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二十話目:俺から陽キャ美少女に話しかけるとか難易度高過ぎないか_01

 二宮さんにRINE通話を掛けた翌日――。

 今日中に自分から話しかけないと絶交と言われてしまった俺は、すっかり習慣になっていた二宮さんの裏アカを閲覧する余裕すら無くなっていた。


 登校して教室に入ると、陽キャ女子グループと雑談中の二宮さんと目が合った。


 いつかの挨拶週間も乗り越えられたのだ。

 コミュ障の俺でも挨拶くらいなら……。


「み、みんなおはよう」

「ヨッシーおはおは~♪」


 普段通りのノリで二宮さんが挨拶を返してきて、陽キャ女子グループからも挨拶週間の時と同じく「よしやんおはー」と軽い返事が戻ってきた。


 即行動派の二宮さんにしては珍しく、様子を伺うような眼差しを向けてくる。

 さすがに挨拶くらいは俺からすることもあるので、これでは自分から話しかけたとはカウントしてもらえないようだ。


 このままクラスカースト上位の女子たちに混ざって会話を始めることなど、コミュ障の俺に出来る訳もなく、歯痒い思いで自分の席に座った。


 俺と二宮さんの両方と関わり合いのある委員長には、独特の緊張感が張り詰めていたと気付いたようで、小走りで俺の席までやってきて耳打ちしてきた。


「吉屋くん、二宮さんに何か言われたのね。裏アカの呟きにも書いてあったわ」

「ごめん委員長、呟きは確認できてない。実は昨日、俺の方から話しかけてくれないなら絶交って二宮さんに言われてさ。かなり動揺してるんだ……」

「なるほどね。その二宮さんが今も貴方を見ているわ。早く行ってらっしゃいな」


 委員長は耳打ちを止めて、陽キャ女子たちに囲まれた二宮さんに目配せするが、コミュ障の俺にとっては、銃も持たず弾が飛び交う戦場に向かうことに等しい。


「二宮さんからの嫉妬めいた視線が、私に突き刺さってるの。早く行くべきだわ」


 委員長は眉間に皺を寄せながら、俺に詰め寄る。

 整った顔つきだからこそ余計に怖く見える表情だった。


「いや、一人になる時を待ちたい……。すまない、今は耐えてくれ委員長」

「……分かったわ。嫉妬めいた視線だなんて委員長の勘違いでは? と言わなかっただけマシなので許してあげましょう」


 危ない。まさしくそんなようなことを、委員長に言おうと思っていたところだ。


 こんな調子で朝の邂逅は終わってしまったので、第二ラウンドとなる休み時間に挽回の機会は持ち越しとなった。




 結論から言おう――。人気者の二宮さんが一人になる隙などなかった。


 さすがは校内一の陽キャ美少女である。今までよく俺なんかが交流できていたものだと思わざるを得ないほど、二宮さんには交流相手が大勢いた。


 一人になった隙を狙うという窃盗犯みたいな策しか思いつかなかったコミュ障の俺は、とうとう放課後を迎えてしまった。


 放課後になると友人の友木が、俯いたままの俺に声を掛けてきた。


「衛司。委員長から事情は聞いたが、話しかけるだけだろ? 気負いすぎだぜ」

「そう言われても、もう放課後になってしまったんだ。話しかけようが無い……」

「ずっと俯いてるから気付いてないんだろうが、二宮さんなら図書室の方へ向かったぞ。今日は図書当番なのかもな」


 友木に言われるまで、もう終わりだとばかりに下を向いていたのだが、感傷に浸っている場合ではなかったようだ。


 まだ間に合うなら、今からでも二宮さんに会いたい。


「……友木、情報ありがとう! 図書室に行ってくる!」

「おう、頑張れよ。俺は先に帰らせてもらうから、明日にでも朗報くれよな」


 心配してくれた友木に礼を伝えた後、放課後の廊下を走って図書室に向かう。

第二章を締めくくる二十話目、開始です。続きは明日投稿予定です。

この第二章では「友達以上恋人未満」な関係が続いてきましたが、

主人公から一歩を踏み出したことで、その関係にも変化が訪れるはずです。

※ブクマ登録やご評価・ご感想等、本当に嬉しいです。ありがとうございます!

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