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99話 初中後

俺とエイミーは半ば放心状態のまま宿に帰ってきた。


エイミーは恐らく未知との遭遇だったんだろう。

俺は正直な所。そこまで甘い物が好きだという自覚は無かったが、よくよく考えてみると香川は砂糖の生産地で和菓子は口にする機会が多かったかもしれない。

まぁ、県内って言うだけで和三盆の生産地は地元から遠かったからそこまでじゃなかったとは思うけど。


因みに、ウオデスボのモンブランはそれなりのお値段だった。

モンブラン1個とクレープ8個分で一緒くらいのお値段になる。


それでも、また食べに行きたいと思えるくらいに美味しかった。


「エイミー」

「・・・・・・」

「エイミー」

「・・・・・・」


ダメだ。まだ帰って来てない。


「エイミー!」

「は、はいっ」

「大丈夫?」

「え?どうしました?」

「うん。美味しかったね」

「あ、はい。え?あれ?ここは・・・?」

「もう宿だよ・・・」

「え?あれ?いつの間に・・・」


そんなに・・・?


「また食べに行こうね」

「はいっ!」

「あ、でも、予約が埋まってて、次に予約取れるのは1週間後みたいなんだけどどうする?」

「そんなに・・・」

「ま、まぁ・・・今回みたいにキャンセルが出るかもだから。キャンセル待ちするのも良いかもね」

「は、はいっ」


その後もエイミーは不意に恍惚の表情を浮かべたり、シュンとなったり百面相をしていて見てて面白かった。



翌日、ウオデスボに1人で向かいキャンセル待ちをしたいと伝えた所・・・キャンセル自体滅多に出ないのでキャンセル待ちは受け付けていないと断られてしまった。

ならば1週間後に予約をしようと思ったら・・・昨日の昼にそこの空きも埋まり次に予約の空きがあるのは10日後。

しかも、あのモンブランは期間限定らしく。

10日後まで栗の在庫が持つかは正直怪しいと言われてしまった・・・。


それならば何故、10日後の予約を受けているのかと尋ねると。

質の悪い栗であのモンブランを提供は出来ないので栗の質が低下した時点で予約が残っていようが販売終了。

最悪、販売しない年もあるのだとか・・・。

それでも良ければ予約を受けると言われた。


「じゃあ、10日後に2人予約をお願いします」

「畏まりました」


一応、予約はしたがエイミーには言わない方が良いだろう。

ぬか喜びさせる事になった時が悲惨だし。運良く10日後も質の良い栗が確保出来て販売しているならばエイミーへのサプライズになる。



「あっ、おかえりなさいっ」

「ただいまー」

「どこに行ってたんですか?」

「あ、えっと馬の様子を見に」


嘘は言ってない。

予約した後ちょっとだけ覗きに行った。


「どうでした?」

「うん。元気そうだったよ。厩務員の人達も良く世話してくれてるみたいだし」

「そうですか」

「あっ、差し入れ持ってってないや」

「そんなしょっちゅうは良いですよ」

「あ、そうなの?」

「差し入れはたまにで。それよりも、頻繁に顔を出す方が大事ですっ」

「なるほど。2-3日に1回は行った方が良いよね?」

「あんまり多いと嫌がられると思うから難しい所ですけどね」


え?馬に?・・・じゃないか。


「厩務員さんに?」

「はい」

「まぁ、程々に顔出す様にするね」

「お願いしますっ」



翌日もウオデスボにキャンセルが出ていないか確認しに行くと・・・。


「キャンセルは滅多に出ないので・・・」

「そうですか。じゃあ、また来ます」

「はぁ~・・・特別にっ」

「ん?」

「キャンセル待ちは受けて無いのですが・・・特別に受けさせて頂きます」

「ホントですかっ?」

「はい。特例ですので、他言されない様お願い致します」

「はいっ」

「キャンセルが出なかった場合は提供出来ませんがそれでも宜しいですか?」

「それはモチロンです」

「では、キャンセルが出次第。宿の方に使い者を遣りますので」

「え?そんな、悪いですよ」

「いえ・・・ここまで熱心にお越し頂いてますので」

「それじゃあ、よろしくお願いします」


これでエイミーに食べさせてあげられる確率が上がった。

キャンセル待ちを受け付けてくれたのは・・・毎日来られて鬱陶しかったんだろう・・・。

店員さんごめんなさい。



「そろそろダンジョンに行きませんか?」

「え?もう?」

「はいっ。自分達で解体すれば何も言われないと思うんで」


冒険者ギルドで解体をしているクルムスさんにしばらくはダンジョンに行くなと言われているけど良いんだろうか・・・。


「それか、他の階層に行くか。ですね」

「あー、それなら良いかも」


うん。Gじゃなければ狩りに行くのも(やぶさ)かでは無い。


「でも、もっと深い階層に行くの?」

「7階から下は結構空いてるみたいなんで。順番待ちもしなくて良いみたいですよ」

「どこがオススメ?」

「8階層で良いと思います」

「何が出るの?」

「ハルゴールです」


ハルゴール。ハルゴール・・・うん、見当も付かない。

Gがアマメとかも意味分からんし。


「どんなヤツ?」

「バッタですね」

「へぇ。じゃあ、明日はそのハルゴールっての狩ろっか」

「はいっ」



もしかしたら、これから先はGを狩らなくて済むかもしれない。

ってか、今更だけど・・・ここのダンジョンは虫ばっかりか・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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