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八話目:陽キャ美少女と「数字で回答バトルゲーム」で勝負をしてみた_03

 血圧計が俺の手首を締め付けて、計測完了のアラーム音が小さく鳴り響いた。

 至近距離での睨み合い(?)から解放され、二宮さんから脈拍数が告げられる。


「結果は『九十八』回! 私の協力あってこそ『五十一』は超えられたね~」

「いや? 確か安静時の心拍数って何も異常がなければ、普通に五十は超えるらしいから二宮さんの強硬策は要らなかっ痛たたたッ!」


 手首につけた血圧計を取り外していた二宮さんが、余計な口を叩いた俺の手首をあらぬ方向に曲げようとしてきた。


「もたもたしていると、お昼休みが終わっちゃうよ? さあ決着を付けよう~」


 まさかの物理的手段に訴えてきた二宮さんに、俺も対抗心が湧いてきた。


「おう、ここまで来たら二宮さんに勝っておきたい」

「その意気だ~。じゃあこのメモ用紙を広げて……と。『アナタがゲーム参加者から告白されてOKする確率は?』だって。この質問を引き当ててしまうとは、さすが私!」

「ゲーム参加者って俺と二宮さんしかいないけど」

「つまり『私がヨッシーから告白されてOKする確率は?』って意味だね~」


 この質問を引いた二宮さんが、まさしく勝利の笑みを浮かべ始めた。

 俺は『初恋は何歳?』という質問にしれっと、答えうる最大値の『十五』歳と回答した瞬間を思い出して、嫌な予感がしつつも二宮さんに確認してみる。


「じゃあその確率は? さっきの『九十八』を下回ったら負けだけど当然――」

「――OKする確率は『百%』ですね!」


 ドヤ顔ダブルピースしてきた二宮さんの手首を、加減しつつも逆方向に曲げた。


「あっああぁーっ! ダブルピースがサブミッションに敗北を喫するーっ!」

「いくら自己申告制とはいえ、勝つ為に最大値を答えるのはルール違反では?」


 先程の仕返しをやんわりと行った俺は、二宮さんの手首を解放した。

 さすがに懲りたかなと思っていたが、まだ二宮さんの闘志は健在だった。


「ほう、ルール違反と仰る? ならば実際に検証してみれば良いではないか~」

「自己申告の確率なんて、検証しようが無いのだが……」

「いやいや、今ここでヨッシーが私に告白すれば、確率チェック出来るじゃないですか? だって本当に『百%』なら告白したら絶対OKが出るはず! さあ試してみるのだ~」

「……んん? そ、それはそうだが……」


 まさかの切り返しを受けて間の抜けた声を漏らした俺は、再び二宮さんからドヤ顔ダブルピースされてしまった。


 いつもの二宮さんのノリだと思ったのか、クラスメイトたちがぞろぞろと席に座り出し、次の授業の教科書やノートを広げ始める。


「うへへ~い、悔しかったら告白してみるが良い! あれれ、出来ないか~w」

「くっ……悔しいが……あっ!」


 普段より調子に乗った様子でドヤ顔ダブルピースし続ける二宮さんだが、彼女の背後に鬼をも殺す鬼教師と恐れられている英語教師、鬼怒川先生が教科書を握り締めていた。


 クラスメイトたちが一斉に授業の準備を始めたのは、このせいだったようだ。


「あの、二宮さん……。大事な告白をするぞ……」

「おおっ? おお? しかと聞き届けようではないか~」

「三分前着席しないと烈火のごとく怒る鬼怒川先生が、二宮さんの背後に……」

「……あ、あはは、脅しが下手だなあ~。まだチャイムが鳴って……あ、授業開始前だとチャイムは鳴らないですね~……」


 引き攣った笑みで後ろを振り返った二宮さんの頭を、鬼怒川先生が教科書でポスンッと叩いてから、いざお説教タイムが始まった。


「二宮くんは前回の小テストも平均点以下でしたね。今日は予習しましたか?」

「あっ……あわわ……し、してないです~!」


 鬼怒川先生によってドヤ顔ダブルピースを粉砕された二宮さんは、恐怖で震えながら小テストを受けることとなった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・この日の裏アカ【おしゃべり好きな宮姫@76danshi_UraakaJoshi】の呟き

 キス寸前の距離で脈拍が百に近くなったから、

 色々な意味で脈あり? なんてね!

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「二宮さん、委員長みたいなオチを付けてる。まあアレは鼓動が早まるよな」

 なにせ教室のど真ん中でクラスメイトに見られながらなのだ。

 ゲームだからとはいえ、あそこまで出来る二宮さんの強心臓っぷりが、あがり症の俺には羨ましい限りだ。

八話目、終了です。九話目は明日投稿予定です。

次回は放課後の図書室で、主人公とヒロインが二人きりになります。

※ジャンル別日間1位でした。お読み頂きまして、ありがとうございます!

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