で気を失う騎士王。
像でも倒れるこれで倒れなかったら危なかったですが…。
あとは警備部に任せて戻るとしましょう。
これにて第一章終了になります。
一章にて魔王+四天王登場です。
まだ出てきてない人物もいますが…。




