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80話 聞いてみた

「ククですか?聞いた事ありませんね」

「あれ?無いんですか?」

「どういった物ですか?」

「んー・・・」


エイミーからこの世界にも九九があると聞いたので、一般人がどの程度計算出来るのかオゥンドさんに聞いてみた所、九九は一般的では無い様だった。


「・・・って感じで、掛け算を丸暗記してしまうんですよ」

「なるほど。ユウさんは覚えてるのですか?」

「はい」

「え?全てですか?」

「1×1から9×9までは丸暗記してますね」

「えっと・・・7×8は?」

「56ですね」

「9×6」

「54」

「凄いですね・・・」

「いや、でも、エイミーも覚えてるみたいですよ?」

「えっ?お二人共冒険者ですよね・・・?」

「いや、普通は出来ないものなんですか?」

「出来ないと思いますよ?商家の生まれだったりしない限りは」

「えっと、オゥンドさんは?」

「私は出来ませんね。足し算と引き算がやっとです」

「え?計算とか困りません?」

「掛け算が出来る人と比べると遅いですね」

「ですよね」

「行商は扱う個数が少ないので何とかなりますが。店舗を構えて・・・と、なると厳しいかもしれません」

「なるほど」

「覚え方にコツはあったりしますか?」

「九九ですか?」

「はい」

「えー・・・っと・・・ひたすらに暗記しましたね」

「何通りあるんですか?」

「1×1から数えるなら81通りですかね」

「ふむ・・・覚えたとしても即座にそれが出て来る気がしないですね」

「あー、慣れというか。馴染むのに時間は掛かるかもですね」

「ユウさんはいくつくらいの時に九九を覚えられたんですか?」

「えっと、8歳?9歳?それくらいの時ですね」

「ユウさんはやはり他国の貴族なのですか?」

「えっ、違いますよ。庶民です庶民。九九は風習みたいなもんです」

「ふむ・・・」

「ほら、エイミーも習ってるんですよ?意外とあるんじゃないですか?そういうの」

「ユウさん程ではありませんが、エイミーさんも意外と謎が多いですからね」

「そうなんですか?」

「年の割に何でも卒なく熟しますよね」

「あー、確かにそうですね」

「私は冒険者では無いので正確では無いと思いますが」

「はい」

「身の熟しを見る限り。あぁ、これも、そこまでしっかりと見た訳ではありませんが」

「はい」

「とても初心者、初級の冒険者には見えません」

「中級とかベテランクラスですか?」

「中級、Dランクくらいの実力はある様に思います」


俺が確か・・・Gだから・・・3つも上っ!


「まぁ、ユウさんも少なくてもDくらいの強さはあると思いますが」

「えっ?」

「後は、場数。経験を積めば・・・お二人、共最低でもCはいけると思います」

「おぉー」

「それまでに死ななければですが」

「・・・重いですよ」

「そうですか?ですが、それが1番冒険者に必要な能力ですよ?」

「まぁ・・・そうですね・・・」

「才能のある冒険者程、無茶をするので。引き際を見極める事が大事です」

「そうですね」

「それは商人にも言えますし。何事もそうなのですけどね」

「引き際ですか」

「調子の良い時程、見誤ると痛い目を見ますね」

「実体験っぽいですね」

「そうですね。欲を出し過ぎて良い事は1つもありません」

「気持ちがこもりまくってますね」

「はい・・・朝から嫌な事を思い出してしまいました・・・」

「ははは」

「では、そろそろ出発しましょうか」

「はーい」


そうか。

Dランク相当の強さが既にあるのか。

Gから始まってA?S?までだっけ?

それでDなら中堅くらい?


地面をハンマーで殴れば巨大なクレーターが出来て、剣を振るえば山が割れる。

それくらい強かったらAでもSでも目指しても良いと思うけど。

暴食スキルって便利だけど、現時点でそこまでの強さは無いから微妙なんだよね。

とりあえず・・・当面は目立たず平穏な冒険者ライフを送りたい。


何か訳の分からないのの巻き添えを食らって、まともに冒険者として活動出来てないけど・・・。



オゥンドさんからエイミーの実力も年齢にそぐわない最低でもDランク相当あると聞き、1人で任せても大丈夫だろうと判断して。エイミーには1人で先行して貰い、俺は後方を警戒する事にした。


しばらく進むと山間部が終わり、そこからは平坦な道が続いていた。

それまでも緩やかな下りだったが、そこからは当分平坦らしく、ようやくスピードを上げられると休憩の時にオゥンドさんから聞かされ、置いて行かれない様に常に馬車が見える範囲に居る様にと注意を受けた。



そんなこんなで、日に何度も休憩を挟み。やっとの思いで辿り着いた村での滞在は1日か長くても2日。

そんな日々を過ごし、次の村にもう少しで到着するというタイミングで。


「次は村では無く街ですね」

「あー、ちょっとずつ村の規模も大きくなってきてますし。だいぶ、都会に近づいてるって感じですか?」

「はい。そして、次の街には冒険者ギルドがあります」

「おぉー、やっとですか」

「はい。慣れない長旅お疲れ様でした」

「いやぁ、迷惑も掛けましたしお世話になりました」

「それでですね」

「はい」

「以前からお誘いしてましたが。商人になるつもりはありませんか?」

「え?」

「ここでお別れですからね。次に会う機会があるとしても、最短でも数ヶ月後になりますから」

「そうですね・・・何か実感湧かないですけど」

「明日の昼頃出発しますので。それまでにお返事をお聞かせ下さい。エイミーさんと相談もしないといけないでしょうし」

「はい・・・」

「あぁ、ちなみに。行商ではなく、店舗をお任せする事になると思います。引き受けて下さればですが」

「えっ」

「ユウさんお一人でもエイミーさんとお二人でも構いません」

「は、はい・・・」



たまーに商人になるのを勧められてたけど、ここまで本気だったのか・・・。


いつもお読み頂きありがとうございます。


偶数日だと勘違いしてました。

更新遅くなって申し訳ないです(ノД`)

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