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八話目:陽キャ美少女と「数字で回答バトルゲーム」で勝負をしてみた_02

 口の端を上げて微笑む二宮さんに、俺は戸惑いながらもメモ用紙を広げた。


「どれどれ……。『キスの経験回数は?』……か。やはりこういう質問が来たね。おおよその数字でしか回答できなくても良いかな?」

「……ええっ!? 数え切れないくらい経験があるのヨッシー!?」

「どんぶり勘定だけど、たぶん『五十』回くらい」

「な、何ですとぉー!?」


 余裕満々だった二宮さんが、わなわなと身体を震わせて動揺している。


 文句なしで『十五』より大きい数字なので、再び二宮さんが質問の書かれたメモ用紙を広げる番だが、二宮さんは不服申し立てをしてきた。


「私は正直に初恋の年齢を答えたというのに、虚偽はいけないぞヨッシー!」

「二宮さんの回答は疑わしいが、俺は正直に答えたよ。幼稚園に通ってた頃に、毎週日曜遊びに来る親戚の子が一年間いたんだが、毎回俺の頬っぺたにキスしてたらしい」

「なんだ、とってもピュアですね~」


 よく分からないが一転して上機嫌になった二宮さんが、メモ用紙を選んだ。


「あああっ! 『今の体重は何キロ?』という鬼質問を引いてしまった! うぅうぅ……絶対に私は嘘をつかない! ご、『五十一』キロですが何か!」

「ギリギリ俺の回答『五十』を上回ったね。そもそも五十一キロって重いの?」

「ほら……私ってちょっと背が低いじゃないですか? だから、五十キロを下回らないと二の腕とかぷにぷにで……。触ってみてくださいよ~この駄肉……」


 肘を俺の前に出すように何気なく腕を上げた二宮さんだが、半袖のYシャツの袖口から隠れた素肌が見えそうだったので、そっと目を逸らしながら二宮さんの腕を触る。


「ど、どうです? ぷにぷにでは?」

「うーん……二宮さんは運動部じゃないし、女子だったら普通じゃないかな?」

「そう思うのなら、目を逸らさないでヨッシー! その優しさは逆に残酷だ~!」


 現役読者モデルをしているだけあって、やせ過ぎず健康的な手足なのではと思ったが、気を付けないと袖口から色々見えてしまいそうだったので、俺は沈黙を貫いた。


 再びショックを受ける二宮さんだが、次の番となった俺はメモ用紙を開く。


「『ドキドキ脈拍測定! 今の脈拍は何回?』ってのを引いたけど、測定……?」


 疑問を漏らすと、なんと二宮さんは簡易式血圧計を持参。俺の手首に装着した。


「これで脈拍を測らせて頂くぜ~。でも『五十一』回以上じゃないと、ヨッシーは負けてしまってゲーム終了。それではつまらないので、私がドキドキを増やして進ぜよう~」

「え?」


 再び疑問の声を上げる俺を無視して、二宮さんが血圧計のスイッチを入れる。

 そして、お互いの鼻がくっつきそうなくらい顔を近づけてきた。


「どやどや~。さあ、脈拍を上げまくるのだヨッシー♪」

「そこまでしてゲーム続けたいの二宮さん? 遊びへの執念がすごい……」

「まだもう少しお昼休みの時間は残ってる! 俺たちの戦いはこれからさ!」

「それ、打ち切りフラグでは?」


 ゲームの一環だとクラスメイトたちも把握しているとはいえ、さすがにチラチラと男女問わず視線を向けられ始めて、コミュ障であがり症でもある俺の心臓が強く脈打つ。

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