96話 みゆはん
翌朝、昨日よりも少し早めに冒険者ギルドに行き、依頼ボードを眺める。
「これってのは無いですね」
「って事は・・・」
「昨日と同じ感じで頑張りましょー」
「お、おー・・・」
昨日、同様に7階層を目指す。
その途中、2階層で見掛けたのは大きな蛾だった。
ポップアップするや否や冒険者に羽を斬り落とされ地面に落下していた。
そして、地面に落ちて藻掻いている蛾の腹を踏み付け、お尻から白い糸の様な物を出させてからトドメを刺していた。
あれはあれで結構キツいな・・・。
「あの糸が高いの?」
「はいっ。軽くて防御力も高い服が作れるみたいですっ」
「へぇ~」
「アマメの殻も軽くて防御力も高いんで人気ですっ」
「そ、そっか・・・」
アマメ・・・Gだよね。
買取価格には期待出来るけど。今日もあれを狩るって考えると気が重い・・・。
「まだ入りますよね?」
「え、うん・・・入るね・・・」
ダンジョンの中なので時間は分からないが、お腹が空いてきてるのでお昼くらいにはなってるはず。
「まだ狩るの?」
「はいっ。今日もライバルも居ませんから狩れるウチに狩りまくりましょう」
「う、うん・・・」
たぶん、ライバルは居ない・・・よ・・・?
この先もずっと・・・。
お昼休憩を挟み、その後も狩り続けた。
アイテムボックスに入っていた果物をいくつかエイミーは平らげて居たが。俺は当然食べる事が出来なかった。
お腹は空いているが食欲は一切無い。
そんな状態のまま夕方まで狩り続け。今日の戦利品を持って昨日と同じく冒険者ギルドの解体部屋にやって来た。
「ん?昨日の今日で解体は済んでねぇぞ?」
「あ、いや、今日も狩って来ました」
「はぁ?バカなのか?お前らはバカなのか?」
「えっ」
「3-4日掛かるっつったよな?そこに、また追加だと?バカなのか?」
「いや、あの・・・」
「くそっ・・・狩って来た物はしゃーねぇ・・・」
「す、すいません・・・」
「とりあえず、出せ」
「は、はいっ」
昨日よりも遥かに高い山が出来上がり、クルムスさんは大きな溜め息を吐き・・・。
スパーン───。
思いっ切り頭を叩かれた。
「痛っ・・・」
「聞いた俺がバカだったな。お前らはバカだ」
「えぇ~・・・」
「直ぐ金が要るのか?」
「え、どうだろ」
「当分は大丈夫です」
「そうか。なら10日はダンジョンに行くな」
「えっ」
「金が無くなったら、その時点で解体が済んでる分の金は支払う」
「はい」
「毎日、この量持って来られたらパンクしちまう・・・。最低でも10日は行くな。分かったな?」
「はい・・・」
「手続きはこっちでやっといてやる・・・くそっ・・・さっさと帰れっ」
「す、すいません・・・」
めちゃくちゃ怒られた。
そりゃそうか・・・3-4日掛かるって言ってたのに、その倍以上の量を次の日に持って行ったんだから。
「しばらくやる事無くなっちゃったね」
「はい・・・」
でも、護衛や旅をしたり。ダンジョンに潜って狩りをしたりと休みという休みが無かったんだから、ここらでゆっくりしても罰は当たらないと思う。
あ、俺は結構ゆっくりしてるからエイミーがね。
「でも、たまには良いんじゃない?」
「何がですか?」
「ゆっくりするの」
「え、でもっ・・・」
「ここに来てからもさ?エイミーはずっと動き回ってたでしょ?情報収集したりとか」
「はい」
俺は宿でゆっくりしてたけど。
「って事で、たまにはゆっくりしても良いと思うんだよね」
「で、でも・・・」
「でもじゃなくてー、ダンジョン行くなって言われたでしょ?」
「え、それは解体しないといけない物を持ち込むなって意味だと」
「え?そうなの?」
「はい。なんで、私達で解体してから持ち込めば何も言われないと思いますっ」
マジか・・・エイミーさんはそんなグレーゾーンを行くつもりなのか・・・。
「え、いや、でもさ?昨日今日と頑張ったんだから2-3日はゆっくりしても良いんじゃない?」
「う~ん・・・そうですね。その間に他の階層の情報収集もしておきますねっ」
うん。休む気無いよね?
俺はゆっくりするよ?磨り減った精神力を回復させないとだし。
家鳴りとかでギシって音がしても過敏に反応しちゃうし。
まぁ・・・あのカサカサって音は特殊だから違うのは分かってるんだけど・・・。
既に夕方を過ぎていた事もありエイミーさんの情報収集は明日から行うらしい。
そして、宿の夕飯には意表を突かれた。
なんと・・・蕎麦っ!
なぜだっ・・・何故、うどんじゃないんだっ・・・。
麺は完全に蕎麦で、ツユは普通のツユでは無く。クルミをペースト状にした物に着けて食べる。ざる蕎麦スタイル。
これはこれで美味しいけど・・・うどんには合わない気がするな。
胡麻ダレならうどんにも合うと思うけど。
「そう言えばさ」
「はい」
「あれの素材って全部防具に使うの?」
「アマメですか?」
「うん」
「防具に使うのは背中の殻だけですね」
「他は?」
「触覚は何だったかな・・・」
「まぁ、色んなのに用途があるんだね」
「羽は色んな物に加工されますっ」
「へぇ」
「脚は食用ですし」
「えっ?」
Gだよ?G。食べるの?Gをっ?
「独特な味がして人気らしいですっ」
「そ、そうなんだ・・・」
貴重なタンパク源だしね・・・。
食べたくないけど。
いつもお読み頂きありがとうございます。
因みにストックは104話まで完成してます(*´ェ`*)




