亜細亜で有名な泥棒 ~東方一(マスターアジア)~
※謎の流派は使いません。
ほっほっほ。
私はアジアでNo.1と言われているマスターアジアです。
今日はわざわざ日本の財前美術館をターゲットにしました。
財前財閥が所有する逸品は素晴らしいとお聞きしています。
クライアントからも依頼がありましたからねぇ。
私にかかれば取れぬ物などないでしょう。
大陸仕込みの業をご覧あれ。
「財前美術館ともあろうのにあっけないですね」
世界一を謳う財前美術館にしてはセキュリティが脆弱ですね。
こんなものでしょうか?
ほっほっほ。
私の業が世界を凌駕しているというわけですかな。
そうと決まれば、クライアントに依頼された品物をいただいてしまいましょう。
「ほ、このネックレスですか」
ケースに収められたネックレス。
クライアントによれば、16世紀の貴人が着けたと言われる逸品。
このネックレスを求め、国同士が争うこともあったとお聞きしております。
「さっそく…」
「動くな!」
「おや?」
「警備隊だ。動けば撃つぞ!」
どうやら警備員に見つかってしまったようですね。
ふむ、日本なのに銃とは。
実弾ではないでしょう。
恐らく制圧用のゴム弾でしょう。
「おやおや。そのような物で私に逆らうというわけですかな」
「黙れ!そのまま床に伏せろ!両手は後ろだ!二度は言わん!」
ふむふむ。
警備員にしては動きが良さそうですな。
ただ…目の前にいるのは東方一だということをお忘れではないでしょうかね。
「ぐあっ!?」
「な、なんだ!?鞭!!?
「このっ!」
「ほっほっほ。ききませんねぇ」
「なん…だと…」
私の愛鞭で数人を黙らせましたが、残った者が私に発砲しました。
ふむ、やはりゴム弾ですか。
私の肉体の前にはききませんねぇ。
「私の肉体の前には銃であっても無意味」
「ぐあっ!!?」
私のこの肉体に打撃はききません。
銃であっても効果はありません。
この肉体を持ってして、私はアジア一なのです。
「さて…、おっと」
ふむ。ケースに電流の仕込み罠ですか。
私には電流もききませんがね。
それではいただいてしまうとしましょうか。
「これでクライアントの求める物は手に入れました。増援が来る前に帰るとしましょう」
財前美術館…あっけないものです。
こんなものが世界一とは、日本のレベルが低いことがわかりますね。
今回の仕事も簡単でしたね。
「…っ!!?」
なんだ?
体が動かん。
どういうことだ?
「う、動けん…っ!?馬鹿なっ!?」
『私があなたを止めたわ』
「な、なんだ!?誰だっ!?どこにいるっ!?」
指一本でさえも動かすことができない。
どういうことだっ!?
ワイヤーか!?
ワイヤーごときなら私の前には…!
それになんだこの女の声は…!?
直接脳内に響いてくるような…っ!?
『ふふふ。あなたの動きは封じさせてもらったわ』
「誰だ!出てこい!」
『くすくす。時が止まったみたいでしょ?』
「くっ!!?」
どういうことだっ!?
どこにいる!?
なんだこれは!?
こんなセキュリティを私は知らないぞ!!!
『凄い肉体ね。脂肪の塊で打撃もきかないのね』
「くっ!?」
そうだ!
動きを封じられたと言っても、我が肉体は健在!
この状態が続くわけはない!
解けた瞬間に…お前は終わりだ!
『ねぇ…?直接心臓を潰されたらどうなるのでしょうね』
「ひっ、ひぃっ!!?」
私の前に現れたのは妙に青白い女性。
いや、女性の向こう側が透けて見える!!?
どういうことだっ!!?
わ、わたしの胸の中に女の手がっ!!?
『いくら脂肪の塊を纏っていてもね』
「ななな、なにをする!?」
『このまま…心臓を握りつぶしてあげるわ』
「ひっ!!?」
「相変わらずえげつないな」
「そうね…」
「パパ―?ママー?どういうことなのー?」
俺と六華と絵瑠で画面を見ている。
まるで肉団子と表現していいような巨体の男が床に崩れ落ちている。
あの分厚い脂肪の塊にはゴム弾もきかんか。
はぁはぁはぁ…絵瑠…我が娘よ。
今日も一段と天使だな。
可愛い…可愛すぎるぞ!
『終わったよー』
「あ、おばちゃん!」
『絵瑠ちゃん。お姉ちゃんだぞー』
「お姉ちゃん!」
壁から現れたのは、財前暦。
数十代前の当主の妹だ。
なぜ数重大も前の暦が今もいるのかというと…。
「ご苦労だったなヨミ」
『将星ちゃんのためなら頑張っちゃうわよ~』
「すまないな」
暦ことヨミは幽霊だ。
それも代々財前家を守る守護霊だ。
あの肉団子がやられたのもヨミだからできたものだ。
金縛りで動けなくなるなど、時を止められたように感じただろう。
「お姉ちゃんすごいすごい!」
『ふふーん。もっと褒めてもいいのよ。なんて言ったって四天王with Yだからね』
絵瑠に変なことを教えないでくれ…。
頭が痛い…。
ヨミはス〇ンドですね。はい。
そのうち誰かに憑依…おっと失礼。




