89話 要るor要らない
「んで、何で戻って来たんだ?」
「オゥンドさんの護衛ですね」
「おー、依頼書はあるか?」
「はい。こちらです」
「おーい。これの処理頼む」
「はい」
「新しい職員さんですか?」
「おう」
「前はここに寝泊まりさせて貰ってたのを考えると感慨深いですね」
「そんな事あったか?」
「宿屋が埋まってて、エトーさんの家に泊まらせて貰ったんですけど・・・エリーさんの病気が・・・」
「言うな・・・」
「それで、建設中だったここで寝泊まりさせて貰ってたんですよ」
そう。
以前は、建設中だった冒険者ギルドも完成して完全にこちらに移った様だ。
そして、職員さんも増えて中々に活気がある。
「ふ~ん。それで、これからどうすんだ?」
「オゥンドさんの護衛はここまでで。西に向かう護衛依頼があれば受けたいんですけど。ありますか?」
「無ぇな」
「ですよね・・・」
「まだ商業ギルドも出来て無ぇから、商人が来ればここに顔を出す」
「はい」
「そういう依頼を貼っときゃ、その内食い付くヤツも居るんじゃねぇか?」
「それしか無いですよね」
そう。
これはオゥンドさんからも言われていた通りで。
ダンジョンに潜りながら気長に待つしか無いと言われていた。
「それじゃあ、その依頼もお願いします」
「西ってどこまでだ?」
「何だっけか・・・カンサスかキーシュって所まで行きたいんで。なるべく、そこに近付ける様にしたいんですよね」
「結構、遠いな」
「なので、直接向かわずに中継地点となる街に向かう行商に限定した方が良いかと」
「その方が良いだろうな。その次も見つけ易くしねぇとな」
「はい」
「って感じの依頼書作ってやってくれ」
「はい」
さっきからエトーさんは受けるだけ受けて職員さんに丸投げしてる。
いや、エトーさん・・・要るっ!?
「内容を詳しく伺いたいのでこちらへお願いします」
「はい」
「こちらは私が済ませておきますので」
「はい。お願いします」
別の窓口で職員さんの質問に答えていく。
これは予めオゥンドさんに言われていた事だったので淀みなく答える事が出来た。
「それでは、この条件で掲示させて頂きます」
「はい。よろしくお願いします」
「終わったか?なら、こっちでギルドカードを出せ」
「あ、はーい」
エトーさんにギルドカードを提出すると、そのまま職員さんに渡してた。
やっぱエトーさん要らなくない?
「2人共ランクアップだな」
「おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「ランクもEになりましたし。護衛の居ない行商が居れば飛び付くはずですよ」
「だと良いですね」
その後、エトーさんお勧めの宿屋に行き。
旅の打ち上げをする事になった。
「今度こそ本当にお疲れ様でした」
「「お疲れ様でした」」
乾杯と、コップをぶつけ合うが木製なのでゴスッと比較的鈍い音がする。
因みに、オゥンドさんとエイミーはエールで俺だけ水だ。
「全部、オゥンドさんの予想通りでしたね」
「お二人の事に関しては、そうですね」
「それ以外に何が?」
「予想外に商人の動きが遅いので今からでも出店が間に合ってしまう所為でお二人を引き止めたい気持ちが強くて困ります」
「ははは・・・それは諦めて下さい」
「分かっています。分かってはいますが・・・みすみす儲けを見逃すというのが・・・」
宿屋や武器・防具屋の職人さんは冒険者ギルドが誘致したらしいが。それ以外、日用品を扱う店や冒険者を相手にするお店はまだ数える程しか入って来ていないらしい。
「商業ギルドが出来てからなんですかね?」
「かもしれませんね。予想が外れました」
「アテとかは無いんですか?」
「あればお誘いしてないと思います」
「ですよねー」
打ち上げも終わり、俺達はこのまま宿に。オゥンドさんは馬車を冒険者ギルドに預けているが、それでも荷物が心配らしく馬車の横で寝るらしい。
荷物よりもあの子達。お馬さんを心配してって気がするけど。
「明日の昼前には発とうと思います。お見送りして頂けるならそのくらいにお願いしますね」
「はい」
「では、おやすみなさい」
「「おやすみなさい」」
翌朝、朝食を済ませてから冒険者ギルドに向かうと丁度オゥンドさんと会う事が出来た。
「おや?ずいぶん早いですね」
「おはようございます」
「はいはい。おはようございます」
「昼前って言っても、やる事も無いので。それまでダラダラ過ごす必要も無いかな?って」
「それもそうですね」
それ以上にダラダラ過ごしていると一瞬でお金が尽きるから。
早い段階でダンジョンに潜り出さなければならない。その為の情報収集をするのも目的だったりする。
「ですが、私はこれから忙しいので余りお相手出来ません」
「あぁ、それは分かってますよ」
これまでずっと見て来たんだから流石に分かる。
朝から昼までのオゥンドさんは本当に激務だ。
販売に仕入れにと大忙しだし。それに依る積荷量の調整もいつも大変そうだった。
それから、オゥンドさんは広場に向かい。俺とエイミーは冒険者ギルドで情報収集をする。
「昨日の今日で行商なんて見つからねーぞ」
「いや、それは分かってますよ」
「だったら何だ?」
「しばらくはここで待つ事になるんで。生活費の為にダンジョンに潜らないとじゃないですか」
「おう」
「それで、冒険者もだいぶ増えたみたいですし。どこが狙い目とかを教えて貰えないかなー?と」
「そうだな。俺も最近はダンジョンに行ってねぇからなぁ・・・どんな感じだ?」
「はい。こちらで伺います」
「はーい」
やっぱり使えないエトーさん。
昨日も対応してくれた職員さんからダンジョンについての説明を受けた。
どの階層もそこそこ混んでいて。
やっぱり・・・コボルトの階層は比較的空いているそうだ・・・。
隣に居るエイミーは「ふんすっ」と、鼻息を荒くしているが・・・俺は当然気が進まない。
いつもお読み頂きありがとうございます。
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