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番外編:委員長も竹内さんもクラスメイトに明かしていない事がある_01

 才媛という言葉は彼女の為にあるのでは、と思いたくなる黒髪ロング美人の委員長が、リストラを言い渡された会社員のように沈んだ顔で、校舎裏のベンチに座っていた。


 いつものようにぼっち飯をしに来た俺だが、さすがに心配になり声を掛ける。


「どうしたの委員長? まさか『所持金チート』にアンチが沸いた?」

「いえ、音痴ね。どこかの恋愛音痴さんから、また恋愛相談されたの……」

「……二宮さんのことかな」


 最早俺は『ただの相談の間違いだよね?』と指摘する気すら起きず、白山ナリサ先生の頭を悩ませている陽キャ美少女の名を呟いた。


「私の『所持金チート』に感想を送ってくれるのは確かに嬉しいわ。でも私だって何度も恋愛相談に応じられるほど、経験豊富な訳でもないの……」

「そこまで思いつめなくても。いっそ、白山ナリサは私だって伝えてみたら?」


 俺がそう言うと、委員長はベンチから立ち上がって、両肩を掴んできた。

 意外と運動神経が良い委員長なので、俺はその力強さに驚かされる。


「吉屋くんには成り行きでバラしちゃったけど、作家にとって身バレは死なの!」

「わ……分かった! 俺に協力できることは何でもするから落ち着いて!」

「ご、ごめんなさい……。私としたことが取り乱してしまったわ……」


 難題を抱える彼女は、俺の両肩から手を放して、ベンチへと座り直す。


 正直俺も恋愛相談だと誤解してばかりの委員長には八方塞がり感を抱いているのだが、また火に油を注ぎかねないと思って、そこには触れないことにした。


「女子は的確に褒められると嬉しくなるものよ。だから二宮さんを褒め殺しに出来るほど、吉屋くんのコミュ力を高めれば良いんだって、私は思いついたわ」

「何その超高難易度ミッション」


 先日二宮さんの伯父の寿司屋でそれと似たようなことはしたが、褒めてほしいところを的確に褒めるなんてのは、コミュ障の俺では荷が重すぎる。


 そんな俺の心境を知ってか知らずか、委員長は凄まじい重荷を放り投げてきた。


「吉屋くん、私の友人の竹内さんで褒め殺しの練習をしましょう。話は通さず竹内さんを放課後の空き教室に呼び出しておくから、私も同伴して三人でお喋りね」

「え、その、無理ゲーすぎるんだが」


「竹内さんは名前の通り、竹を割ったようにハキハキ喋る子なのはご存知の通り。でも実はあの子、声優志望なの。だから吉屋くん的には難易度ノーマルでしょ?」

「いいや、難易度エクストリームハードモードだけども」


「それでは放課後、旧校舎の空き教室に集合しましょうか」


 委員長の誤解も解けず仕舞いのコミュ障が、この提案を断れる訳もなく、ただただ俺は首を縦に振ることしか出来なかった。




 そして放課後、旧校舎の空き教室――。


 委員長からRINEで密かに指示された俺は、既に空き教室に居る委員長と竹内さんが仲良く雑談している様子に聞き耳を立てる。


「ねえ、私の『所持金チート』のヒロイン・フーアなら、どういう風に演じる?」

「まだ中途半端な声真似くらいしか出来ない素人に、無茶振りするねえ!」

「誰も聞いてないから恥ずかしがらずに、ほら……セリフを言ってみて」


 いや、裏で指示された俺も廊下で聞いているのだが。

 委員長、末恐ろしい……。


 竹内さんは普段の快活な声質からは、想像もつかない可愛い声を披露した。


「さすが勇者さま……。フーアなんかが貴方のお供なのが、恥ずかしいですっ♪」

「いつ聞いても良い声ね。埋もれさせるには非常に惜しい才能よ、竹内さん」


「……いやあ、そう褒めるなよー! ただのド素人なんだから!」

「それは当事者ではなく、第三者が判断しないと。吉屋くん、入ってきて」


「えっ、嘘!? 吉屋くん!?」


 犯罪の片棒を担がされたような罪悪感と共に、俺が空き教室に入ると、竹内さんは顔を真っ赤にしながら慌て始めた。


「どうしたの吉屋くん!? あの、あれだ、私たちスマホでアニメ観ててね!?」

「吉屋くんこんにちは。さっきのアニメ声は竹内さんよ」

「だぁーっ!? クロポヨ言わないでーっ!?」


 二宮さんよりさらに背の低い竹内さんが照れる様子は非常に微笑ましいが、その内実、委員長が行ったことは恐ろしく残酷である。

委員長も恋人いない歴=年齢なので、恋愛方面は割とポンコツだったりします。

番外編コメディ回ですが、最後に陽キャヒロインも登場予定です。

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