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幕間小話:女の勘が囁いてる。委員長はヨッシーを気にしてるってね!_03

 姫子がヘトヘトになった頃、彼女が所属するチームの二連戦が始まった。


 現役運動部ではない普通の図書委員で、特別運動が出来る訳でもない姫子は、試合前から全身の筋力を使い果たし、へっぴり腰になりながらバレーをプレイした。


「ぷっくく……w ヒメっちがプルプル震えてるしw ヒメっちバイブ機能w」

「私は生まれながらにして死にかけの小鹿さ。憐れ過ぎて攻撃できまい~」

「笑えて攻撃できないw 誰かヒメっちにスパイク打って介錯してあげてw」

「やめて~っ! 生まれたばかりの小鹿が死んじゃう! 情けはないのか~っ!」


 結局、真正面から姫子を目視しなければいけない相手チームは、笑いをこらえながらでまともにプレイできず、姫子の所属するチームは二戦二勝を達成することが出来た。


 こうして試合は終わり、姫子は屍のように体育館の床に寝転がった。


「二宮さんお疲れ様。そこまでして私にしたかった質問って何かしら?」

「おやおや? 委員長、質問したら素直に答えてくれるんですか」


 体力が尽き果てて倒れ伏す姫子だが、委員長の問いかけに気力だけは復活し、いつものテンションを取り戻して勢いよく立ち上がる。


「吉屋くんについての質問でしょう? それならそこまで不都合じゃないから」

「よし言ったな~♪ ではズバリ! なぜ委員長はヨッシーに好きアピールしないのか! はい、回答どうぞ!」

「貴女と吉屋くんを取り合いっこするのは大変そうだから。なんてね」

「ひゅ~っ! さすが美人は冗談で話を受け流すのが上手だね~。……って冗談回答じゃ意味ないんですけども!」


 自分が聞きたいような回答が返ってこなかった姫子は、ぬか喜びだった反動か、力なくその場にへたり込んだ。


 委員長もしゃがみこんで、姫子と目線を合わせて微笑み交じりに囁く。


「じゃあ、普通に回答してあげる。他の男子みたいに私の胸元を見てこない吉屋くんは、確かに好ましいかも。でも吉屋くんが目で追ってる子は二宮さんだけだから」

「なんてね……って最後につけ忘れてますぜ~」

「事実を述べただけだから、別につけ忘れたつもりはないけれど」

「……えっ?」

「つまり私が好きアピールしても……ねえ? 以上、回答おしまい」


 姫子は呆然としていたが、体育教師がホイッスルを鳴らして集合をかけた。


 オトナっぽい微笑みはそのままに、委員長は姫子に目配せする。


「二宮さんも早く整列しないと、また先生に怒られるんじゃないかしら?」

「い、委員長……。この私を手玉に取るなんて、なんて恐ろしい才女だ~!」


 姫子も急いで整列に加わり、バレーの授業は終了した。



『教室で皆とお喋りして悪目立ちしてるから、自分は目で追われている』


 そう結論付けた姫子だが、それと同時に『彼の視線に気付けるほど委員長も彼に視線を奪われていたのでは?』という推測にも至って、少しだけ胸がざわつくのであった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・この日の裏アカ【おしゃべり好きな宮姫@76danshi_UraakaJoshi】の呟き

 美人なクラスメイトが、いつもの男子を目で追ってる疑惑!

 恋かな、恋なのかな?

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 吉屋衛司、自宅の一人部屋――。

 今日の姫子の裏アカ呟きを見た衛司の感想は、色恋成分ゼロだった。

「委員長のことか? なろうを知ってたし、俺とラノベの話でもしたいのかな」

幕間小話、終了です。次回からの第二章では、裏アカ事情が進展します。

ヒロインはさらに主人公との距離を縮めようとしますし、

委員長は引き続き、ヒロインをそれとなく応援してくれるでしょう。

主人公への包囲網が狭まっていく様子を、お楽しみ頂ければ幸いです。

※ジャンル別月間7位でした。なろう歴の浅い本作をお読み下さり感謝です!

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