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97話 えび天

宿の夕食に蕎麦が出てビックリした。

でも・・・蕎麦があり、パスタがあり、ラーメンがあり・・・何故、うどんだけ無いんだっ・・・。


まぁ、それは置いといて。

エイミー曰く、この地方の特産らしく。そば粉を使ったガレットとかも人気らしい。


あー、ガレットね。知ってる、知ってる。

映えるヤツだよね。たぶん。

オシャレなカフェとかにあったり。知らんけど。

まぁ、俺の地元、香川には無いと思う。


そんなオシャレそうな響きの食べ物。



翌朝、宿で朝食を済ませた後は俺は部屋で二度寝を敢行し。

エイミーさんは情報収集をすると冒険者ギルドに向かった。


マジでエイミーさんには頭が上がらない・・・。



お昼過ぎ。

情報収集ついでにエイミーが屋台でお昼ごはんを買って来てくれたので部屋で食べる事になった。


「うどんは無かったですけど。ユウさんの好きそうなのをいくつか買って来ましたっ」

「うん、ありがと」


まぁ、無いよね。

無いからわざわざこんな旅をしてまで作ろうとしてるんだし仕方無い。


エイミーが買って来てくれたのは。天ぷら、野菜炒め、パン。

パ、パ、パ、パンてっ。

このラインナップなら理想はうどん。せめて、白ごはんが・・・。


とは言え、買って来てくれたのに文句は言えない。


「じゃあ、食べて良い?」

「はいっ」

「いただきまーす」

「いただきますっ」


まず、天ぷらを一口。

うん。ん・・・?

味はエビだけど、食感が違う。プリプリしてない。

まぁ、美味しいけど。


「この天ぷらって」

「アマメです」

「え?」

「クルムスさんに言って解体済みのやつを分けて貰いましたっ」

「え?いや・・・えっ?」

「??」


頭の中でもの凄い速さで回転している部分と完全にフリーズしている部分があるのを明確に感じる。

俺が今食べたのはアマメの天ぷら。

いやいやいや、エビの味したし。

あぁ、そうか。ヤマメの天ぷらか。なるほどなるほどなるほどねー。


「昨日、一昨日と一緒に狩ったアマメですっ」


はい。やっぱりアマメでしたー。

G食べましたよ、G。ゴキブリですよゴキブリ。

食べたんですよ。ゴキブリを。

美味しかったですよ。マジで。くそう・・・。


「私も初めて食べましたけど。意外と美味しいですねっ」

「う、うん」

「見た目はあんな気持ち悪いのに美味しいとか意外ですよねっ」

「う、うん」

「あ、でも、見た目が悪いのほど美味しいって言いますねっ」

「う、うん」


まぁ・・・それは言うね・・・。

アンコウとか見た目グロいのに美味しいし。

エビとかカニも見た目からも美味しそうに感じてしまうけど。

冷静になって考えたら虫だもんね。見た目。


まぁ、俺が今食べたのは甲殻類と言うか虫なんだけど。

しかも、G。


「ユウさん食べないんですか?」

「あ、うん、えっと、なんだろ・・・もうお腹いっぱいかもしれないかな・・・」

「え?全然、食べてないじゃないですかっ」

「あー、いや、うん、朝ごはん食べ過ぎたかも?」

「まだお腹空いてなかったんですね」

「うん。そんな感じ」


食べてしまった物は仕方無い。

ただ、これ以上は無理だ。


「冷めたら美味しくないだろうし。食べれそうならエイミー食べてくれない?」

「あ、そうですね。でも、宿の人に頼んで温め直して貰えば後でも美味しく食べられますよっ」


うん。違う。


「エイミーはもう食べられない?」

「??まだ食べられますっ」

「だったら、俺の分も食べてくれない?」

「え、でも」

「いや、たぶんだけど、夜までお腹空かなそうだし」

「そうですか・・・だったらユウさんの分も貰いますねっ」

「うん。お願い」


よし。何とか・・・。


「あの・・・」

「ん?」

「明日は朝ごはん少なめにして」

「うん」

「お昼は食べ歩きしませんかっ?」

「屋台とか?」

「はいっ」

「うん。そういうのも良いね」

「良いんですかっ?」

「うん」

「えへへへへ」


オゥンドさんの護衛をして色々な村を回ってたけど、そんな観光らしい事はして来なかったし。

遊びたい盛の年頃なんだから、もっと気を使って遊びに誘ってあげれば良かったかもしれない。


Gの買取りが済んだら服とかエイミーの欲しい物を買ってあげたりしないとだな。



その日の夕食は全く食欲が湧かなかったので何とか必死に言い訳をして床に就いた。

アレが胃の中にあると考えたり、吸収されて血肉になると考えただけで食欲は一気に吹き飛んだ・・・。

明日の朝には空腹に負けて食欲も湧くだろうと思う。


「おはようございますっ」

「おはよー」


朝の身支度をしていると、空腹からかゲップが出た。

そして、そのゲップはエビっぽい匂いがしてヤツの存在をまざまざと感じさせられてしまった・・・。


「え?食べないんですか?」

「うん。えっと・・・お昼にいっぱい食べ歩きたいから、その分のスペースを空けとこうかと思って」

「え、でも、昨日も全然食べてなかったじゃないですかっ」

「う~ん・・・じゃあ、ちょっとだけ食べようかな」

「はいっ」



宿の人に頼んでざる蕎麦を出して貰った。

これには流石にヤツも入ってないだろう。

もしスープを頼んで、そのスープの中からヤツが「こんにちは」したりしたら何も信じられなくなる。


蕎麦を食べる俺を見て安心したのかエイミーは満足そうだった。


こんな年下に心配掛けてる様じゃダメだな。

もっとしっかりしないと・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 15~17歳の主人公が50~60くらいの爺のような知識でチート無双するお話が多いので、年相応の学識しかなく日本での社会経験や知識もなく、身の回りの世話もお母さんにやってもらって、何もできな…
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