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91話 エトー将軍

冒険者ギルドで悪目立ちしてしまい、逃げる様に宿屋へと飛び込んだ。


そして、エイミーと2人で宿の夕食を取っていると冒険者らしき人から話しかけられた。


「お?将軍殺しもこの宿だったのか」

「え?」


将軍殺し・・・?なにそれ・・・。


「いやぁ、あの将軍に土下座させるなんて。お前、何者(なにもん)だよ」

「え?」


土下座って、エトーさん?


「ん?ここのサブマスだよ。将軍ってのはアレの現役の時の二つ名だよ」

「へぇ~・・・って、俺が土下座させたんじゃないですよ?」

「そうなのか?」

「はい。俺じゃなくて職員さんですよ?」

「へぇ。まぁ、どっちでも良いや」


どっちでもは良くない・・・。


「面白いモン見せて貰った礼に1杯奢らせてくれ」

「あ、俺、酒は・・・」

「ありがとうございますっ」


エイミーさん?


「お?そっちの嬢ちゃんはイケるクチか」

「はいっ」


謎のおじさん冒険者とエイミーの2人はエールを飲んで盛り上がっている。

そして、俺は誤解を解こうと何度も試みたが。流されたり邪魔が入ったりしている内に酔っ払い相手に言った所で意味が無いと諦めた。


このおじさん冒険者はカールさんって名前でBランクの冒険者らしい。

そんな高ランクの冒険者なら初心者用のダンジョンに用は無いはずだが・・・貴族のお坊ちゃまの護衛で来たらしい。


「ま、厳密には、護衛は騎士様達がやるから俺はただの案内係なんだけどな」

「へぇ~。でも、貴族の人がなんでまたダンジョンなんかに?」

「あー・・・流行ってるらしい」

「え?貴族の間でダンジョンがですか?」

「いや、冒険者ランクを上げるのがだ」

「あー・・・でも、それだったら貴族用のランクとか作ったら良くないですか?」

「それはもうあるな」

「あ、あるんですね」

「定期的に流行るからなぁ。それは既にあるんだが」

「はい」

「金払えばなれるって事はニセモンだろ?」

「まぁ、はい」

「今の流行りはニセモンじゃなくガチのランクを上げるのがステータスみたいだな」

「なるほど・・・」

「気ぃつけろよ?」

「え?」

「流行ってるからな。あちこちのダンジョンに貴族のお坊ちゃまお嬢ちゃまが居る」

「あー・・・揉め事が・・・」

「おう、触らぬ神に祟りなしだ」

「は、はい・・・」


これは良い情報を貰えた。


「えっと・・・貴族様の見分け方とかってありますか?」

「ん?見たら分かんだろ?」

「いや、分からない場合もあるじゃないですか」

「そうか?」


あの3姉妹・・・じゃないか。あの姉弟は見た目も普通というか、普通の冒険者にしか見えなかった。まぁ、弟は貴族だと言われればそうかもしれないけど。


「装備も明らか良いし。騎士様に囲まれてる集団だから直ぐ分かると思うが」


あ、そうか。

あの姉弟達はちょっと特殊なのか。

確か、政略結婚から逃れる為に冒険者やってたんだっけ?あ、それはオゥンドさんの予想か。


「その、貴族様と騎士様達の集団もこの宿に泊まってたりするんですか?」

「いや、村の外だな」

「え?外?」

「庶民の泊まる宿が嫌なのと、周りに素性の知れねぇ冒険者が居るのが信用ならねぇって事らしい」

「カールさんは良いんですか?」

「どっちがだ?」

「え?一応、護衛なのに離れてて」

「俺も信用はされてねぇからな」

「なるほど」

「それに、護衛じゃなく案内係だ」

「あ、そうでしたね。もう片方は?」

「俺みたいな怪しいヤツが貴族様の側に居ても良いのか?って意味かと思ってな」

「いやいや、カールさんみたいな高ランクの冒険者なら身元もはっきりしてるんじゃ?」

「まぁ、一般的にはそうでも。貴族様からしたら庶民だからな」

「Bでもそうなんですか・・・」

「A以上ならな」

「そうなんですね」

「それにしても・・・」

「はい」

「そっちの嬢ちゃん凄ぇな」

「はい?」

「何杯飲んでんだ・・・?」

「え?」


カールさんとの会話に集中し過ぎててエイミーの事を忘れていた。

エイミーの方に目をやるとエールが空になったコップが並んでおり。エールが入っていたであろうピッチャーもいくつかあった・・・。

エ、エイミーさん・・・?


「えっと・・・いっぱいです・・・」

「お、俺もこれ以上飲むと明日の仕事に差し支えるから。ここらでお開きにして良いか?」

「は、はいっ。あ、お代はこっちで持たせて下さい」

「ん?俺が奢らせてくれっつったんだから。酒は俺が持つ」

「いやいや、色々と勉強になったんで。そのお礼だと思って、こっちで持たせて下さい」

「ガキが変な気ぃ回すな。こういう時はごちそうさまでしたって言えば良いんだよ」

「いや、でも・・・」

「先輩冒険者の顔を立てろっつってんだよ」

「・・・ありがとうございます。ごちそうさまですっ」

「ごちそうさまですっ」

「おうっ」


先輩、かっこいいっす。


「嬢ちゃん」

「は、はいっ」

「程々にな?」

「は、はい・・・」


うん。何が凄いって、これだけ飲んで全く酔ってる気配すら無い。所・・・よりも、この量がこの小さい身体のどこに収まってるのか謎って所だ。


カールさんが支払いを済ませ、部屋に戻って行き。

俺達も会計をしようと思ったら、俺達が追加で頼んだ料理の分も払ってくれていた。


先輩、ごちそうさまですっ。



カールさんに感謝しつつ、俺達も部屋に戻り就寝となった。

が・・・エイミーが夜中に何度もトイレに行っていた様で。その度に薄っすらと目が覚めた。


まぁ・・・あれだけ飲んだら、そりゃ出るよね・・・。

子供とはいえ女の子だから全く触れられなくて、朝まで熟睡してたフリをするハメになった・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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