北米で有名な泥棒 ~トリック・へネット~
後悔はしてない。
「正面から侵入されました!」
「至急部隊を向かわせろ!」
「どうなっていやがる!?正面から強硬突破なんて聞いたことないぞ!」
「手の空いている者は向かわせろ!」
深夜の財前美術館。
慌ただしく動くは財前美術館が誇る警備部。
しかし、前代未聞の方法によって、賊を館内に侵入させてしまった。
警備部も青天の霹靂だった。
美術館正面入口より、強硬で侵入されると思っていなかった。
「へっへっへ。財前財閥もたいしたことねぇな」
俺はトリック・へネットだ。
北米じゃ俺の名前を知らねえ奴はいねぇ。
クライアントがポンっと100万ドルくれたからな。
要望の品を奪ってとんずらとさせてもらうぜ。
そのために集めた精鋭50人だ。
数の暴力には世界最高峰のセキュリティも大して役に立たなかったようだぜ。
へっへっへ。
「待て」
「あん?」
「誰だテメー!」
「見ろよ!筋肉ムキムキのマッチョマンだぜ!」
「あいつは…!」
俺たちの前に現れたのは黒で統一されたジャケットとズボンをきた男だ。
俺はアイツを知っている。
マトリックスうううううう!!!
俺は忘れねえぞ!
コマンドー部隊を除隊しやがって!
お前のせいで俺は殺しができなくなったんだからな!
「へっへっへ。久しぶりだな」
「お前は!?へネット!」
「久しいな」
「生きていたのか」
「トリックだよ」
「なん…だと…」
俺はマトリックスの腹にナイフを突き立てた。
屈強な肉体をしていても中身まではそうはいかねぇ。
へっへっへ。
「10人残ってコイツを袋にしておけ。止めは俺がやる。残りは俺に続け」
マトリックスは俺が殺す。
その前にクライアントの依頼品だがな。
マトリックスぅ!今日がお前の命日だ。
「コイツどうする?」
「縛って放置しとこうぜ」
「俺らは見張りだな」
「終わったらパーティーだぜ」
うるさい。
なんだコイツらは。
へネット生きていたか。
元部下にして、快楽殺人者。
軍属ということで殺人を合法化していたキチガイだ。
「………」
「コイツ!?動くぞ!?」
「取り押さえろ!」
「へネットさんに刺されてるんだ!虫の息だ!やっちまえ!」
いかん。
俺の血で床を汚してしまった。
ボスに申し訳ない。
まずは目の前のゴミを処分だな。
「俺は元グリーンベレーだぜ!」
「そうか。俺だって元コマンドーだ」
「なんだコイツ!?不死身か!?」
「野郎!人数で押せ!」
10人ほどいたが、全員無力化した。
腹を刺されていても、どうということはない。
まさかナイフで刺されるとはな。
俺も修行が足りん。
「待ってろへネット。地獄に落としてやる」
「へっへっへ。今夜もチョロい仕事だったぜ」
「その手を放せへネット」
「マトリックスぅ!!!」
俺は通路でへネットを待ち構えていた。
案の定、依頼品と思われしき品物を回収した後だったか。
まあいい。
敵は30~40人程度か。
腕が鳴る。
「おいおい、マトリックス大佐よぉ。人数差分かってんのか?さすがのお前もこの人数を相手にできねぇ!」
「やってみなければわからん」
「やっちま――!!?」
向かってくる敵にグレネードを放つ。
敵は壁まで吹き飛んでいった。
「な、なに持ってきてんだ!ここは日本だぞ!」
「安心しろ。ゴム弾だ」
「そういう問題じゃねぇ!」
敵は人数差を活かして突撃してくるようだ。
そうなると銃も約のたたんな。
「隊長!」
「なんだお前らは!?」
「遅かったな」
これで形勢逆転だ。
俺の現在の部下たちだ。
全員タンクトップ姿だが、筋肉がいい塩梅だ。
「マトリックス!野郎!ぶっ殺してやる!」
「地獄に落ちろヘネット!」
「なにがおこっているんです?」
「…大惨事大戦だ」
俺は画面の先の惨状に頭を抱える。
なんでジャンが動くとこうも色々と破壊されるのか…。
幸いにして、展示品エリアは問題ないようだが…。
それになんでジャンの部隊はタンクトップなんだ?
暑苦しい…。
絵瑠にはこれ以上見せられないな…。
何ンドーなにか知らない。
本文に書いてあるけど知らないよ。




